これまでのお話
元引き籠りの少年・
東門 巧の元に突然現れた赤ん坊は、感情を爆発させると周囲の物を壊すという物騒な能力を持っていました。
光と名付けられたその子は、急速に成長していきました。赤ん坊から三歳児、そして六歳児へ。
新しい友人たちと光の面倒を見ていた巧の前に、
リリーという少女が現れ、光の正体は彼女たちの世界を滅ぼしかけた
琥珀(こはく)だと話しました。
俄かには信じられない話でしたが、九夜山に現れた
柘榴(ざくろ)という少年により、光イコール琥珀であることが確定しました。
そして柘榴が取り出した不思議な玉が光ったとき、彼とリリー、そして巧と光の姿は消えたのでした……。
* * *
「ここどこ!?」
四方をガラスのような壁で囲まれた部屋に、巧はいました。
柘榴の手にあった玉が光ったとき、巧は咄嗟に目を閉じました。そのタイミングでろっこん【缶詰】が発動したのは、彼にとって良かったのか悪かったのか。
気が付けば、見たことのないところにいました。荒れ果て、土だらけになった地面。動けない巧に見えたのはそれだけですが、九夜山でないのは確かです。
光が自分にしがみついていたのが分かりました。
「しょうがねえなあ」
舌打ちした柘榴が、巧と光を抱え上げました。
そして連れてこられたのが、この部屋です。
「黙れ」
冷たく言い放ったのは、銀色の長い髪をした少年です。巧よりやや年上でしょうか。
「本来ならば、お前のような者はすぐにでも殺すところだが、
琥珀(こはく)様の命で仕方なく……」
「たっくん!!」
言いかけたところで、光が飛び込んできました。
「光!? お前、また大きくなってない?」
「うん!」
今の光は、九歳か十歳というところでしょうか。幼児っぽさはほとんどなくなり、少年らしいしっかりとした顔立ちや体格になりつつあります。
「琥珀様」
銀髪の少年がすっと膝を突き、頭を垂れました。
「たっくんを出して、
翡翠(ひすい)」
「それは出来ません」
「どうして?」
「異端だからです。私たちにどのような影響を与えるか、まだ分かりません」
光はぷうっと頬を膨らませました。
「じゃ、分かったら出られる? すぐやって! でないと俺、怒るからね!」
「……善処します」
光は巧の手をぎゅっと握りました。
「一緒にいたいけど、翡翠が怒るし、なんかやんなきゃいけないことがあるんだって。でもまた会いに来るからね!」
「う、うん」
光がいなくなった後、銀髪の少年――翡翠は、苦々しげに巧を睨みつけました。
「――つまり、だから生かしておいてやるのだ。大人しくしていれば、殺しはしない。だが、琥珀様に余計なことを吹き込むな」
「ぼ、僕は別に……」
「お前のような奴が傍にいるだけで、害があるのだ」
吐き捨てるように言い捨てて、翡翠は去っていきました。
一人残された巧は、茫然とそこに立ち尽くすのでした……。
お待たせしました。「僕を遊びに連れてって!」の続編となります。シリーズものですが、今回から新展開となりますので初めての方も参加しやすいかと思います。どうぞお気軽にご参加ください。
今回は前回のラスト直後からのお話です。
「不思議な玉が光り、同時に巧たちが姿を消した……。彼らはどこへ?」
この話は寝子島サイド(取り残された人たち)と、別世界に行ってしまった人たちのどちらかを選べます。
寝子島サイドの人たちは、何がどうなったか分かっていません。こちらを選んだ人たちは、九夜山に落ちている玉(大きさはソフトボール大。様々な色が絶え間なく渦巻いており、まるで生きているようにも見えます)を調べたり怖がったり、巧たちをどう救うか悩んだり、または追いかけてみたりetcを楽しんでください。
なお、別世界に行っている間は時間が経ちません(三月中旬のまま)が、これはPL情報となります。PCの皆さんはそれを知りませんのでご注意ください。
サンプルアクションは多めで、五つです。
最初の二つは、前回のラストに立ち合わなかった人用です。
1.寝子島にいたまま、あたふたしているPCを見たい。変な世界には行きたくない。
2.前回のラスト(九夜山)に居合わせなかったが、異世界に行きたい。
2に関しては、他の人とのアクションの兼ね合いで、「行った後」も描写されるかもしれません。
前回のラスト、九夜山にいた人たちは、巧たちと同様、別世界に飛ばされたとすることも可能です。
その場合は、三つのパターンに別れます。
3.巧と一緒に琥珀陣営にいる。
この場合、巧の隣の部屋に閉じ込められていることになります。基本、自由はありません。どうにかしてもぎ取ることも可能ですが、その場合、怪我人が出かねません。
4.リリーの陣営にいる。
自由度は高いです。どこへでも行けます。
5.どちらでもない、ど真ん中に落ちた。
自由度は高いですが、地理が不明なのでどこへ行ってしまうか分かりません。行き当たりばったりを楽しみたい、もしくはどちらへ行くか決まっていない人向けです。出たとこ勝負ですね。
3、4、5は、前回のラストシーンにいた人しか選べません。ご注意ください。
それでは皆さんのご参加をお待ちしています。
NPC
東門 巧
琥珀陣営で捕らえられている。四方の壁はガラスに見えるが、かなり強度は高い。中と外で会話は可能。
光(ひかる)
現在は九~十歳程度。一人称は俺。性格は現在、気分屋と自己中心的なところが目立つ。周囲からは琥珀(こはく)と呼ばれているが、本人は受け入れている模様。何やらやることがあるらしく、巧の傍にいたいがいられない。
翡翠(ひすい)
銀髪の少年。巧を嫌っている模様。
柘榴(ざくろ)
光と巧を連れてきた張本人。
藍玉(らんぎょく)
瑪瑙(めのう)
雲母(きらら)
ガイドには未登場だが、琥珀の仲間であり部下。
リリー
琥珀たちの敵。おそらく、自分たちの陣営にいると思われる。
その他リリーの仲間