テスト勉強だ！　助けて先生？｜リアクション

テスト勉強だ！　助けて先生？

　世界史の勉強をしていた３人が世界史に関係のあるコスプレで勉強への意欲も燃やしていた頃。夏朝はふわふわな衣装にほっこりしていた。
（あったかい……子猫さんみたいにぽかぽか……）
　はにゃ～ん、と柔らかい笑顔となった彼女は実に可愛い。それを見かけた紫たちがほっこりしているとも知らず、我に帰った夏朝はテンションがぐっ、と下がった。
（先生のお家に勉強教えて貰いに来たのに……何してるんだろう、僕……）
　丁寧に脱ぐと、今度こそ公民の勉強をしようと意識を集中させようとする夏朝。だが衣装を見るとまたコスプレしたくなってしまう。
（うぅ、これじゃ駄目～っ！！）
　夏朝は内心焦り、頭を抱える。ここで気が緩んだら近くにあった婦警さん（これも知人からの頂き物らしい）の衣装を身にまといたくなる。これじゃまずい！　と夏朝はとりあえず溢れた衣装を綺麗に整え、ハンガーにかけ、クローゼットにかける。
「先生、衣装はクローゼットにかければいいんですか？」
　着替えを済ませ、クローゼットへと戻った尚へと夏朝が問いかけると彼女は１つ頷く。そしてクローゼットに掛けられた印を見せた。
「時代ごとにジャンル分けしているんです。私が後で直すので適当で大丈夫ですよ」
　軍服を纏った尚は凛々しく、かっこよくなっていた。そんな姿に惚れ惚れしつつも夏朝は「はいっ」と元気に返事して衣装の片付けを開始するのだった。

　尚はナポレオン軍の時代のほか、インド大反乱などについても復習のポイントを教える。それを聞いた後、世界史に関わるコスプレをした拓郎と時子は自分達のテスト範囲に関係する衣装を見つけ、ハンガーにかけるなどして片付ける夏朝を手伝う。
「でも、勉強が……」
「自分達の着た物ぐらい、綺麗にしたいです」
　時子の言葉に拓郎も頷き、紫は紫で先生から選択が必要な物の有無なども確認していた。そんな彼女もまたきりっ、とした軍服や、華やかな宮廷衣装を纏ったりと気分転換にコスプレしていたりする。それがまた似合うのでおもわず見入ってしまう一同。
　真剣に片付けつつも途中で婦人警官の服装に何度も気を取られそうになる夏朝だったが、そこはぐっ、と堪えた。
　片付けが終わる頃には昼下がりになっており、休息に空腹になる一同。尚はそれに慌ててしまう。
「ごめんなさいっ！　お昼ごはんの準備はしてありますから、ちょっと待っていてください！」
「先生、お手伝いします……っ」
　時子が尚を追いかけ、残された拓郎、夏朝、紫もまた漸く片付いたクローゼットを閉めてテーブルの片付けなどを行うのだった。

　昼食の後はすっきりした表情で全員がテスト勉強に向かう。世界史を勉強しているメンバーは先ほどの事を思い出しつつ問題を解き、夏朝は夏朝で上手く片付いた事で気分がリフレッシュしていた。
　休憩の時間には時子がもって来てくれたどら焼きを食べながらほっ、と一息つく。神魂トラブルはあったものの、充実した一日になったようだ。
「これ、神魂の所為に違いないけど、どうにかなったね」
「うん、恵御納さんの言うとおり神魂の所為……だと思う。でも、……ちょっと楽しかった……かも」
「そうねぇ。結果的には気分転換になったかもしれないわね」
　拓郎と紫は夏朝の言葉を受けて頷き、時子もまた相槌を打ちながら資料を読み直す。衣装を実際に見る事で関連付けて学べ、妙にすっ、とした気がする。
「テストまであと少しです……。がんばりましょう……」
　この調子で残りの時間もしっかり学ぶ事の出来た４人なのであった。

　因みに。コスプレした際神魂の影響を受けたのかのりのりで写真を撮っていたりする４人なのだが、後日その写真を貰う事になる……。

（大橋先生の家編　終）