——2月。
旧市街のレトロなカフェ『ミルクホール』では、高校生ライトノベル作家の
大道寺 紅緒がいつものカウンター席の隅で執筆をしていた。
トン、トンとフローリングを鳴らす足音に階段の方へ首を回すと、この店のオーナーの甥っ子兄弟の末弟
イリヤ・ジュラヴリョフが心配げな顔でやってきた。
「雪が降ってきましたよ、大丈夫?」
「あら……、気づきませんでしたわ。天気予報にも無かったのに」
窓から一番離れた席ではよく見えない、水っぽい雪が降り始めていたらしい。傘も持っていなかったが、イリヤは別の方を懸念していた。
「あれだと固まらずに、地面が凍ってしまいますよ。歩き辛くて夜は危ないでしょう」
「よし、紳士の俺が送ってあげよう。傘持ってくんね」
次兄の
レナート・ジュラヴリョフが宣言して奥へ引っ込むと、紅緒は帰り支度を始めた。イリヤは「兄さんが一緒なら大丈夫」と紅緒の肩へコートをかけてやる。
「災難ですね、突然降り出すんだから」
「けれど冬ももうすぐ終わりだと思うと、残念な気もしますわ」
首を傾げるイリヤへ紅緒はこう説明した。
「2月のはじめ頃、季節の区分がありますわ。
『立春』と言って、一年の始まり、春の季節の始まりとされているんですの。
節分は分かるかしら、あれも季節を分ける意味。この時期に出す便りは余寒見舞いと呼ぶくらいだから、寒さはまだ続くけれど——」
「成る程。季節としてはもう春なんですね。そう言えばМасленицаもそろそろだった」
「ロシアにも似たものがあるのかしら?」
「冬にさようならして、春を迎えるお祭りです。人形を燃やしてブリヌイを食べますよ。
あ、兄さんがきましたよ。気を付けて帰って下さいね」
扉を開けた途端、店の中に冷気が舞い込んでくる。
「春の始まり……、まだ実感できそうにありませんわね」
紅緒は友人へ別れの挨拶をしながら苦笑した。
皆さんこんにちは、東安曇です。
こちらはPCの2月上旬の日常の様子描写するシナリオです。
特に制限は設けておらず自由に行動して頂けますが、島外での行動はお控え頂きますよう宜しくお願いします。
ミルクホールでの行動も可能です。
以下のNPCと行動する事もできます。
複数のキャラクターと行動する事も可能ですが、行動する場所(場面)は一、二箇所をお勧めします。
大道寺 紅緒、伊橋 陽毬
エリセイ・ジュラヴリョフ、レナート・ジュラヴリョフ、イリヤ・ジュラヴリョフ
高知 竹高、日本橋 泉、幌平 馬桐、水海道 音春