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バレンタインデート予行演習
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ミルクホールの休業日。
誰もいない筈の店内の床をガタガタと鳴らして、椅子が揺れている。
そこには寝子島中学２年に所属する男子生徒、水海道 音春がロープでぐるんぐるん巻きに縛り付けられていた。昔のマフィア映画にありそうなシチュエーションである。
冷や汗を垂らす音春の前に、彼の友人の双子のエリセイとレナート・ジュラヴリョフ兄弟が冷淡な表情で現れた。
彼らが恭しくエスコートしてきたのは、ロリータドレスを着た少女だった。
「彼女は俺たちの友人だよ」
「Здравствуйте!（こんにちは）」
彼女は頬をバラ色に染めながら、鈴が鳴るような声で挨拶する。長い睫毛をしぱたかせただけで、良い匂いまでしてきそうな美少女ぶりだが、何かが引っかかる。
疑いから思わず睨むようになってしまった音春だったが、少女は何故か目つきの悪い彼を前にしても怯まなかった。
「Что?（なぁに？）」
巻き毛を揺らしながら首を傾げる愛らしい仕草で、音春は少女の正体を悟った。だが音春が口を開きかけると、双子は言わせまいとしてゴリ推しでもう一度紹介してくる。
「ロシアからきた美と愛の妖精、イリアちゃんだよ」
「いやそれあんたらの弟のイリヤ君だよね」
「イリアちゃん、だよ」
有無を言わせない謎のノリの中、イリアちゃんはおもむろにスマートフォンを突き出した。
とあるトーク画面のスクリーンショットが表示されている。
イリアちゃんが男子中学生のどこからそんな声が出るのか分からない声で紡ぐロシア語を、レナートが口早に無意味に同時通訳した。
「”この会話は貴方に間違い無いですね”」
トークの差出人は仮名Hさんである。
Hさん：音春君ってどんな食べ物が好き？
音春：餃子
ここでHさんは丁寧にも「イイネ」と可愛いイラストスタンプを送り、リトライした。
Hさん：甘い食べ物だったら？ 例えばチョコレートだったらビターと普通のとホワイトとどれが好きかな？
音春：どっちかっつーと今川焼き
レナートはトークの内容に呆れかえっている。
「この時期にチョコレートの話題と言ったらヴァレンタインデーに決まってるよね」
「え、え、まじで？ コレってそういうアレなの？」
「はじめに言っておくとHさんにその気は無いそうです」
「せめて３０秒で良いから勘違いさせて欲しかった！」
がっくりと項垂れて落ち込む音春へ、双子は声を揃えて神妙に告げた。
「今から愛と美の妖精が、Hさんに代わってあなたへのメッセージをお届けします」
イリアちゃんはつかつかとヒールを鳴らしながら音春に近寄った。そして唐突に襟首を捻るように掴み上げる。
「バッカじゃないのこの××××××！！」
一秒後。音春は椅子の上で真っ白に燃え尽きていた。
哀れな姿を見て、イリアちゃんは両手を胸の前で組んで天井を見つめている。その目には光る粒があった。
エリセイとレナートはイリアちゃんの細い肩を両脇から抱いて嘆いた。
「ああ、なんて虚しいんだ！ 来たる愛の祝祭を前にして、男たちのこの体たらく……」
「こんな暗い世の中の為に、俺たちに与えられた使命は、ヴァレンタインデーやホワイトデーの当日に、同じ犠牲を出さぬように、迷える子羊たちを救うこと！」
「失敗をしないように予行演習をさせて、俺たちが愉し……面白が……るのではなく、なんだろ？」
「とにかく手助けしてあげよう！ そうだよねイリアちゃん」
「ア？ えと、うん、そうだね兄さん。じゃあ……うーんと……。
新たな犠牲者……じゃない、迷える子羊を連れてくるのです！」
こうしてイリアちゃんは、愛の伝道師として双子の使いを外界へ送り込んだ。
「とりあえず誰かがくるまでに……」
