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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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＜月華＞悲しきアイに終止符を
「はじめまして、帳お姉さん。オレは曖浜瑠樹だよぉ。帳お姉さんとお話がしたくて、オレの意志で来たんだよ」
瑠樹の言葉に、帳は僅かにあっけに取られたように目をぱちくりさせる。彼は、兎の縫ぐるみ、ラピちゃんを取り出して、「和むねぇ」と優しく笑う。帳にも和んで欲しいと祈りながら。彼のろっこん『ゆるゆる和みと恩恵の輪』の進化能力は和んで欲しい相手を指定する事で効果を対象に集中させることが出来る。
「リュウ、キ？」
「大丈夫、大丈夫だよぉ。今までよく頑張ったんだねぇ」
少年は、帳の肩にそっと手を置き、にっこり笑う。ろっこんの効果を受けたのだろう。帳の表情が少し柔らかくなった気がした。
「真央ちゃん、帳ちゃんの話、聞きたいのだ。最初から、話して欲しいのだ。真央ちゃんは、帳ちゃんと友達になりたいし、帳ちゃんがまた笑って過ごせるように手伝いたいのだ」
真央が帳をぎゅっ、とハグする。その瞬間、氷のような冷たさを覚えた真央だが、それすら無視して帳を暖めようとする。
「な、ん……で、私を……？ 私は、貴方がたを殺す気でいるのに……？」
酷く戸惑った帳の声。とくに、爪で刺したはずの真央に優しく抱きしめられ、帳は困惑していた。
「君も、必死だったんだね。でもね、帳。君だって、救われていいんだ」
夏夜が静かに言葉を重ね、武道が頷く。帳は重ねられえいるいくつもの言葉が信じられず、きょろきょろと辺りを見渡す。
彼女が錯乱状態に陥ったことで制御が出来なくなった影の魔物たちも、魔曜石の石人形たちも、寝子島の住人達に押さえ込まれている。
そして、沢山の魔物、石人形を押し通して、幾人もの寝子島の人間達が自分と対峙している。その事実に、帳の心が激しく揺れる。
「帳さん……」
陽太も踏み出す。帳は下がろうとして、それが出来ずに身を強張らせる。陽太は静かに手を差し出し、小さく微笑んだ。帳は、そろそろと顔を上げ、陽太と目を合わせた。
「貴方、名前は？」
「陽太。呉井、陽太だよぉ」
帳は手を差し伸べ、名乗る彼の手を……そっと握った。
――その刹那、戦場の、すべての音が消えた。
＊：＊：＊：＊：＊
――俺は青龍族だ。同種の許婚がいても仕方ないだろう？
それに、彼女の方が色々と尽くしてくれるからな。
帳は、信じていた男にそう言われ、言葉を失う。術士として研究一筋だった彼女をかわいいと言い、おしゃれの楽しさや町遊びを教えた彼。無茶する彼女を心配する彼。そんな彼が共に暮らそうといってくれた。だから、結婚してくれると信じていた。それなのに、彼から告げられたのは、「直属の術士になれ」という言葉だった。
「結局、貴方も私をただの術士としかみていなかったのね！」
帳が掴みかかるも、男は帳を何度も殴り飛ばして突き放す。玄武族は丈夫だから、それぐらいしても傷つかないと知っているから。
「だからなんだ？ 俺はお前にいろいろしてやっただろう？ 酒の味、賭け事の楽しさ、化粧の楽しさ！ すべて教えたのは誰だ？」
「それもこれも、私を『使う』為だったのでしょう？ 愛してくれてると信じていたのに！」
「煩い！」
言い返す帳を蹴り上げ、男は尚も言い放つ。帳は石に頭をぶつけ、血を流しながら地面を２，３度バウンドして倒れこんだ。
「お前は、黙って、俺に尽くせばいいんだよ！ 静寂ノ国一番の術士として俺の家のために技術を開発し続けていればいい。そうすればお前の欲しい物をなんでもやるよ。なんなら抱いてやってもいい！」
最後のほうは嘲笑交じりになり、そのまま甲高く笑う。だが、帳はなかなか起き上がらない。玄武族は身体が非常に丈夫だ。ちょっとやそっとじゃ骨折しないし、刃物では傷一つつかない。だが……青龍族の力で加速した蹴りを受けた帳は、致命傷を頭部にうけていた。
「お前は、俺の道具だ。婚約者のあいつは名家の娘であり、俺に自分からいろいろ尽くしてくれる。俺から貰うばかりのお前と違ってな。俺の言った通りにしないのならば、身寄りのないお前なんていらないんだよ」
「何よ、そんなくだらない理由で彼女を選んだの？ 私を捨てるの……？」
帳はどうにか起き上がろうとしたが、そのまま眩暈を覚え目を閉ざす。そして、そのまま何もいえなくなっていた。
男は弱弱しく呼吸を繰り返す帳の姿に、内心怖くなった。調子に乗りすぎたと思った彼は慌てて麒麟族を探しに行く。
（人付き合いが苦手な私を、愛してくれたと信じていたのに……。なのに彼は……）
帳は薄れ行く赤い視界の中、芽生えた憎悪のままに祈る。
あんな男に、全てを捧げようとした私が愚かだった。
私自身を贄とし、あの男に……復讐を！
そのときだった。しゃらり、と涼しげな音がしたかと思うと、黒い影が帳を覆ったのは……。
