「今年もお雛様の季節ですね」
暁桜 逢莉は、星ヶ丘の自宅で豪華な雛人形が箱から出されていくのを眺めていたところでした。
使用人の手によってひな段は組み立て済みで、後はおばあさまと一緒に人形を並べるだけです。
電話が来ておばあさまは席をはずしてしまい、使用人も別な仕事に出てしまって、逢莉は戻ってくるのを待っているところです。
この季節にしか見られないお雛様、いくら眺めても飽きることはありません。
「皆さん、いつも仲良しですね」
逢莉の姉と両親は事故で亡くなっています。
いつも元気な逢莉ですが、仲のいい家族のように並んでいるお雛様を見ていると。
本来なら一緒にひな祭りを楽しんでいたであろうお姉さんやお父さんお母さんのことが思い浮かび、ちょっぴり切なくなることがあります。
「今年は、ひなまつりにハープを弾いてみましょうか」
そんなことを思っていると。
『そろそろかしら? はやく表の空気を吸いたいわ』
思いがけない声が聞こえてきました。
「えっ?」
おばあさまの声でもお手伝いさんの声でもありません。
辺りを見回しましたが誰もいません。
「空耳でしょうか」
『おーい、飾ってくれー!』
「まさか」
逢莉は目の前の箱をまじまじと見つめました。
『あら、あなたは私たちの声が聞こえるんですね』
それは、お雛様たちの言葉だったのです……
こんにちは、天村です。
暁桜 逢莉さん、ガイド登場ありがとうございます。
もしご参加いただける際は、ガイドにとらわれずご自由にアクションをかけていただいて構いません。
二月末のある日、神魂の影響で、一部の人に雛人形の声が聞こえるようになりました。
ひなまつりは女の子のお祭りですが、男の子にも聞こえることがあるようです。
家に雛人形がなくても、旧家の窓辺に飾られている雛壇から通りすがりに声をかけられるかも。
思い出話もたくさんありそうですし、官女たちは最近の流行に興味津々かもしれません。
あなたはどんな言葉を聞くのでしょうか。
神魂の効果は一日限りで、他の人形には影響はないようです。
ひなまつり当日のシナリオではありませんが、ひなまつりの計画を練ってみるのもいいかもしれません。
それでは、ご参加お待ちしております。