昨今の映画業界といったら、猫も杓子もリメイクブーム。あの伝説のアクション映画も、泣ける傑作恋愛映画も、大作娯楽SF映画も、みんなみんな、リメイク! リメイクリメイク!
そんなワンパターンのスパイラルに陥った映画界に対する警鐘とか、鬱屈して溜まりに溜まった映画ファンのマンネリ感とか……なんか、そんな感じのナニカが原因だったんじゃないかなーって思うんです。恐らく、きっと。多分?
折しも、言わずと知れた超有名怪獣映画の、幾度目かのリメイク版がいよいよ近日公開間近……という、そんなある日のことでした。
「…………なんだあれ」
がららあん、ごろろおおおん!! そんな音が、島中に響きます。
すさまじい轟音にも関わらず、あんまりにも突拍子も無さすぎるもので、
佐藤 英二は思わずぽかんと見上げて、ごくフツウにそうつぶやきました。
「
ゴアラじゃないか……」
ぎゃおおおおおおん!!(鳴き声)
身長は優に、数十メートルはあるでしょうか。その日、南の海から寝子島へと上陸を果たしたのは、まぎれもない、『
大怪獣ゴアラ』でありました!
「50メートルくらいか。初代ゴアラだな、あれは」
見上げながらにぽつり、冷静にそんなことを言った英二くんは特撮好きでして、ちょっぴりその方面には詳しいのです。近年に作られた比較的新しいゴアラシリーズや海外リメイク版ゴアラは、時代とともに都会に高層ビルが立ち並ぶようになったことに合わせて全長がスケールアップしているため、彼くらいになると、一発で見分けが付くのです。
ゴアラはぎゃおおおおおおん!! と雄々しいような、それでいてどこかカワイイような鳴き声を上げながら、エノコロ岬の先端をぐわしゃーっと踏み砕き、灯台をぽっきんと折ってしまいました。
「……おお……
ユーカリスまで出てきたぞ」
ユガーーーーーーッ!!(鳴き声)
続いて九夜山の山頂付近からにょきっと現れたのは、『
ゴアラ対ユーカリス』のライバル怪獣、ユーカリの樹が突然変異して生まれた『
植物怪獣ユーカリス』! 絡み合う蔦がいくつもの足の役割を果たし、しなる枝葉をぶおんと振り回した拍子に、寝子島ロープウェーの展望台前駅はそっくり吹き飛ばされてしまいました。
「ああ、やっぱり戦うのか……」
巨大怪獣たちは引き寄せられるように、ずしん、ずしんと足音を響かせ地を揺らし、寝子島の中央に向かって歩みを進めていきます。
……ああ! 向かう先にはシーサイドタウン、そして英二の大切な学び舎たる、寝子島高校の校舎が!
なんということでしょう。このままでは、二大怪獣の大決戦によって、寝子島は壊滅してしまいます!!
「映画が中途半端に再現されちまってるみてーだなぁ」
ふあああ……とあくびまじり、ほわほわほわんとどこからか聞こえてきた眠そうな
テオの声は、こんな状況にも関わらず、いまひとつ緊張感というものがありません。
「ふぁ……あふっ。とりあえず、切り分けといたから。世界。
なんとなく映画の脚本っぽいことをしとけば、きっと元の世界に戻れるだろ。たぶん」
「はぁ……」
まっ頑張れよ。と言ってもいちどふわーっとあくびを漏らしたきり、テオの声は聞こえなくなってしまいました。
ずしんずしん、徐々に距離を詰めていくやる気マンマンの怪獣たちを見上げて、平凡を絵に描いたような少年は、所在なくぽりぽりと頭をかきました。
「……どう考えても僕、踏み潰されるモブの役だよなぁ……」
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
ガイドには、佐藤 英二さんにご登場いただきました。ありがとうございましたー!
(こちらへご参加いただける場合は、ガイドのイメージに関わらず、ご自由にアクションを書いていただいて構いませんので! 踏み潰されるモブじゃなくても大丈夫ですので!)