燃えかすになった友人を椅子ごと片付けていると、店のバックルームからこっそり様子を見ていたHさんこと伊橋 陽毬が顔を出す。
「イリヤ君、私××××××なんて言ってないよ」
「そうだっけ？」
イリアちゃんはニコッと笑って適当に誤魔化した。
誰もいない筈の店内の床をガタガタと鳴らして、椅子が揺れている。
そこには寝子島中学２年に所属する男子生徒、水海道 音春がロープでぐるんぐるん巻きに縛り付けられていた。昔のマフィア映画にありそうなシチュエーションである。
冷や汗を垂らす音春の前に、彼の友人の双子のエリセイとレナート・ジュラヴリョフ兄弟が冷淡な表情で現れた。
彼らが恭しくエスコートしてきたのは、ロリータドレスを着た少女だった。
「彼女は俺たちの友人だよ」
「Здравствуйте!（こんにちは）」
彼女は頬をバラ色に染めながら、鈴が鳴るような声で挨拶する。長い睫毛をしぱたかせただけで、良い匂いまでしてきそうな美少女ぶりだが、何かが引っかかる。
疑いから思わず睨むようになってしまった音春だったが、少女は何故か目つきの悪い彼を前にしても怯まなかった。
「Что?（なぁに？）」
巻き毛を揺らしながら首を傾げる愛らしい仕草で、音春は少女の正体を悟った。だが音春が口を開きかけると、双子は言わせまいとしてゴリ推しでもう一度紹介してくる。
「ロシアからきた美と愛の妖精、イリアちゃんだよ」
「いやそれあんたらの弟のイリヤ君だよね」
「イリアちゃん、だよ」
有無を言わせない謎のノリの中、イリアちゃんはおもむろにスマートフォンを突き出した。
とあるトーク画面のスクリーンショットが表示されている。
イリアちゃんが
「”この会話は貴方に間違い無いですね”」
トークの差出人は仮名Hさんである。
Hさん：音春君ってどんな食べ物が好き？
音春：餃子
ここでHさんは丁寧にも「イイネ」と可愛いイラストスタンプを送り、リトライした。
Hさん：甘い食べ物だったら？ 例えばチョコレートだったらビターと普通のとホワイトとどれが好きかな？
音春：どっちかっつーと今川焼き
レナートはトークの内容に呆れかえっている。
「この時期にチョコレートの話題と言ったらヴァレンタインデーに決まってるよね」
「え、え、まじで？ コレってそういうアレなの？」
「はじめに言っておくとHさんにその気は無いそうです」
「せめて３０秒で良いから勘違いさせて欲しかった！」
がっくりと項垂れて落ち込む音春へ、双子は声を揃えて神妙に告げた。
「今から愛と美の妖精が、Hさんに代わってあなたへのメッセージをお届けします」
イリアちゃんはつかつかとヒールを鳴らしながら音春に近寄った。そして唐突に襟首を捻るように掴み上げる。
「バッカじゃないのこの××××××！！」
一秒後。音春は椅子の上で真っ白に燃え尽きていた。
哀れな姿を見て、イリアちゃんは両手を胸の前で組んで天井を見つめている。その目には光る粒があった。
エリセイとレナートはイリアちゃんの細い肩を両脇から抱いて嘆いた。
「ああ、なんて虚しいんだ！ 来たる愛の祝祭を前にして、男たちのこの体たらく……」
「こんな暗い世の中の為に、俺たちに与えられた使命は、ヴァレンタインデーやホワイトデーの当日に、同じ犠牲を出さぬように、迷える子羊たちを救うこと！」
「失敗をしないように予行演習をさせて、俺たちが愉し……面白が……るのではなく、なんだろ？」
「とにかく手助けしてあげよう！ そうだよねイリアちゃん」
「ア？ えと、うん、そうだね兄さん。じゃあ……うーんと……。
新たな犠牲者……じゃない、迷える子羊を連れてくるのです！」
こうしてイリアちゃんは、愛の伝道師として双子の使いを外界へ送り込んだ。
「とりあえず誰かがくるまでに……」
燃えかすになった友人を椅子ごと片付けていると、店のバックルームからこっそり様子を見ていたHさんこと伊橋 陽毬が顔を出す。
「イリヤ君、私××××××なんて言ってないよ」
「そうだっけ？」
