「魔王様ー! まおうさまー! 大変でございますー!」
「うろたえるなエルニーニョ!」
荘厳なるオーケストラ演奏にのって天より舞い降りた黒き翼の美女、
鳳翔 皐月。
つま先だけで玉座の背に立つと、ピッと剣を翳した。
ぴたりとやむオーケストラの皆さん(玉座の横に控えていた魔物のみなさん)。
「ったく入ってくるなりやかましいんだよ。何があった」
「勇者どもが城へ攻め入ってまいりました。あと私の名前はベルゼバブで――」
「黙ってろエルニョン! そんな連中、私がかるーくひねってやるよ」
こきりこきりと拳を慣らす。
膨大な魔力がふくれあがり、いまにも爆発せんばかりだ。
しかし……!
「でも勇者のやつ、『
魔王絶対殺す剣』持ってますよ」
「まじかよ」
しゅーんとしぼむ翼。
「ですがご安心ください。奴らの剣は『仲間の数だけ強くなる!』とかいう主人公設定丸出しのシロモノ。つまり仲間を次々とリタイアさせてやれば愛と勇気だけで魔王様の玉座に飛び込んでくるという寸法でございます!」
「なるほど。つまり……?」
ニヤリと笑う皐月。そして、えっと、だれだっけこの家臣。
「「罠にかけて仲間を削ろう!」」
ここは剣と魔法の世界、ネコジマニャンタジー。
各地に住まう魔王とあちこちから現われた魔王絶対殺す勇者がしのぎをけずる乱世も乱世。
今日もどこかで魔王様の勇者撃退大作戦が巻き起こるのでございまする。
「まおーさまー! まおーさまーあ!」
「なあに? ここにいるよ」
緑豊かな庭の中、天使と悪魔の翼を持ち合わせた緑の魔王――
桜 月が花のベッドがら身体を起こした。
「ゆうしゃたちが、
魔王絶対殺す剣を持って攻め込んできますぅー!」
腕をぱたぱたやる家臣をどうどうとなだめてやってから、月はあくびをひとつ。
そして、ぱちりぱちりとまばたき二回。
畳んでいた翼を大きく広げ、立ち上がった。
巨大な花々が頭をあげ、彼女の命令を待っている。
「分かった。撃退を始めよう」
どーぅいっとゆあせるふ!
ごきげんよう、魔王様。ここは剣と魔法のIF世界。あなたが魔王の世界でございます。
今日も楽しく魔王ライフを送っていたところ、『魔王絶対殺す剣』を持った勇者が乗り込んで参りました。
剣の弱点はただひとつ。勇者の仲間をゼロにすること!
パーティの戦士や魔法使いや僧侶たちをのきなみ罠にはめ、のこのこ一人でやってきた勇者をあなたの魔王パワーで返り討ちにし、勇者の仕事を増やしてあげましょう!
これもよのためひとのため? イエス魔王さまのため!
さあ、魔王城の罠を作動させるのです!
トラップパート
魔王城にはあなたが仕掛けた(というか仕掛けるように命じた)罠がたーっくさんあります。
これらを使って向かってくる勇者の仲間(必ず勇者プラス2名の三人パーティーなのです)を次々にリタイアさせましょう。
もし仲間をリタイアさせることができなかったら、『魔王絶対殺す剣』が仲間一人につき50%の力を発揮してしまいます
落とし穴を作ったり、槍を沢山降らせたり、水で流したり毒の魔法をかけたり、強い魔物をけしかけたり!
といっても、どんな罠でもいいってわけにはいきませんよね。
相手によって罠を変えたいし、なんなら自分らしい罠を作りたい。そう! 自分らしい罠!
画面の前のあなたさま。世にあるいろんな罠に自分らしさをトッピングしたらどんなに楽しいことか!
というわけで、コメントページを活用しましょう。
まずコメントページで自己紹介ならぬ魔王紹介をして頂いて、意気込みなんかを語って頂きます。
すると右上にサイコロの目が出てきますね?
その目がそれぞれ勇者の仲間を表わしております。
対応表はコチラ
1:戦士 力自慢で剣の達人。けど魔法防御が弱すぎるせいで簡単に状態異常にかかってしまう。
2:魔法使い 魔法の達人。筋力と体力がヘロヘロなのがタマにキズ。
3:僧侶 聖なる力でどんな状態異常も回復可能。けど体力のなさはどうにもならぬ。
4:盗賊 素早い動きであらゆる罠をよける。けど金目の物には弱いもよう。
5:商人 豊富なアイテムで状態異常をすぐに回復。けどお金には目が無い。
6:格闘家 体力も素早さも兼ね備えた一見無敵のファイター。けど一対一のバトルにはときめいちゃうSAGA。
(例:1と3なら戦士と僧侶。戦士を状態異常にかけても僧侶が回復しちゃう。僧侶にモンスターをけしかけても戦士が倒しちゃう。なので物理的な罠で僧侶を先に分断させちゃうのが吉!)
バトルパート
罠をくぐり抜けた勇者は魔王様の間へと乗り込んできます。
いよいよ最終決戦なのです!
あなたの設定した魔王パワーを行使して、勇者をやっつけてしまいましょう。
・魔王パワーってなあに
魔王様のもつ膨大な魔力はなんでもできると見せかけて、実は指向性がございます。
例えば植物を自在に操るとか、次元を切り裂くとか、炎の鳥を大量に呼び出すとか。どれもチート級ですが、魔王絶対殺す剣はそれらのパワーをかき消す特攻アイテムなのです。
もしかき消されなければ……そう、魔王様は勇者を圧倒できるのです。
そうそう、家臣があとで壁画にして残しやすいように、戦いの衣装はきっちり決めておきましょうね。縞々のパジャマのまま戦ってたなんて伝えられたらハズカシイですもの!
ほそく
ここからはちょっぴりメタ話。
もしお友達と協力して『魔王様と家臣』でプレイしたい時はアクションにそのように設定して下さい。
その代わり勇者側もパーティ数が増え、トラップパートを『家臣が迎え撃つ第一勇者パーティー』『魔王が迎え撃つ第二勇者パーティ』と別々に対応しなければなりません。
最後のバトルパートは全員集合。お二人(もしくは三人以上)で一緒にお楽しみ頂けます。
でもって余談。
勇者側もできたら楽しそうではあるのですが、どちらかのアクションが潰されちゃうことになるので、今回は魔王様サイドのみとなっております。
とっても優秀でオシャレな城を作る魔王様がいたら、その魔王城を勇者サイドで攻略するシナリオが誕生しちゃうかも? かも?