――ある日突然、羽根が生えたんだって。
――黒い、四枚の翼だったそうよ。
――隣の家のおばさんが、ピンクの可愛い羽根を生やしてるのを見たんだ。
一月下旬のある日、寝子島ではそんな噂が囁かれるようになった。『ネコ島Ch』や『ねこったー』、あるいは学校やどこかの会社の片隅で、ひそやかに。
色や大きさ、枚数もさまざまだという。
白いのもあれば、黒いのもあり、ピンクや青や黄色のを見たという話もあった。
ハングライダーほどもある大きさのものや、飾りのように小さなものもあり、数も二枚、四枚、六枚のを見たという噂もある。また逆に、片翼のものを見たなどという話もあった。
――天使かしら。
――悪魔かもしれねぇ。
そんなことを口にする者たちもいた。
ただ、噂では、翼は一日で消えてしまうらしい。
せっかくだからと、空の散歩を楽しんだと『ねこったー』に書き込む者もいたという。
その一方で、どうやって他人に翼のことを知られず一日を切り抜けようかと必死だった者もいたようだ。
薄野 五月は自分の部屋で、うたた寝の真っ最中だった。腕には大好きなアルパカのぬいぐるみを抱き、胎児のように丸くなって眠っている。その面には、どこか幸せそうな笑みまで浮かんでいた。
「う……うん?」
その彼女がふと、眠りから目覚めた。
といっても、まだ半分は夢うつつだ。
小さく欠伸をして、再び目を閉じようとして、彼女は背中に違和感を感じる。
(何か、背中というか、肩甲骨のあたりがこわばるような……?)
胸に呟いた途端、背後でバサバサと聞き慣れない音がした。
(何? 今の音……)
ようやく、眠い目をこすりながら起き上がり、自分の背中をふり返って――眠気が吹っ飛んだ。
「ちょっと、何、これ……!」
思わず叫ぶ。
それも無理はない。彼女の背には、二枚の白い翼が生えていたのだった。
こんにちわ。
マスターの織人文です。
薄野 五月さま、ガイドへの登場、ありがとうございました。
さて、今回のガイドは、
「突然翼が生えちゃったけど、どうしよう?」がテーマの、フリーシナリオです。
どなたでも、参加可能です。
翼が突然生えてしまった方も、生えなかった方も参加できます。
また、『天使』や『悪魔』のイラストを持っていなくても、参加できます。
空中散歩を楽しんだり、空を飛べることを利用して悪い奴らを退治してみても、面白いかもしれませんね。
また、場合によっては他人の目から翼を隠して生活しなければならないかも?
ともあれ、行動は基本的に自由ですので、どうぞ翼のある時間をお楽しみ下さい。
さて、以下にいくつかPL様向けの情報を書かせていただきます。
◆翼について
・枚数や色、大きさなどは自由に設定して下さい。
・『天使』や『悪魔』のイラストをお持ちの方は、そのイラストと色や枚数などが違っていても問題ありません。
・小さくたたむことが可能です(背中が開いていない服が着られます)。
・自分の意志で広げたり、動かしたり、飛ぶことができます。
・1日で消えます。
◆アクションについて
・翼のある方は、色や枚数、大きさなど、翼について明記して下さい。
例)4枚の黒い翼。大きい。
小さいピンクの羽根が2枚。……など
・翼のない設定の方は、そのことを明記して下さい。
例)翼はありません。
【翼なし】……など
・その他、基本的に行動は自由です。が、具体的に書いていただけると助かります。
以上です。
それでは、みなさまの参加を、心よりお待ちしています。