人里離れた九夜山の頂近くにその隠れ家はある。
禽の巣ー……浅沼柳司の秘密基地。
時刻は夕方。
茜色に暮れなずむ空に一羽の鷹が舞う。
雄々しく翼を羽ばたかせ、颯爽と風切り滑空する姿にしばし見とれる。
「鷹かー。本物は曇りでも日ぃ暮れても飛べるもんな…その点、俺はまがいもんやからな…」
大樹の枝に腰掛けてひとりごつ口調に素直な羨望と賞賛が滲む。
黄金を溶かした残照の眩さに目を細め、ふと見下ろせば寝子島の街並みが広がっている。
残照に染め上げられ照り映える街並みを見つめるうちに腹の底から熱い塊が湧いてくる。
「まがいもんやけど、俺には翼がある」
せっかく授かったこの翼、大空を舞わなもったいない。
空を仰ぐ精悍な顔に快活な笑みが浮かぶ。
視線の先には力強く旋回しどこかへ飛び去る鷹、その翼から抜けた羽根が一枚手元に落ちてくる。
鼻先に舞い落ちた羽根をむんずと掴み、怖いもの知らずの跳ねっ返りの如くふてぶてしい面構えで宣戦布告する。
「お前にはまけんからな!」
孤高の影絵と化した鷹を不敵な眼光で射抜き、手にした羽根を高々と掲げて枝の上に仁王立つ少年を、夕日が眩く照らしていた……
◆PC
鷹かー。本物は曇りでも日ぃ暮れても飛べるもんな…
その点、俺はまがいもんやからな…
◆PL
とても美しいフリイラありがとうございます!
夕焼けのグラデーションと鷹、そして後姿の柳司すべてが美しいです!
本当にありがとうございました!!