このシナリオの概要
今回は、怪獣映画のシチュエーションが、中途半端に寝子島に再現されて、怪獣から逃げ惑ったり、スーパー兵器に乗り込んで立ち向かったり、『ゴアラは○○しようとしているのかもしれない……』とか意味深なセリフをつぶやいてみたり。そんな感じのシナリオになります。ゆるいです。
近日上映予定の新作映画、リメイク版『ゴアラ対ユーカリス』のシチュエーションが、神魂の影響で、寝子島へ断片的に現れたようです。テオくんが(あくびしながら大雑把に)世界を切り分けましたので、巨大怪獣がいくら暴れても、現実の寝子島に影響はありません。この世界に取り残されたPCの皆さんについても、ゴアラにぷちっと踏み潰されようと、ゴアラビームで丸コゲになろうと、現象が収まれば全て元通りになります。
テオが言うところによりますと、元の世界に戻るためには、みんなでなんとなく怪獣映画っぽい役柄を演じたり、それっぽい行動を取る必要があるとのこと。
モブとして、逃げろー! うわー! とか叫びながらなんとなく逃げ惑う役、特殊兵器を駆りなんとなく怪獣に戦いを挑む役、なんとなく怪獣の生態に詳しい博士の役などなど、なんとなくそれっぽければ何でもOKです。
なんとなく怪獣映画のセオリーが満たされると、なんとなく現象は収まり、なんとなく元の世界に戻ります。
コメディですので、なんとなくご自由にお楽しみくださいませ!
アクションでできること
アクションでは、以下の【1】~【3】の中から、なんとなくやりたいものをお選びください。
【1】逃げ惑う寝子島住人役
怪獣映画には無くてはならない、泣き叫びながら怪獣から逃げ惑うエキストラな皆さんの役です。
地味ながら重要な役どころです。
演じていただくのは、素のまんまでも、なんとなく違う設定を演じてみても構いません。
【2】怪獣に戦いを挑む勇敢な人役
寝子島のあちこちに、対怪獣用の兵器が置いてあります。これらに乗り込み戦いを挑むのも、実に怪獣映画っぽいと言えるでしょう。
置いてある兵器は、以下のようなものがあります。本来の乗り手の姿は無く放置されているので、勝手に使ってもなんとなく乗り捨てても構いません。
○対怪獣メーニャー光線車
パラボラアンテナのような砲塔から、怪獣に効果のある強力な『メーニャー光線』を発射する戦車。
運転席と助手席、砲主席があり、最大3人乗りです。
○ハイパーNX(ニャックス)
空飛ぶダンゴムシのような形の特殊兵器。
怪獣の攻撃に耐える頑強な装甲と、バルカン砲、ミサイル、なんとなくすごいビーム砲など各種武装を搭載。
2人乗り。
○メカゴアラ3号
ゴアラをモチーフに開発された二足歩行の巨大兵器。
メカゴアラパンチ、メカゴアラキック、メカゴアラビーム、メカゴアラドリルなどの武装を搭載。
(これ選んだ人数)×人乗り。
【3】なんとなく怪獣映画っぽい役
その他、怪獣映画になんとなく出てきそうな役がありましたらなら、好きなものをお選びいただいても構いません。
前述の博士っぽい人とか、怪獣となんとなく話せるテレパシーな人とか、頼りない総理大臣とか。
アクションには、上記と合わせて、
・現象に対する心情
(また神魂かよ……、何これ怪獣!?とパニクる、特撮大好きノリノリで、など)
といったあたりもお書きいただけましたら、なんとなく参考にさせていただきます。
その他
●参加条件
特にありません。どなたでもご参加いただけます。
●舞台
切り分けられた別世界の寝子島。『ゴアラ対ユーカリス』の世界観が断片的に再現されているようです。
ちなみに『ゴアラ対ユーカリス』は、過去に上映されたオリジナル版の、何度目かのリメイク作品だそうです。
●NPC
○大怪獣ゴアラ
今や世界の大怪獣、日本の誇るスーパーモンスターです。
モフモフな愛らしい姿から繰り出される、意外と強力なパンチやキック、口から吐き出すゴアラビームなどが武器。
その行動原理はイマイチ不明。なんとなく寝子島に上陸してきました。
○植物怪獣ユーカリス
ゴアラシリーズの中でも印象的な、ユーカリの樹が突然変異することによって生まれた植物怪獣。
蔦を絡ませて足の代わりにして歩き、見た目より俊敏。伸びる蔦を絡ませて締め上げたり、鞭のように打ち付けたり、ユーカリの葉っぱをマシンガンのように発射したりします。
なんとなくゴアラが嫌いなのか、なんとなく敵意を燃やしているようです。
●備考や注意点など
※上記に明記されていないNPC、及び今回のシナリオには参加していないPCに関するアクションは基本的に採用できかねますので、申し訳ありませんが、なんとなくご了承くださいませ。
以上になります~。ちなみに、墨谷はそんなに特撮に詳しいわけではないです。お手柔らかに!
それでは、皆様のご参加をなんとなくお待ちしております。