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<CI@SP>Evergreen≒Deciduous
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●小鳥の為のPas seul●
1階から階段へ、ふわりとした足取りで進む影があった。
今まで静かに状況を見守ってきたかに見えた、
大天使 天吏
だ。
天吏は以前まみえた緑色の小鳥について、深く思案していた。
灰の猫が言った小鳥の故郷は、間違いなくキャットアイランドの事だろう。
(ならばこのことあのこ、両方を助けようとしている小鳥を助けなきゃ)
小鳥を助ける事。
それが彼女にとっての一番の、唯一といっても良いくらいの目的。
2階に上がると、もれいびたちが人形やぬいぐるみに対抗しつつ奥の部屋をひとつずつ確認している最中だった。
天吏は手近な場所にあった木製の帽子スタンドを手に取ると、ゆっくり彼らの方へと進む。
部屋の中に入っていった面々が、シーツなどで人形たちが再び暴れ出さないようにしている様子を見て、ひとつだけ残っている閉ざされたドアを見て。
(ここにいるのね)
彼らを尻目に、天吏は最後のドアを開いた。
中は暗い、昼間でもカーテンを閉め切った物置代わりの部屋のようだ。
いの一番に飛び出してきた人形たち目掛けて、帽子スタンドを振り下ろす。
柔らかいぬいぐるみはあまり手応えはなく、プラモデルの玩具からは嫌な衝撃が伝わってくるが気にしない。
所詮は無機物、鳥の前では価値はない、と。
扉越しの歌が効いて既に動かなくなっている人形もあるらしく、天吏はすんなり部屋に入り、ドア横の壁を探ってスイッチを入れた。
「……っ!」
急に点った蛍光灯の下、真由美は部屋の奥で人形たちに守られながら泣き腫らした目を見開いて彼女を見上げていた。
天吏は無言だ。
言葉を発さぬまま、帽子スタンドを振り回して襲い掛かってくる人形を薙ぎ払い、少女に近付いていく。
当然天吏も無傷ではいられないが、体当たりされようと引っ掛かれようと、退くつもりは毛頭なかった。
ロボットの人形が放った無数の小さな銃弾は、剣山を思いきり押し付けられるような痛みだ。
天吏の青い右目は、真由美の手の中にある弱々しい緑の光を見る。
笑い声が精神を苛んでよろけても、小鳥への想いが足を進ませた。
(あの子を、助けるの)
真っ直ぐ、まっすぐ、少女へ向かって。
「ぁ……やめ……」
人形にか、傷付いても進む事を止めない彼女にか分からない制止の言葉を呟く真由美は、青褪めていた。
ぬいぐるみたちが山積みになり、これ以上進めないところまで距離を詰め、天吏はようやく足を止める。
「……ねえ、なんでその鳥はそんなに弱ってるのかしら? 餌はあげた?」
淡々とした声に、真由美はびくっと肩を震わせる。
傷付いた美しい女性が無表情で見下ろしてくる姿に、小さな子供には恐怖を感じさせたかも知れない。
「鳥は自力で餌が食べられない時は、喉奥まで強制給餌をしないと食事が摂れない。目の前に餌を置いてクチバシを動かせると思った?」
責める口調になるでもなく、彼女は静かに続けた。
「そのう炎を防ぐためにも、発酵し易い食品は与えてはいけないの」
天吏の一方的な説明を理解する以前に、真由美の思考は今の状況に追い付けていないようだった。
それを悟った彼女は、仕方ないわねとでも言うように目線を下げる。
「……あっ」
直後、真由美が驚いたように声を上げた。
天吏の背後目掛けて、鮭を咥えた木彫りの熊が飛んできたのだ。
「おっと!」
その時、素早く弧を描くように熊と天吏の間に割って入った影があった。
掌から発されたバリアが、熊を弾き飛ばす。
「レディの背後を狙うなんて、無粋な熊だな」
渚砂の後に部屋に入ってきたシグレが肩を竦め、携帯を取り出した。
「すごいな。壁越しにも聞こえてくる」
一緒に歌を口ずさむ祐は、渚と一緒に天吏を守るよう後退させた。
「大丈夫ですか?」
駆け寄ったレティシアが天吏の手を取る。
「……」
