鬼の霍乱
普段は丈夫な人が、珍しく病気になる事。
吉田 熊吉
寝子島高校3年9組担任の体育教師。主な通称『熊先生』であり、
生活指導担当および相撲部の顧問。
――寝子高・職員室
(なんか、体が重いな……)
相撲部の顧問として稽古を見ていた熊吉が、帰宅しようと荷物を取りに戻る。だが、ここにきて急に身体が思うように動かなくなっていた。この日は朝からなんとなくけだるさが抜けなかったが、ここにきて少し寒気を覚えるようになってきている。
(頭と関節も痛み出したな。熱でも出てきたか……)
熊吉はふぅ、とため息をつく。と、職員室に入ってきた
相原 まゆが慌てた様子で駆け寄った。
「よっ、吉田先生大丈夫?! 顔色がすっごく悪いわよ!!」
「いや、大丈夫だ。少し寒気がするだけだ……」
と、熊吉はいうものの、声に元気が無く、とても小さい。まゆは表情を険しくした。
「少し休んだほうがいいんじゃないかしら。保健室に」
「いや、ちかが幼稚園で待っている。迎えに……」
「いやいやいや! そんな身体で行くなんて無茶よ! あぁ、もう!」
まゆはそう言ってどうにか熊吉を保健室に連れて行こうとするが、小柄な彼女では(体格的に)不可能である。故に、誰か手伝ってもらえないか人を探すのだった。
(あれ?)
ちょうど職員室にやってきた
高峰 一馬はぐったりとした様子の熊吉に目を丸くした。彼の記憶が確かなら、昼間見かけたときは普段どおり元気に「バカタコがーっ!」と生徒を叱っていたのだから。
「ちょうどいいトコにきたわね。悪いけど、吉田先生を保健室に連れて行きたいの。手伝ってくれる?」
「俺でよければ。しかし……」
一馬はそこまで言って違和感に気付いた。目の前のまゆもあまり良い体調とは言いがたいような様子だったからだ。まゆの顔は赤く、どことなく気だるそうにみえたからだ。
「相原先生は、大丈夫なのか?」
「あたし? さっきから妙に寒気はするけどそれぐらいかしら。まだ動けるから大丈夫」
一馬がまゆを気にしつつ熊吉に肩を貸したとき、妙に倦怠感を覚え同時に悪寒もした。
(どういう事だ、これ? なんか……おかしい)
不思議に思っていると、熊吉がきつそうに呟いた。
「ちか……の迎えに……」
そこまでいうと、熊吉のまぶたが落ち、寝入り始める。急にずっしりと肩にのしかかる重さに一馬はバランスを崩しそうになる。
「さすがに、ピンチ、かな」
どうにか踏ん張りながらも一馬はぽつり、と呟いた。
そしてその頃。生徒達や他の先生の中にも急に風邪の症状を自覚する者達が現れた。中には身動きが取れないものもいるようだった。放課後の寝子高でおこった集団発熱に、ねこったーも慌しく流れていく。
『急に寒気がしてきた。風邪かなぁ?』
『さっきまで元気だったクラスメイトが、急に顔色が悪くなって倒れこんだぞ』
『どうしよう、頭がくらくらしてきた……』
果たして、これはどういったことだろうか?
* * * * *
「くっ、なんてことだ……」
その時、もれいびたちの脳裏にテオの声が聞こえる。だが、鼻声な上どことなくきつそうである。
「あのふてぇ身体の先生いただろ? そいつの風邪は神魂の影響をうけてやがる。 そいつの熱を下げてやらねぇと、おまえらの症状もなくならねぇぞ」
テオ曰く、神魂効果で寝子高周辺の人間にも風邪の症状が出ているのだと言う。また、24時間以内に解決しなければ寝子島全体に広がるとも……。
「厄介な事に、そいつの風邪はただの風邪じゃねぇ。自然にはなおらねぇみたいだ。……だが、特別な薬が必要という……わけじゃ、ねぇ……。やさしさを……」
相当しんどいのだろうか、テオは息も絶え絶えに言うと通信が切れてしまった。もしかしたら、眠ってしまったのかもしれない。
――こうして、熊先生だけでなく寝子島のピンチを救う戦いが幕を開けるのであった。
菊華です。
風邪がはやっているとの事でこのようなシナリオに。
難易度:★★★★
(判定が厳しいシナリオです。油断すると、痛い目を見ます。)
※難易度について、くわしくはマスターページをご覧ください。
※このシナリオは寝子高生であるか否か関係なく参加できます。
※このシナリオに参加した皆さんは問答無用で風邪の症状がでてきます。
症状については皆さんにお任せしますのでアクションに記載してください。
軽い倦怠感や発熱から、高熱、腹痛や喉の痛みなどご自由に。
概要
吉田先生が、風邪を引きました。しかも風邪のウイルスが神魂入りです。
その結果、発熱や倦怠感、咳など風邪の症状が寝子高周辺の人々にも現れました。
現在は寝子高周辺で止まっていますが、時間の経過と共に広がって行き24時間以内に解決しなければ寝子島全体に広がるでしょう。
また、なぜか薬が効きません。(神魂の効果が邪魔をするようです)
しかし、ある事をすると吉田先生の症状が改善します。
吉田先生の熱を平熱(36度~36度5分)に下げる事で、症状はなくなります。
という訳で吉田先生を助けてあげてください。
因みにですが、仲間内だけで看病しあうというアクションでもOKです。
シナリオガイド時点での状況
・放課後からはじまります。
寝子高には部活動や委員会活動などでまだ多くの生徒が残っていますが、
風邪の症状に悩み始めています。
・吉田先生のほかにも数名の生徒や先生が保健室にやってきています。
・寝子高周辺にいた人々も風邪の症状を自覚し始めました。
・旧市街および星ヶ丘では、まだ症状を訴えている人はいません。
ですがシーサイドタウンではチラホラ影響が出始めている模様です。
・気温はちょっと低め。空気も乾燥しています。
・ちかちゃんは幼稚園でお父さんのお迎えを待っています。
・テオは寝子高の中庭でぐったりしています。よかったら助けてくれると幸いです。
登場NPC
吉田 熊吉
現在は熱を出し保健室のベッドで横になっています。
幼稚園にいる娘のちかちゃんの事が気がかりです。
相原 まゆ
熱が上がりはじめた状態ですが、どうにか吉田先生を家まで送ろうと栄養ドリンクを
飲んで気合を入れています。
鷲尾 礼美
倦怠感を覚えつつもどうにかがんばって職務を全うしています。
ですが、熱で動けない生徒や教員が増えた事でベッドが足りず、
きつそうに簡易ベッドの用意をしています。
その他、必要であれば寝子高関係のNPCが登場します(現在の状態は下記のとおりです)。
野々 ののこ:微熱ですが、喉に痛みがあり咳が止まりません。
のど飴を買いにコンビニへ行っています。
五十嵐 尚輝:39度の高熱ですが頭がぼ~っとした状態で
実験の後片付けをしています。
その他の寝子高関係NPC:症状は相原先生とさほど変わりません。
それでは、よろしくお願いします。