仲良くなりたい｜リアクション

仲良くなりたい

☆胡乱路秘子

「何、秘子ちゃんを見たって？！」
　八十八旗信彦は、放課後聞こえてきた噂話に色めき立った。
「素敵なレディに声をかけるのは紳士の務めさ！　今度こそデートに誘ってみせるよ！」
　信彦はミステリアスで神出鬼没な秘子に興味津々で探しまわっているのだが、上手く捕捉できない。
「一緒に特番の司会もやっているんだから、嫌われてるはずはないさ！」
　目撃情報を頼りに北校舎までやってきたが、秘子の姿はない。
「秘子ちゃーん！　どこにいるんだい？！」
　名前を呼びながらキョロキョロしていた信彦が、ふと真剣な顔になった。
「俺の紳士的第六感にビビッときたよ！　秘子ちゃんがあっちにいる、気がする、多分！」
　言うが早いか、駆け出していく。
「んふふ」
　いた。独特な笑い。ピンクの長い髪がひるがえる。
「秘子ちゃん！」
　しかし、駆け寄ろうとしたその時、隣の家庭科室からただ事ではない騒ぎが聞こえてきた。
「うっ、もしやレディのピンチ！？　ちょっとだけ待って、秘子ちゃん」　
　信彦は家庭科室へと駆け込んで行く。
　その隙に秘子は去っていってしまった。