星幽塔には「ほしびと」と呼ばれる住民たちがいる。
彼らの姿は様々で、ある者は赤子の姿でありながら数百歳の賢者であるし、ある者は獣のような耳やしっぽを持っている。
「ほんとにいろんな人がいるんだなあ」
第一階層、サジタリオ城下町の裏通りを歩きながら、改めてきょろきょろとこの世界の多様さを楽しんでいた
鈴原 天音の目に、一人のキツネめいた少女の姿が飛び込んできた。
裾のほつれたショートパンツに、胸を覆う薄布。フード付きのケープを纏い、ポニーテールに結った長い髪を靡かせた少女は、時折後ろを振り返りながら走ってくる。
あっと思ったときには遅く、キツネ少女と天音は互いを避けることが出来ずにぶつかった。
「きゃ」
「おっと、ごめんね。余所見してて」
キツネ少女は倒れかけた天音の腕を掴んでまっすぐ立たせる。
(わ! 手がふかふかだよ~)
と天音が驚いて少女を見ると、少女も値踏みするように天音を見た。
「あんた、もしかして噂のネコジマとかいうとこから来たヤツ?」
「そうだよ。あなたは?」
「アタシはここの住人さ。職業は……ま、冒険者と言っておこうか。じゃ、急いでるから」
そう言って少女はまた駆け出し――かけたところで、天音はぎゅっと彼女の尻尾を鷲掴みにした。
「ぎゃ! なにさ!」
「なにさ、じゃないよ~盗賊さん? あたしのお財布、返して」
天音はにこにこしながらも、尻尾を掴む手に力を籠める。
「気づいてたんだ。アンタ、やるじゃん」
少女はニヤっと笑って財布を返すと、くびれた腰に手を当てた。
「アタシはフォルカ。フォルカ・ヴィクスン。アンタ、アタシに付き合わない? じつは――」
フォルカに誘われて酒場への道を急ぎながら聞いた話はこうだった。
城下町の北の森に、ミャトゥ遺跡と呼ばれる朽ちた遺跡がある。
ちょっとしたお宝探しのクエストを引き受けたフォルカは、思いがけぬお宝――遺跡の探索中に扉のような形の壁と謎のオーブに出くわしたという。
ところがそこに『キヒヒッ』と笑う黒影の少女と黒い狼の群れが現れて、
「ああもうだめだ、あいつ等にオーブを奪われちまうと思った瞬間、森の主エンシェントエントが現れて、オーブを影から守ったんだ」
「森の主エンシェントエント?」
「巨大な樹の精霊だよ。オーブってだけでもすごいのに、森の主が守るなんて絶対すごいお宝じゃん? オーブと言えばふつうは他の階層への扉を開くカギだって聞いてる。もしかしたらまだ見ぬ場所への扉が開くかも」
だけど今は酒場に行くのが先決。
黒い影は、今まさにエンシェントエントに攻撃を仕掛けてる。
「森の主は強いけど、いつまで保つかわからない。あんな黒い奴らに奪われるくらいならエンシェントエントを助けるよ。とはいえアタシ一人じゃ戦力にならなくてさ。慌てて街にとっかえして来たってわけ」
冒険者の集うBarアストラルなら、声を掛ければノッてくる無謀者がいるかもしれない。
酒場の看板が見えてきた。
フォルカは扉を勢いよく蹴り開ける。
「みんな聞いて! でかいヤマだよ! 第一階層、第二のオーブ! 森の主が守るお宝だ!
仲間になりたきゃ今すぐアタシに声かけて! 急いでるんだ。支度ができ次第、発つよ!」
というわけで、ごきげんよう。
MSの水月 鏡花です。
そんな感じで、みなさん急ぎのミッションですよ!
このシナリオは、ひと、もれいび、ほしびと、すべてのPCさんが参加できます。
できたてほやほやのほしびとPCさんも奮ってご参加ください。
ほしびとってなんだ? という方は、こちらをチェックです!
☆ほしびととは
ステージ
【ミャトゥ遺跡】
城下町の北にある森の中にある朽ちた遺跡。
いまではすっかり森に呑まれてしまっているが、原形を失った石壁や横たわる石柱からは、
かつては神殿のようなものであったことが窺える。
森は鬱蒼と深く、普段はほとんど人が立ち入ることがない。
ミッション
黒い影と狼を撃退し、第二のオーブを手に入れよう!
現在、森の主エンシェントエントがオーブを守って、黒い影と狼と戦っています。
PCのみなさんは、エンシェントエントと共闘できます。
エンシェントエントが倒れる前に『キヒヒッ』と笑う黒影の少女と黒い狼を撃退しましょう。
●『キヒヒッ』と笑う黒影の少女
黒い狼たちに命じるばかりで、自分は高みの見物を決め込んでいるようです。
狙われると逃げます。
●黒い狼
10匹ほどの群れ。体長は大きめでトラほどもあります。
鋭い牙をむき出しにして襲い掛かってきます。
●森の主エンシェントエント
巨大な古木で、幹に顔があり、人語を解します。
腕代わりの無数の枝を鞭のように振って、狼たちの相手をしています。
根が足のようになっていて、ゆっくりですが移動もできます。
●扉のような形の壁
鈴島で見つけたものとよく似ている。
●第二のオーブ
オーブとは、星幽塔の各階層にひとつ存在する水晶球のような球体。
通常であればミッションをクリアし、オーブに火を灯すことで次の階層への扉が開かれるが、
第二階層への扉を開くオーブはサジタリオ城にあり、悪い竜を倒したときに灯されている。
となると、今回見つかった第二のオーブはいったい……?
黒い影を追い払い、悪しき意図がないことがエンシェントエントに伝われば、
あるいはエンシェントエントを倒せば、オーブが手に入る可能性は高い。
鈴島のオーブに倣えば、星の力を得た手で触れれば火が灯るはずだが……?
登場NPC
・ステラ ………………酒場にいます。第二のオーブの話はとても気になるようです。
・フォルカ ……………どんな時も打算的に行動する、抜け目ない盗賊。
しなやかな身体による俊敏さが武器だが、戦闘よりは隠密行動向き。
ミャトゥ遺跡に皆を案内します。
・フランチェスカ ……サジタリオ城にて公務中。
第一階層で問題が起こっていることを知れば駆けつけてくる可能性あり。
星の力
星幽塔の中では、ひと、もれいび、ほしびと、すべてのPCに「星の力」が宿っています。
☆星の力とは
星の力やその形状は、変化したりしなかったりいろいろなケースがあるようですが、
このシナリオの中では変化しませんので、今回はひとつだけ選んでください。
ひとともれいびにはひとつだけ、
ほしびとには、第二の星の力(虹)もあります。
どの星の光をまとい、その光がどんな形になったかを
アクション冒頭に【○○の光/宿っている場所や武器の形状】のようにお書きください。
衣装にこだわりがあればそれもお書きください。
衣装とアイテムの持ち込みについて
塔に召喚されると、衣装もファンタジー風に変わります(まれに変わってないこともあります)
もちものは、そのPCが持っていて自然なものであれば、ある程度持ちこめます。
※【星幽塔】シナリオのアクション投稿時、作物アイテムを所持し、
【アイテム名】、【URL】を記載することで、
シナリオの中で作物(及びその加工品、料理など)を使用することができます。
※URLをお忘れなく!!!
それではご参加お待ちしております。