死とはなんだろう?
私たちは皆、それを曖昧にしたまま生きている。
そんなことを四六時中意識するのは狂人くらいのものだろう。
けれど――。
それを考えずにいられなくなったとしたら……?
◆◇◆◇◆
「私の同僚の話なんだが……つい先日、奥さんを亡くしてね」
男言葉を話す白衣の女性――通称「博士」は淡々とした口調の中に僅かな悲哀を滲ませながら言った。
「愛妻家で、しばらくは見るに堪えない状態だったが、最近ようやく立ち直って来た」
問題は――と、博士は続ける。
「問題は彼の娘さんなんだ。ゆゆちゃん――まだ6歳だ。どうも彼女は、まだ母親が亡くなったということを理解できていないらしく、混乱しているようでね」
博士は白衣のポケットから写真を取り出した。
微笑む両親の間で、幼い少女があどけない笑顔を浮かべている。
「私もゆゆちゃんに説明を試みたんだが、どうも私の説明は難解しすぎるらしい。そこで、キミに手を借して欲しくてね」
ふう、と博士はそこで小さくため息を付いた。
「彼女に、死というものを教えてやってはくれないだろうか。出来るなら、ゆゆちゃんが父親に寄り添って母親の死を悼み、乗り越える手伝いをしてやって欲しい」
博士は半分以上残った煙草を灰皿で消し潰した。
「キミ自身でなくともいいんだ。誰か知り合いに声をかけてみてくれないか、頼む」
と博士は頭を下げた。
その様子を、傍らに置かれたノートパソコンから一対の視線が見つめていた。
初めましての方は初めまして、そうでない方はお久しぶりです。
つづりでございます。
今回のガイドは、ややシリアスな内容となっております。
死に戸惑う幼い子どもに寄り添って頂く、というものです。
ゆゆちゃんは幼稚園の年長さんです。
子どもにでも分かるように工夫を凝らして頂く必要がございますが、そこはみなさまの腕の見せどころかと存じます。
博士はあのように言っていますが、みなさまにして頂きたいことは、例えば――。
ゆゆちゃんに死の概念を理解させる。
無理に理解させることはせず、寄り添って元気づけて上げる。
なんとなく、気を紛らわせてあげる。
母親の死を乗り越えるお手伝いをする。
など、必ずしも博士の言うとおりにする必要はありません。
他にもみなさんの発想、心情に従って、どうかご自由に無垢な魂に寄り添って頂ければと存じます。
ゆゆちゃんは自宅でぼうっとしていますが、幼稚園に通ったり、近くの公園で遊んでいたり、商店街で何かを探すような素振りを見せたりしています。
ゆゆちゃんへの近づき方は皆さんにおまかせします。
ガイド本文に出てきた人に聞いたという形でも結構ですし、たまたま公園で出会って話を聞いたという形でもOKです。
その他、アクションの注意点についてはこちらを御覧ください。
みなさまのご参加をお待ちしております。
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※NPCデータ(必ずしも読まなくて平気です)
・博士(氏名不明)
女性
木天蓼大学理工学部所属
人工知能研究の鬼才
結構いい歳で不健康そうな雰囲気をまとっているが容姿はまあまあ
行動が突飛だが独特の信念を持っている
βを心から愛している
・β(β:べーた)
ガイド本文末に登場した視線の主。
性別未分化
推定年齢7歳(小学校2年生程度)
博士の開発した人工知能プログラムだと言われている
心に強い興味を持っている
博士のことは母親的存在と捉えている