そろそろ皆が帰ろうという放課後、
岡野 丸美はいつものようにちょっとした落書きを楽しんでいた。
『ねむれない……』
頭の中に、そんな声を、聞いたような気がして。
丸美は落書きの手を止めて耳をそばだてた。
『ねむらなきゃいけないのに、あそびたりないよ』
辺りを見てもいつもと変わらぬ教室。
声の主が近くにいる様子はない。
「あなた誰? どこにいるの?」
問いかけてみれば。
『おやまで、とうみんしてたんだけどめがさえて、ねられなくなっちゃった。ちかくからもこえやおとがするからよけいねむれないし。だれかいっしょにあそんでくれないかなあ』
「そうなの……」
ねこったーにはこんな書き込みも見つかった。
『九夜山でなんかあったのかな。鳥がやけに騒がしい』
『山からタヌキが降りてきたのを見たぜ』
「九夜山に行ってみようかな」
自分に何ができるだろうかと考えながら、丸美は支度を始めた。
こんにちは、天村です。
岡野 丸美さんにガイドにご登場いただきました、ありがとうございます。
九夜山で、多くの冬眠中の動物たちが目覚める事件が発生しています。
リス、アライグマ、クマ、カエルなど……彼らは目がさえて外で遊びたくなっているようです。
神魂の影響で、数時間の間動物と意志の疎通ができます。
よく眠れるよう、一緒に遊んであげましょうか?
雪は山の上のほうに少しあります。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしております。