シーサイドタウンに位置するクリスマス雑貨店
『Joulupukki』。
その店頭に設置された
『サンタ★ポスト』にサンタクロース宛ての手紙を投函した
トワ・E・ライトフェロゥは、その帰り道、今日も今日とて元気に迷子になった。
そのことに気づいているのかいないのか、とにかく、トワは機嫌よく街を行く。
と、ふとその足が、寝子島駅の前で止まった。
駅前のベンチに人が座っている。深紅の衣装を身に纏ったその姿は、まるで――
「Wow! さんたくろーす、見つけたデス! ひげはナイ、ケド!」
クリスマスが近づくとよく街で見かけるサンタルックなその人は、若い男性のようだった。
ベンチに座ってうなだれている青年の元へと、トワはてててっと駆け寄っていく。
「どうしたデスカ、さんたくろーす? Gift、なくしたデス? それとも、partner、いなくなったデスカ?」
トワの声に顔を上げたサンタな青年は、「そうじゃないよ」と少しだけ笑った。
どうやら、プレゼントの入った大きな袋を失くしたわけでも、トナカイとはぐれたわけでもないらしい。
「じゃあ、なんでさんたくろーすは元気ないデス?」
「……僕だけじゃ、力不足なんだ」
「チカラブソク?」
「僕はサンタクロースの……いわば見習いのようなものだから、子供たちにプレゼントを配って回るような、ベテランのサンタクロースみたいなことはできない」
でも、そんな自分にも立派な使命があるのだと青年こと見習いサンタは言う。
「この寝子島の人たちに小さな幸せ――ささやかな奇跡を届けること。それが僕の役割なんだ。だけど、どうにも上手くいかなくってね……」
ため息を零す見習いサンタの姿にトワはほんの少し考え込んで――やがて、ぱあと表情を輝かせた。
「トワ、good idea、思いつきマシタ! トワがさんたくろーすのお手伝いするデスヨ!」
「……君が、僕の手伝いを?」
目を瞬かせる見習いサンタへと、トワはえっへん! と胸を張ってみせる。
見習いサンタは何やら思案顔を作って、けれどじきに、ふんわりと微笑んだ。
「それじゃあ、お言葉に甘えて可愛いお嬢さんの手をお借りしようかな。この帽子を君にあげよう」
見習いサンタが言うと、彼の手の中にまるで手品か魔法のように赤いサンタ帽が現れる。
トワはそれを、彼の手から受け取った。
「それを被って念じれば、君はサンタの格好――あるいは魔法使いとか、ともかく、君が望んだ服装に変身できる。長くても今日一日の間だけだけどね」
そして、その間はほんのひとつ、たった一度だけ、ごく小さな奇跡を起こせるようになるのだとか。
「その力で、誰かをほんのちょっぴりでいいから幸せな気持ちにしてほしい」
「トワが手伝ったら、おしごと早く終わるデス。そしたら、一緒にChristmas party楽しめるデスカ?」
トワの問いに、残念だけれど自分はこの使命を終えたらもう姿を保てなくなると見習いサンタは答えた。
「でも、この島の人たちがほっこりとあたたかい気持ちでクリスマスを迎えられるなら、それは僕にとっても格別幸せなことだよ。そういう意味では、僕もそのパーティーというのを君たちと一緒に楽しむことができる」
何だかちょっと切ないような気もしたけれど、そう言った見習いサンタの顔は本当に幸せそうだったので、トワは真剣な顔でこくりと頷いた。
「お手伝い、がんばるマス! Let’s enjoy!」
お世話になっております、巴めろと申します。
このページを開いてくださってありがとうございます!
今回は、クリスマスイベントの『サンタさんに手紙を送ろう!』企画より、
トワ・E・ライトフェロゥさんのお願いを担当させていただきました!
(もしこのシナリオにご参加いただける場合、ガイドは一例ですのでご自由にアクションをかけてくださいませ)
このシナリオの概要
神魂の影響で寝子島に現れた、見習いサンタのお手伝いをしてあげてください。
寝子島のどこかで、『誰かをちょっぴり幸せにする』のがお手伝いの内容となります。
後述の不思議なサンタ帽の効果を使っても使わなくても、目的が達成できれば大丈夫です。
1人で複数人を一度に幸せにしてもいいですし、GAで複数人で1人を幸せにするのもOKです。
見習いサンタについて
出現した見習いサンタは1人ですが彼は人とは異なる不思議な存在ですので、
寝子島駅前以外の場所でも、寝子島内ならどこででも出会うことができます。神出鬼没。
彼の姿を街に見かけるのは、きっとその日の間だけかと思います。
彼から貰ったサンタ帽は、後述の変身が解けた時にただのサンタ帽になってしまいます。
サンタ帽のイラストをお持ちの方は(周りに信じてもらえるかはわかりませんが)、
この見習いサンタからもらったことにしてしまっても構いません。
不思議なサンタ帽について
見習いサンタがくれるサンタ帽には不思議な力があります。
まず、帽子を被るとその人が望んだ服装に変身できます。
「普通のサンタをイメージしたのにミニスカサンタになっちゃった!」
くらいの誤差はあるかもしれません。アクションにてご指定ください。
変身できるのは1度だけで効果は長くてもその日1日しか持続せず、
1度変身すると少なくとも目的を達成するまでは元の姿に戻れません。
目的達成後は任意で変身を解除できますが、再変身はできませんのであしからず。
また、変身の効果はコスチュームが変わるだけとなっております。
変身によって特殊能力を得たり、服装以外(年齢・性別・体つきなど)が変わったりはしません。
コスチュームはクリスマス関連でなくても問題ありません。
例えば魔法少女でもヒーローでも、ゲーム世界の冒険者でも、モンスターでも、女装・男装でもOKです!
また、帽子を被ると、たった一度だけ、ごく小さな奇跡を起こせるようになります。
ケーキを持った子供が転びそうになる→不思議な力でこけずに済んで子供もケーキも無事!
……みたいなレベルの本当に小さな奇跡です。
奇跡に関しましては、『ごく小さな』の定義が曖昧ですので可能な限り好意的な判定をいたしますが、
場合によっては希望と異なる結果も起り得ますのでご了承くださいませ。
ですが、シナリオの趣旨上、後味の悪いことにはならないよう最大限配慮いたします。
小さな幸せを届ける相手について
モブNPCとシチュエーションを自由に設定していただいてOKです!(サンプルアクション参照)
また、本シナリオ内では下記のNPCの姿を見かけることができますので、
彼らに幸せを届けていただくという選択肢もございます。
下記NPCたちはそれぞれにしたいことがあって街に出かけている様子ですので、
長時間の拘束は避けてあげていただけますと幸いです。
なお、彼らはモブNPCほどは思い通りに動いてくれない可能性がありますのでご注意を。
NPCと行動を絡めたい場合はそのNPCとの関係性(初対面・知り合い・クラスメイト・友人など)を、
アクション内にてお教え願えますようよろしくお願いいたします。
野々 ののこ:旧市街の参道商店街をうろうろ散策中です
北風 貴子:旧市街の寝子島駅付近で美化活動に励んでいます
桐島 義弘:何やら買い物があるようでシーサイドタウンの駅ビルmiaoを訪れています
それでは、見習いサンタのお手伝い、ご縁がありましたらよろしくお願いいたします!