単独で動いたにも拘らず、まるで仲間のように自分を助けた者たちの姿を黙って眺め、天吏は傷が癒えていくのを感じながら真由美に首を向けた。
「あなたが今まで他人に守られてきたように、この鳥もより知識を持った生き物に守られないと死んでしまうわ」
彼女なりに、知識のない相手に噛み砕いた言葉を投げ掛ける。
「……鳥は、人間の悲しみを埋めるための玩具ではない。あなたと同じ、生き物よ。帰る場所を、誰かを、何かを求めてるの」
少女の瞳が大きく揺れた。
シグレから連絡を受けた外の者たちも、屋内に入り上階を目指し始める。
近付いてくる歌声を背に、夏朝はハラハラと状況を見守っていた。
比較的後方にいる自分たちは、今は人形の攻撃に晒される心配は少ない。
けれど真由美の近くにいる人形たちは、常に力の影響を受けている状態なのか、歌の効果で一瞬動きを止めてもまたすぐに動き出してしまう。
「埒が明かないな」
袋状にした布に引っ掴んだ人形を放り込みながら、シグレは苦笑した。
いっそ一網打尽に出来れば楽だが、ここまで来て破壊に走っては今までの苦労の意味がない。
何かもうひとつ、状況を打破する一手さえあれば。
「もう少し、近付けないかな……」
まほろがぽつりと呟き、自分のぬいぐるみをぎゅっと抱き締める。
「あんなに目を真っ赤にして……早く安心させてあげたい……」
彼女のろっこんを使えば、少女の胸の痛みも和らぐだろうか?
(どうしよう……思いつかないよ)
ぐるぐる考えを巡らせながら、夏朝は聞こえてくる歌声に合わせてそっと『Le etoile』を歌い始めた。
気付けば、スマホから流れていた曲は止まっていたけれど、胸を震わせる歌声は続いている。
(この声は、皆の願いは……!)
「幼い君の、希望乗せた……緑の星、が……!」
(幼い君の手の中の、
小さな緑の星……消えないで!
)
強く祈った瞬間、さあっと道が開けるように真由美の目の前の人形たちが左右に転がった。
「……え」
まるで物語に出てきた、海が割れて出来た道のようだ。
止まった人形に巻き込まれた他の人形が、その下でもごもごと動いている。
「さあ、早く」
「遠野さん!」
「う、うん」
シグレが差し伸べた手を取って、夏朝はまほろにパペットの嵌った手を伸ばす。
二人に引っ張られるように、まほろは真由美の前に躍り出た。
「えっと」
微妙な緊張感を巡らす動く人形たちと仲間たち見回し、まほろは少女の前に屈んで微笑んだ。
「……ぬいぐるみさんたちを呼んだのは、あなただよね。他のぬいぐるみさんたちの心も一緒に伝えるよ」
ねこさんとうさぎさんを抱き締めて、意識を集中させる。
「みんなきっとこう思ってる。大丈夫、『きみのみかた』だよ」
「……」
赤くなってしまった目で、真由美はじっとまほろを見上げた。
呼吸は落ち着いて、頬には少し赤みが戻ってきているように見える。
「小さなレディ、小鳥さんに会いたいかい?」
側に方膝を突き、目線を合わせたシグレが優しい笑みを浮かべた。
真由美は恐る恐る、自分の掌を見下ろす。
弱々しい光に包まれて横たわる、緑色の小鳥の姿を。
「……真由美」
その時、娘を呼ぶ養母の声がした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
羽月ゆきな
前回シナリオ
<CI@SP>マヌカノイドはリアル・ワールドの夢を見るか
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
バトル
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年03月20日
参加申し込みの期限
2014年03月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年03月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
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