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木天蓼大学の日常 ～ある一般教養の講義風景～
【課題と向かい合うもの】
城山 水樹は配布されたテスト用紙にまじめに課題を書き込んでいく。
一般教養ともなれば、あまりまじめにやろうと考える生徒は多くはない。
しかし、水樹はどちらかというとまじめにテストに取り組む性格であった。
普段は、快活でさばさばとしたという言葉がよく似合うイメージであるが、こういうときにはまた変わった一面が見られるのであろう。
「そういえば、この島って猫にまつわる風習とか多いよね」
水樹はそう小さく呟いてから、手早く自分の考えをまとめ上げる。
古本屋の看板娘らしい、というよりも実際にどこかで聞いたのかもしれないある話を思い出す。
それは、一般的には『狐の嫁入り』と称されるそれである。
物語というのは例として神話がそうであるように、同じような話がある程度の原形を残しつつも、さまざまに変化して伝承されるということがある。
寝子島では、その狐の嫁入りの話がちょっと変わった伝承になっているという。
その内容はというと……。
『戦国時代、ある女性が恋人である寝子島武士と結婚を約束したにもかかわらずはやり病にて病死してしまい、結婚することなく死んでしまったという無念さが猫に乗り移り、女性の葬られた場所から、寝子島武士の家へと向けて猫の嫁入り行列が向かうという怪異が見られるようになった……という言い伝えがある』
そこまで書いたら、水樹は少し手を休めて考える。
（そもそも、ここまで猫にこだわる理由って？）
と、考えかけたとき、時間が迫っているのに気付き、あわてて仕上げにかかる。
この後、水樹は友人とカフェテリアで待ち合わせなので、提出したらすぐ行動できるように準備をするのであった。
【やたら騒がしい最前列】
「はいはいはいっ！ 質問があるッス！」
「またですか……次はなんでしょう？」
元気よく手を上げて質問しているのは、霧桐 舞衣である。
そして、早口で次々と質問を浴びせていく……。
半分ため息交じりに神谷教授は質問に対して答えていく。
意味のない質問も時折あったが、それらはすべて切り捨てていく形である。
そんなことをしていると、その舞衣の近くで手を上げた学生がいた。
「はいはいっ！ 質問ですよっ！」
女装までして明らかに周囲から浮いているのは北 玄である。
玄は、友人に代わり会社から代返するためにわざわざこの授業に潜り込んだのである。
しかし、教授から出席用紙が手渡されることはない。
なぜならば、以前にも同じ授業を取っており、いい悪いは別として目立っていた学生ではあるから、教授の方が憶えていたのだ。
当然、玄の代理出席は果たされることはない。
本人は、バイト感覚で代返を引き受け、わざわざ女装までしてきたのだが、それらはまったく神谷教授の前では意味をなさなかった。
しかし、給料のほとんどを管理されているという玄にとってこういう話はありがたい話であったので、玄は玄なりに考えて行動したのである。
舞衣と玄はどちらも最前列に陣取り、それぞれ競うように目立っていく。
ちなみに、舞衣の方はどう考えているかというと。
（ぶっちゃけ興味の欠片もない講義っスけど、一般教養の単位は必須だし、なにより出席でテストが免除されるなんて、この上なく時間的効率が良い講義じゃないっスか！）
そんなことを考えつつも、同僚の言葉『雑多な知識は身を助く』という言葉を刻み込み、講義を受けているのである。
ようは。
二人ともやる気がありすぎた、という感じだ。
「もちろん、僕は前衛的ですよ！
時代、先駆けてるですよ！
つまり、ツッコミ待ちですよ！
麻雀でいうと字一色・四暗刻・大四喜ぐらいのツッコミ待ちですよ！
麻雀関係ないですよ！」
そして玄も玄でそんなことをいいながら質問を浴びせる。
舞衣と玄の間で火花が散った……気がした。
結局、関係者ではない玄は警備員を呼ばれて講義から遠ざけられる。
余りにもうるさかったので、神谷教授はごく普通の対応をしたのだ。
舞衣はちゃっかり『寝子島に電柱が少ない理由の考察』というテーマでいつの間にか提出をしていたため、欠席は免れることが出来た。
「しかし、なんだったんッスかねぇ」
講義後、嵐のようなあの一幕を思い出して、ぼんやりとそんなことを舞衣は思っていたという。
ちなみに、警備室へと連れて行かれた玄は無事釈放となった。
「もうくるんじゃないぞ」
という警備員の言葉を背に、玄は玄の日常へと帰って行くのだった。
城山 水樹は配布されたテスト用紙にまじめに課題を書き込んでいく。
