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空中散歩デートジェラート
【夏】空をゆくゴンドラの中で
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初夏の空は清々しく広がっているが、空気は澱んだように暑い。
日本の蒸すような暑さは独特だ。
エリューシア・セリアン
は額から流れる汗をハンカチで拭いながら息を吐いた。
目の前には、大きな大きな大観覧車。べたりと青のインクで塗りつぶしたような空の中に、そびえるようにして立っている。そのふもとにジェラートの屋台が出店していて、街中で配っていたチラシになんとなく惹かれたエリューシアは星ヶ丘の寮からわざわざ食べに訪れていた。
どうやら本土では名の知れた有名店であるようで、行列も少なくない。ようやく自分の番が回ってきて、ショーケースを見ながら注文を済ませたときだった。
「ねえ、きみ」
とんとん、と肩を叩かれたのと同時に聞こえてきたのは、落ち着いた声。
彼女はこの声を知っている。あまり耳慣れないけれど、どうしてか彼女の心をざわめかせるその声を、知っている。
「やっぱり、エリューシアさんだ」
振り返ると、そこに立っていたのは金の髪をした男性だった。
暑く澱んだ空気が、まるで蜃気楼のように辺りを揺らめかせる。夢の中で出会った彼の姿に、エリューシアは目をしばたかせた。
「柊斗、さま」
彼女は彼の名前を知っていた。夢のような霧の中での出来事は非現実だったかもしれないけれど、残った記憶は現実だった。おそるおそる彼の名前を口にしてみると、その男性――
五十士 柊斗
は安心したように顔をほころばせる。
「よかった、俺の名前、覚えててくれたんだ」
そう言う彼の手にも、ジェラート屋のチラシが握られている。どうやら彼もここまで買いに来たらしい。
「あの、そちらのお客様も、ジェラートはお決まりでしょうか?」
二人の運命的な再会も、店員にとってはただの知人同士の挨拶にしか見えなかったようだ。控えめに尋ねかけてくる店員に、ああ、と五十士は思い出したようにショーケースに目線を動かす。
「すみません。そうだなぁ……じゃあ、これで」
「かしこまりました。それではカップルでの購入ということで、観覧車のチケットもお付けいたしますね」
店員が続けた言葉に驚いてエリューシアは顔を上げる。が、五十士はどうということもない表情でうなずいてみせた。
ありがとうございます、と受け取ったのは二つのジェラートと一枚のチケット。
行列から離れながら、五十士は受け取っていたエリューシアの分のジェラートを手渡した。
「はい、これ君のぶん。……あとこのチケット。どうせならと思ってもらっちゃったけど」
そう言いながら隣を歩くエリューシアの方を向くと、彼女は落ち着かない様子で視線をさまよわせている。
「……あ、ごめんね。カップルだと間違われちゃったの、気にしてる?」
優しくうかがうような五十士の口調に、はっとエリューシアは顔を上げて首を大きく横に振った。
「い、いえ、違います! あの、ただ、ちょっとびっくりしてしまって……」
16歳と20歳。たった4つの年の差は思いのほか高く遠い。
年頃の少女にとって、恋人という概念は大いなる憧憬とかすかな畏怖の混じったものである。ただ間違われただけなのに、どきどきと落ち着かない。
そんな少女の内心を知ってか知らずか、五十士はあくまでマイペースにうなずいてみせた。
「そっか、ならよかった。ええっと、じゃあどうしようか。せっかくなら乗ってみる?」
五十士の気取らないその誘いに、エリューシアはささやかな勇気とともに小さくうなずいてみせた。
「はい。私でよければ……」
やけに顔が熱い。
火照っているのは暑さのせいかしら、とエリューシアは気持ちを落ち着かせるように一口ジェラートを食べる。
ゴンドラの中の空気は独特だ。
狭い密室の閉塞感と、窓の向こうに広がる青空の解放感。その少し現実離れした空間が五十士は好きだった。
向かいに腰掛けるエリューシアはどこか所在なげだ。きっと緊張しているのだろう。どんどん高くなっていく景色に、五十士は小さく息を吐く。よく考えてみれば密室に女の子と二人きり。そう意識してしまえばなんだか妙に気恥ずかしい。
誘った手前、ここで引いていても仕方がない。五十士は正面で頬を赤らめる少女に小さく微笑むと、ゴンドラから見える風景を指差した。
「ほら、見て。今の時期は星ヶ丘の人たちがよくヨットを出してるんだ」
五十士に言われてエリューシアが視線を向けると、いくつかのヨットが海の上を滑っているのが見えた。色とりどりの小さな三角はまるで魚のように気持ち良さそうに漂っていて、思わずエリューシアも目を細める。
「本当、とても楽しそう。……あっ、あちらで何かが跳ねました!」
海側の窓に目を向けていたエリューシアが、何かを見つけたように指を指した。え、どこ、と五十士もそちらに顔を向ける。
