ある日の夜。
都内の某ホテルの一階、ランデブーラウンジで、スーツ姿の男性が人を待っていた。
初老に差し掛かった外見で、革張りのソファに足を組んで座る姿は傍目からは落ち着き払って見えるが、実は何度も入り口を見てソワソワしている。
彼が待ち合わせているのは、中学三年生になる息子だった。かつて共に米国で暮らしていた元妻に親権を手放した息子は、小学生の途中で日本へ渡ってしまった。
それでも息子は長期休暇になるといつも米国で過ごしているが、去年の夏と冬は仕事が忙しくて都合をつけられず、今日はじつに一年ぶりに顔を見られるのだ。
元気にやっていただろうか。背は伸びただろうか。期待に胸が膨らんでいく。
「——久しぶり」
「どうした——!?」
遂にやってきた対面の時……だと言うのに、息子——日本橋 泉を見上げることになって、思考と動きが完全停止した。長身と言われる自分を軽々越えたデカすぎる背丈と、紫色のグラデーションに染められた奇抜な髪。男子三日会わざればと言うが、一年間で息子に何が起こったのだろう。
「ん? ああこれか」
息子は父親が自分の頭に釘付けになっているのには気づいたものの、それが何故なのかは分かっていないようだ。
「お袋の友達の美容師の人覚えてる? 前日徹夜だったのに無理でも顔だせって言われてさ。行ったんだけど椅子座った途端爆睡してたみたいで、起きたら」
「そ、そうか……。お前の好みではないんだな」
「紫より緑の方が好きかな。赤かピンクだったらキレてたけど、今のは悪くない」
「……卒業式もそれで出るのか?」
「うん。でもまあ、そのうち。今度は人間から生えそうな色にして貰うよ」
「そうか……、そうか…………背が伸びたな、随分……」
——息子が分からない。容姿の変化は受け入れるとしても、頭は紫だし。それで悪くないみたいだし。そもそも今のはジョークのつもりなのだろうか。
沈黙の間にどっと出た冷や汗を眼鏡を直す振りをしながらこっそり抑えていると、そんな父親の気持ちを汲んでくれたようだ。
「父さん飯は?」
息子の方から一歩あゆみ寄ってくれた。
「奢ってよ。ここ敷居高すぎだから外がいい。そんくらいの時間はあるんだろ」
そう言って笑った顔に幼い頃の姿を思い出し、近頃めっきり弱くなってしまった涙腺が刺激された。
「ああ、そうだな。食事でもしながら——」
積もる話をしよう。
離れて暮らす両親と、兄弟と、友人と……、彼らと久々に会う時間をどのように過ごそうか——。
皆さんこんにちは。
今回のシナリオは、『離れて暮らしている人と再会して、共に過ごすひととき』をテーマにしています。
下記とサンプルをご参考に、ご自由にアクションをお掛けください。
このシナリオは特別に、同一PLさんによる「GAを組まれるPC2名」まで、
抽選日時前でも参加申込みが可能です。歓迎です。
(ただしその場合、1PLさんにつき1ペアまででお願いします)
※グループ参加機能の利用は関係ありません。
利用してもしなくても、GAを組んでいればOKです。
それでは皆さまのご参加をお待ちしております。
家族や友人について
・家族、親戚、友人などどのような関係でも構いませんが、続柄は必ずご記入ください。
・会う場所は島外も描写できますが、1日以下で済む場所でお願い致します。
▼キャラクター登録されている家族
・必ずGAでご参加下さい。
登録されているキャラクターがご参加頂いていない場合、描写をすることができなくなってしまいます。ご注意ください。
▼キャラクター登録外の家族
・お相手のキャラクターはNPC寄りで描写致します。
人数が多くなると「同行していた」「その場にいた」程度の描写になります。
・キャラクターの名前、容姿などの情報をアクションと一緒にご記入ください。
下記のテンプレを使用するか、ご自由にご記入ください。口調など指定がない場合、ほとんど喋らなくなるのでご注意ください。
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続柄:
名前:
年齢:
外見:
口調:
性格:
行動:
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