「すみませんでした!!」
東門 巧は深々と頭を下げました。
「頭を上げてください。僕は大丈夫ですから……」
荒井 景貴は殊更明るく笑いましたが、顔に貼られた絆創膏が痛々しく、巧は青ざめたままです。
「本当に大丈夫です。ほら、手も無事です」
景貴は両手をひらひらと動かしました。パティシエである彼の手が傷ついていたら、巧は更に居たたまれなかったでしょう。景貴は手で庇わずに避けたため、顔に傷を負ったのです。
「それより、早く
光(ひかる)くんを探さないと」
光というのは、巧が保護している子供です。しかし、普通の子ではありません。
期末試験の間、光のことは景貴が面倒を見ていました。
四日目、初めて長時間巧と離れた光のストレスは、最大値に達しました。感情を爆発させた光は景貴に石を投げつけ、更にそれが彼の目の前で砕け散ったのでした。
そう、それが光の能力です。これまでも度々、周囲のガラスや電球を壊すことはありましたが、人を傷つけたのは初めてです。
その上、今朝まで三歳ほどの幼児だったのに、今は六歳ぐらいまで成長していました。詳しい容姿を知るのは、景貴のみです。
おまけに、
「光くんを狙っている人もいるんでしょう?」
光の正体は、別の世界から来た
琥珀(こはく)――ではないかと、これまた自称別世界から来た
リリーが言っているのです。琥珀は、彼女の仲間を殺し、この世界すらも滅ぼすだろうと。
「どうすれば……」
「みんなの協力を仰ぎましょう」
その頃、九夜山でボヤ騒ぎが起きていました。
幸い火はすぐに消し止められましたが、逃げていく少年が目撃されています。――いえ、正確には「逃げ」たのではありません。目撃者は言いました。
「彼は悠然と、何でもないことのように山を下りて行った」
――と。
お待たせしました。「期末試験をクリアせよ!!」の続きでございます。
今回の話は、前回の直後から始まります。つまり、試験が終わった当日ですね。なので、巧の試験結果がどうなったかは、ガイドの時点では不明です(リアクションで時間が経過すれば分かるかもしれません)。
続き物ですが、前回に参加していなくても全く問題ないため、お気軽にご参加ください。
今回の話は、行方不明になった光を探すことと、九夜山で起きたボヤ騒ぎです。
光は現在、巧のところへ行こうとしていますが、いかんせん、地理に明るくないため、まだシーサイドタウンをウロウロしています。
現在の姿は六歳ほどですが、三歳時点での容姿を知っている人は割と探しやすいと思います。ただし、事細かに知っているのは荒井 景貴さんだけです。
目撃証言を辿っていけば見つけられるかもしれませんが、癇癪を爆発させ、能力が発動する可能性もあります。
リリーは現在、行方不明です。居場所を知っている人もいますが、それ以外の人は情報がありません。そのPCさんたちから情報を得た場合は別ですが、そうでなければノーヒントで探さなければなりません。難易度は高めです。
九夜山のボヤ騒ぎは、謎の少年が容疑者です。彼が何者なのかは不明です。どこに向かっているかもはっきりしませんが、放っておくと街に下ります。
危険人物なので、注意が必要です。
登場予定NPC
・東門 巧
光の保護者。もれいび。元ひきこもり。現在も人見知りが続く。今回の彼は、放っておくと下宿でずーっと光を待っています。
・光(ひかる)
巧が保護している子供。成長が速く、現在は六歳ほど。感情の爆発で周囲の物を壊す。
参考までに、現在の性格は「気分屋」「気が強い」「恥ずかしがり屋」が最も強く出ています。
・リリー
自称別世界からやってきた美少女戦士。武器は持たない。空を飛ぶ能力を有する。
現在、居場所は不明。
・九夜山の少年
十代半ば~後半の少年。かなりの美少年の模様。ボヤ騒ぎの容疑者。街を目指しているとの目撃証言あり。