「ただいま!」
家に帰るなり小学4年の
双葉 由貴はおもむろに数枚のぽち袋をとりだした。
お正月といえばこれ。家族からもらったお宝だ。
「今年は全部でいくらもらえたんだっけ!」
期待に胸を膨らませながらぽち袋を開く……が、しかし。
「そ……そんなああああ」
なんと、ぽち袋の中はからっぽ。
「うそだ、うそだあ……これじゃあ明日発売のが買えないよ……」
由貴は肩を落とし、がっくりうなだれた。
ところかわって。
ここは寝子島神社。
お正月となれば、参拝にくる人々でいつも以上ににぎわっている。
その隅で、一風変わった屋台を出している男がいた。
猫が鳥居の上で眠っている、妙なデザインの判子が押されたぽち袋を売っている。
それは、由貴が持っていたぽち袋と同じデザインだった。
屋台の男が一枚の空のぽち袋を開いて、中を覗く。
すると今まで何も入っていなかった筈のぽち袋には、千円札が一枚入っていた。
「さあ、この子はどうだろうねえ」
そして、小学5年の
樹弥・エヴァンズもまた机の引き出しからぽち袋を取り出していた。
からっぽのぽち袋……いや、さきほどまではきちんと中身が入っていたはずのぽち袋を。
「絶対に取り戻してやるっ!」
大変ご無沙汰しています。わたくし、貝と申します。
ガイドには双葉由貴くんと樹弥・エヴァンズくんに登場して頂きました。
この場を借りてお礼申し上げます。
さて最近、寝子島のいたるところで、少年少女の一年に一度の楽しみである「お年玉」が消えてしまうという珍事が起きているようです。
○シナリオについて
事件としては大変シンプルです。
ぽち袋からお年玉が消えています。
ぽち袋をもらったとき・渡したときにお金が入っていたことは間違いありません。
この謎を探偵として追いかけるもよし。
当事者として右往左往するのもよし。
お年玉をケチった!とこどもからなじられるもよしです。
○アクションについて
お年玉は「あること」をすると元通り手元に戻ってきます。
けれど、お年玉が消えてから次の日の朝までに「あること」をしないと、戻ってきません。
その「あること」とは、お年玉の由来に関係があります(※下記参照)。
また、「お年玉」ときくと低年齢層を想像しがちですが、もちろん、大人の方も参加頂けます。
○PL情報
アクションを書く際の参考にどうぞ。
*お年玉の由来
お年玉の「年」は歳神様、「玉」は魂をあらわしている。
人々は歳神を迎るために門松や鏡餅を供えていた。
その供えた鏡餅をお下がりとしてこどもに食べさせたのがお年玉の始まりといわれている。
神様に供えたものは力が宿るといわれ、一年の初めに「新しい魂」を頂く意味もあった。
*不思議な屋台
紅白の縁起のいいぽち袋を売っている屋台があるらしい。
寝子神社にしか出没しないので、そのぽち袋欲しさに神社まで行く人もあるよう。
ぽち袋の表面には、鳥居の上で昼寝する猫の判が押されている。
お値段は5枚で200円と少々お高め。
そしてどうやら、お年玉がなくなった子どもの多くはこのぽち袋を持っているようだ。
○NPC情報
名前:面白 以蔵(おもしら いぞう)
性別:男性
年齢:不詳
いつも寝子島の至るところに現れては、ちょっとおかしな商品を売っている。
愛想はいいですが、「お面をはりつけたような」笑い方です。
のらりくらりと話の筋を変えるのが得意です。