一般教養ともなれば、あまりまじめにやろうと考える生徒は多くはない。
しかし、水樹はどちらかというとまじめにテストに取り組む性格であった。
普段は、快活でさばさばとしたという言葉がよく似合うイメージであるが、こういうときにはまた変わった一面が見られるのであろう。
「そういえば、この島って猫にまつわる風習とか多いよね」
水樹はそう小さく呟いてから、手早く自分の考えをまとめ上げる。
古本屋の看板娘らしい、というよりも実際にどこかで聞いたのかもしれないある話を思い出す。
それは、一般的には『狐の嫁入り』と称されるそれである。
物語というのは例として神話がそうであるように、同じような話がある程度の原形を残しつつも、さまざまに変化して伝承されるということがある。
寝子島では、その狐の嫁入りの話がちょっと変わった伝承になっているという。
その内容はというと……。
『戦国時代、ある女性が恋人である寝子島武士と結婚を約束したにもかかわらずはやり病にて病死してしまい、結婚することなく死んでしまったという無念さが猫に乗り移り、女性の葬られた場所から、寝子島武士の家へと向けて猫の嫁入り行列が向かうという怪異が見られるようになった……という言い伝えがある』
そこまで書いたら、水樹は少し手を休めて考える。
（そもそも、ここまで猫にこだわる理由って？）
と、考えかけたとき、時間が迫っているのに気付き、あわてて仕上げにかかる。
この後、水樹は友人とカフェテリアで待ち合わせなので、提出したらすぐ行動できるように準備をするのであった。
【やたら騒がしい最前列】
「はいはいはいっ！ 質問があるッス！」
「またですか……次はなんでしょう？」
元気よく手を上げて質問しているのは、霧桐 舞衣である。
そして、早口で次々と質問を浴びせていく……。
半分ため息交じりに神谷教授は質問に対して答えていく。
意味のない質問も時折あったが、それらはすべて切り捨てていく形である。
そんなことをしていると、その舞衣の近くで手を上げた学生がいた。
「はいはいっ！ 質問ですよっ！」
女装までして明らかに周囲から浮いているのは北 玄である。
玄は、友人に代わり会社から代返するためにわざわざこの授業に潜り込んだのである。
しかし、教授から出席用紙が手渡されることはない。
なぜならば、以前にも同じ授業を取っており、いい悪いは別として目立っていた学生ではあるから、教授の方が憶えていたのだ。
当然、玄の代理出席は果たされることはない。
本人は、バイト感覚で代返を引き受け、わざわざ女装までしてきたのだが、それらはまったく神谷教授の前では意味をなさなかった。
しかし、給料のほとんどを管理されているという玄にとってこういう話はありがたい話であったので、玄は玄なりに考えて行動したのである。
舞衣と玄はどちらも最前列に陣取り、それぞれ競うように目立っていく。
ちなみに、舞衣の方はどう考えているかというと。
（ぶっちゃけ興味の欠片もない講義っスけど、一般教養の単位は必須だし、なにより出席でテストが免除されるなんて、この上なく時間的効率が良い講義じゃないっスか！）
そんなことを考えつつも、同僚の言葉『雑多な知識は身を助く』という言葉を刻み込み、講義を受けているのである。
ようは。
二人ともやる気がありすぎた、という感じだ。
「もちろん、僕は前衛的ですよ！
時代、先駆けてるですよ！
つまり、ツッコミ待ちですよ！
麻雀でいうと字一色・四暗刻・大四喜ぐらいのツッコミ待ちですよ！
麻雀関係ないですよ！」
そして玄も玄でそんなことをいいながら質問を浴びせる。
舞衣と玄の間で火花が散った……気がした。
結局、関係者ではない玄は警備員を呼ばれて講義から遠ざけられる。
余りにもうるさかったので、神谷教授はごく普通の対応をしたのだ。
舞衣はちゃっかり『寝子島に電柱が少ない理由の考察』というテーマでいつの間にか提出をしていたため、欠席は免れることが出来た。
「しかし、なんだったんッスかねぇ」
講義後、嵐のようなあの一幕を思い出して、ぼんやりとそんなことを舞衣は思っていたという。
ちなみに、警備室へと連れて行かれた玄は無事釈放となった。
「もうくるんじゃないぞ」
という警備員の言葉を背に、玄は玄の日常へと帰って行くのだった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年12月21日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年12月28日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年12月28日 11時00分