瑠樹の言葉に、帳は僅かにあっけに取られたように目をぱちくりさせる。彼は、兎の縫ぐるみ、ラピちゃんを取り出して、「和むねぇ」と優しく笑う。帳にも和んで欲しいと祈りながら。彼のろっこん『ゆるゆる和みと恩恵の輪』の進化能力は和んで欲しい相手を指定する事で効果を対象に集中させることが出来る。
「リュウ、キ？」
「大丈夫、大丈夫だよぉ。今までよく頑張ったんだねぇ」
少年は、帳の肩にそっと手を置き、にっこり笑う。ろっこんの効果を受けたのだろう。帳の表情が少し柔らかくなった気がした。
「真央ちゃん、帳ちゃんの話、聞きたいのだ。最初から、話して欲しいのだ。真央ちゃんは、帳ちゃんと友達になりたいし、帳ちゃんがまた笑って過ごせるように手伝いたいのだ」
真央が帳をぎゅっ、とハグする。その瞬間、氷のような冷たさを覚えた真央だが、それすら無視して帳を暖めようとする。
「な、ん……で、私を……？ 私は、貴方がたを殺す気でいるのに……？」
酷く戸惑った帳の声。とくに、爪で刺したはずの真央に優しく抱きしめられ、帳は困惑していた。
「君も、必死だったんだね。でもね、帳。君だって、救われていいんだ」
夏夜が静かに言葉を重ね、武道が頷く。帳は重ねられえいるいくつもの言葉が信じられず、きょろきょろと辺りを見渡す。
彼女が錯乱状態に陥ったことで制御が出来なくなった影の魔物たちも、魔曜石の石人形たちも、寝子島の住人達に押さえ込まれている。
そして、沢山の魔物、石人形を押し通して、幾人もの寝子島の人間達が自分と対峙している。その事実に、帳の心が激しく揺れる。
「帳さん……」
陽太も踏み出す。帳は下がろうとして、それが出来ずに身を強張らせる。陽太は静かに手を差し出し、小さく微笑んだ。帳は、そろそろと顔を上げ、陽太と目を合わせた。
「貴方、名前は？」
「陽太。呉井、陽太だよぉ」
帳は手を差し伸べ、名乗る彼の手を……そっと握った。
――その刹那、戦場の、すべての音が消えた。
――俺は青龍族だ。同種の許婚がいても仕方ないだろう？
それに、彼女の方が色々と尽くしてくれるからな。
帳は、信じていた男にそう言われ、言葉を失う。術士として研究一筋だった彼女をかわいいと言い、おしゃれの楽しさや町遊びを教えた彼。無茶する彼女を心配する彼。そんな彼が共に暮らそうといってくれた。だから、結婚してくれると信じていた。それなのに、彼から告げられたのは、「直属の術士になれ」という言葉だった。
「結局、貴方も私をただの術士としかみていなかったのね！」
帳が掴みかかるも、男は帳を何度も殴り飛ばして突き放す。玄武族は丈夫だから、それぐらいしても傷つかないと知っているから。
「だからなんだ？ 俺はお前にいろいろしてやっただろう？ 酒の味、賭け事の楽しさ、化粧の楽しさ！ すべて教えたのは誰だ？」
「それもこれも、私を『使う』為だったのでしょう？ 愛してくれてると信じていたのに！」
「煩い！」
言い返す帳を蹴り上げ、男は尚も言い放つ。帳は石に頭をぶつけ、血を流しながら地面を２，３度バウンドして倒れこんだ。
「お前は、黙って、俺に尽くせばいいんだよ！ 静寂ノ国一番の術士として俺の家のために技術を開発し続けていればいい。そうすればお前の欲しい物をなんでもやるよ。なんなら抱いてやってもいい！」
最後のほうは嘲笑交じりになり、そのまま甲高く笑う。だが、帳はなかなか起き上がらない。玄武族は身体が非常に丈夫だ。ちょっとやそっとじゃ骨折しないし、刃物では傷一つつかない。だが……青龍族の力で加速した蹴りを受けた帳は、致命傷を頭部にうけていた。
「お前は、俺の道具だ。婚約者のあいつは名家の娘であり、俺に自分からいろいろ尽くしてくれる。俺から貰うばかりのお前と違ってな。俺の言った通りにしないのならば、身寄りのないお前なんていらないんだよ」
「何よ、そんなくだらない理由で彼女を選んだの？ 私を捨てるの……？」
帳はどうにか起き上がろうとしたが、そのまま眩暈を覚え目を閉ざす。そして、そのまま何もいえなくなっていた。
男は弱弱しく呼吸を繰り返す帳の姿に、内心怖くなった。調子に乗りすぎたと思った彼は慌てて麒麟族を探しに行く。
（人付き合いが苦手な私を、愛してくれたと信じていたのに……。なのに彼は……）
帳は薄れ行く赤い視界の中、芽生えた憎悪のままに祈る。
あんな男に、全てを捧げようとした私が愚かだった。
私自身を贄とし、あの男に……復讐を！
そのときだった。しゃらり、と涼しげな音がしたかと思うと、黒い影が帳を覆ったのは……。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2018年04月30日
- 参加申し込みの期限
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- 2018年05月07日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2018年05月07日 11時00分