「なんだろう、イルカとかかな?」
「こんなところに泳いでるんでしょうか……」
そう言いながらじいっと海を見つめるエリューシアの目に、再び何かが小さく飛び跳ねるのが見えた。
ほらあそこに、と思わず立ち上がって指差したときだった。折りよく強い風が吹いて、ぐらりとゴンドラが揺れる。その弾みでバランスを大きく崩したエリューシアは、その細い体を大きくよろめかせた。
「きゃ……!」
悲鳴を上げたのと、ふらついたその体を五十士が思わず抱きとめたのはほぼ同時だった。
あたたかな体温。触れ合っていたのは一瞬だったかもう少し長かったか。
先に我に返った五十士は、思いがけず彼女に回していた腕を離して彼女を起こそうとした。自分の胸辺りに顔を寄せ、どきどきするほど近いところに見える彼女からはふわりといい匂いがする。その女性らしい空気に思わずぼうっとしてしまいながら、五十士は口を開いた。
「ご、ごめん……! ふらついてたから、その」
動揺したようなその声に、エリューシアもはっと慌てたように起き上がる。
「あ、いえ……その、私の方こそ大変失礼しました……!」
透明感のあるその白い頬をみるみる赤く染めながら、エリューシアはうつむくようにして謝った。
柔らかであまり雄雄しさを感じさせない五十士であったが、自分を抱きとめてくれたその腕はしっかりと男性らしい頼もしさがあった。
「いや、俺は大丈夫。エリューシアさんは怪我してない?……あ」
何かに気づいたような五十士の言葉に、ふとエリューシアは伏せていた顔を上げる。すると、彼の手首の辺りに少しジェラートがついてしまっているのが見えた。
その色は、先ほどまでエリューシアが食べていた味のものだ。先ほどの弾みで、カップから溶けたジェラートがついてしまったのだろう。
「ごめんなさい! 今拭きますね……!」
再び頭を下げて詫びると、エリューシアはカバンからレースのハンカチを取り出した。そんな彼女の様子に、いいよ、と五十士は小さく笑って首を振る。
「大丈夫だよ、これくらい。ハンカチが汚れてしまう」
「で、でも……」
事もなげに言うと、五十士は手首についたそのジェラートをぺろりと小さく舐め取った。かぐわしい香りと控えめな甘さは、なぜだかとても彼女に近しいような気がする。
「ん、こっちの味もおいしいね。今度はこっちを食べてみようかな」
彼の仕草に目を丸くしていたエリューシアだったが、その冗談めかした言葉に思わず笑みを見せた。
「そうなんです、そのジェラートもとっても美味しかったんですよ」
「うん。俺の方も美味しかったし、ここの店、けっこういい感じだね」
五十士はそう言いながら窓の外に目を向ける。
観覧車は、いつの間にかもうゆっくりと降下を始めていた。
今度、という言葉が頭のどこかに引っかかっている。
15分は絶妙な時間だった。間延びせず、楽しく胸の高鳴るようなひとときを詰め込むにはちょうどいい長さだ。
「家は星ヶ丘だっけ? せっかくだし、駅まで見送るよ」
ゴンドラから降りたエリューシアは、五十士と共に駅まで歩いていた。五十士の申し出に悪いと思いながら、このままあっさり別れるのも少し心さびしくて送ってもらうことになったのだ。
改札の前に着いたところで、エリューシアは改めて五十士に向き直って頭を下げた。
「今日は本当にありがとうございました。とても楽しかったです」
「うん、こちらこそありがとう。いっつも一人で乗ってるから、一緒に乗れて俺も楽しかったよ」
エリューシアの言葉に、五十士も朗らかに言葉を返す。
夢の中で出会った儚い少女は、しかし幻なんかではなくしっかりとした――確かなやわらかさとぬくもりを持った、人間だった。
少しだけ名残惜しい空気になったとき、折りよく電車の到着を知らせるアナウンスが聞こえてきた。その声に急かされるように、じゃあ、とエリューシアが改めてお辞儀をする。
「失礼しますね。ありがとうございました、柊斗様」
「じゃあ、また今度」
自然と口に出た言葉に、五十士は自分で言って思わず驚いてしまう。
また今度――現実で出会うことができた少女に、また会うことができるのだろうか。
エリューシアは一瞬目を丸くしたが、すぐにそんな彼の気持ちに応じるように微笑んでみせた。
「はい……。私でよければ、またご一緒してくだされば嬉しいです」
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担当ゲームマスター
花村翠
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年02月28日
参加申し込みの期限
2014年03月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年03月07日 11時00分
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