イリアちゃんはニコッと笑って適当に誤魔化した。
ゲームマスターより
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2016年08月30日
- 参加申し込みの期限
-
- 2016年09月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2016年09月06日 11時00分
皆さんこんにちは、東安曇です。
今回のシナリオは『バレンタインデーやホワイトデー当日に相手の子を前にして大失敗をこかないように、愛と美の妖精イリアちゃん（とイリヤ君）と一緒に予行演習をしよう』というストーリーです。
GAを組んで、個人的に友人PCと予行演習を行うことも可能です。
ちょっと何言ってんだか分かん無いと思いますが、大真面目です。
皆様の特攻をお待ちしております。
＊ご注意＊
シナリオに登場しないＰＣさんの名前をリアクションに反映することは出来ません。サンプルを参考に、「彼女」「好きな人」などでふわふわーっと濁しておいてください。
PCの行動について
・PCはあらかじめ『挑戦者』か『モニター』のどちらか一方にまわり、行動して頂きます。
挑戦者ＰＣはＮＰＣイリアちゃんまたはイリヤ君を相手にバレンタインデーやホワイトデーなどを想定したシチュエーションでデートの予行演習をします。
モニターＰＣはそれを観察し、評価します。
モニター側の評価が最低値まで達した時に、挑戦者はデート失敗（ゲームオーバー）となり、イリアちゃんからの制裁が行われます。
イリヤ君を相手にした場合は、彼からの制裁はなく大真面目なコメント（いわゆるマジレス）が出ます。
・友人PC同士で予行演習を行うことも可能です。
こちらの場合はモニター役など気にせず、自由なシチュエーションを作って下さい。
なおこちらのアクションの場合ＮＰＣは登場しません。
▼挑戦者
ミルクホールの近くを歩いていたら捕まったというシチュエーションになります。
ＮＰＣのいずれかの友人や知り合い（同窓生）でない場合は、SNSで知り合いが話していたので参加するというシチュエーションでどうぞ。
恋人、またはいずれ現れるかもしれない恋人と最高のデートをする為に、イリアちゃん（イリヤ君）を相手にイメージしているデートを披露しましょう。
基本的には『夜景の綺麗なレストランに行っているつもりで』『水族館に行っているつもりで』などのイメージでミルクホール内で演技を行ってください。
外に出ることもできますが、イリアちゃんの場合は必死に抵抗するでしょう。
イリアちゃんの制裁こと罰ゲームは
モニターのPCから出たセリフや行動をトレースする。
挑戦者のPLから希望で出たセリフや行動を行う。
の２択です。それ以外にマスターおまかせでは柔らかめな表現になります。
▼モニター
頑張る挑戦者諸氏を別室のモニター画面で見守ります。
「こんなシチュエーションは嫌だ」「こんなことをされたら別れる」など、あーだこーだ好き勝手言いまくって下さい。
（※基本的にはコメディシナリオですので、あまりきつい表現になりすぎないようにご注意下さい。）
ＮＰＣ
愛と美の妖精 イリアちゃん
ロシアからきた美少女。美少女だったら美少女。
ヒール込みで１８０センチ近いけどモデルっぽいし普通だよね？ え？ 誰？ イリヤ・ジュラヴリョフ君って言ったの。
いつものイリヤ君
え？ イリヤ君今までどこにいたの？
予行演習で男性相手を希望するPCさんがいると登場します。
愛と美の妖精の付き人
イリヤ君の双子の兄さんエリセイとレナート。
イリアちゃんの兄ではない。
モニターとモブ役
ラノベ作家大道寺 紅緒と、おたく女子高生伊橋 陽毬と、リアルJC水海道 奏と、謎の美女代表御幸 若葉、高知 竹高、日本橋 泉、幌平 馬桐
あたりが適当に出てきます。
イメージするデートにモブ役として登場させることもできます。
燃えかす
水海道 音春