【ハロウィン】寝子島神社で仮装行列をしたっていいじゃないっ！｜リアクション

【ハロウィン】寝子島神社で仮装行列をしたっていいじゃないっ！

「こんな所で立ち止まっちゃダメ！　君なら上に行けるよ！
　努力は人を裏切らない！　だからもう少し頑張ってみよ？――」

　突如、ハロウィンパーティーの会場である寝子島神社境内に響きだしたメロディにイベントに出てきていた客たちの足が止まった。

「君は一人じゃない　いつでも相談して　僕が傍にいるから……
　僕は君の味方だからね！　諦めたら其処で終わりなんだ、よ？――」

　見れば境内の真ん中に特設された舞台に中性的なパンク系ファッションを決めた『雅』こと七雅麗音が現れ、歌を歌い始めていたのだ。

　アコースティックギターを手にいつも通り心を込めて、励まし応援歌を歌う麗音。

　そこに通りがかったのは麗音の音楽友人でもある神木ゆとだった。
　ゆとは身体中に包帯をグルグル巻いてミイラ男の扮装である。
　グルグルと言っても頭部や首、腕足等に装飾する程度の飾り付けだ。　
　
「解けないように固定して……　うーん、ちょっとヒラヒラ部分もあった方が良いかな。
　ただコスプレするんじゃ目立たないよね？」

　ゆとはモデルとして活動するにあたって、ついでにこのハロウィンパーティーでの知名度集めも頭の中にある。

「こう言うところで活躍してモデルの仕事も増やさないとねー！
　イケメンミイラ男、参上ーなんてね？　ははっ冗談だよ」

　ゆとのコスプレは予想以上に参加者たちの間で注目を集め、ゆとが撮影希望者に写真を撮られながら居ると、聞き覚えのある麗音の歌声が人々の間から聞こえてきた。

「レオちゃん、なんだか楽しそうな事しているなぁ！　俺も交ざっちゃおう！」

　ゆとは麗音のライブ会場に駆け付けると、早速応援を始める。

「お客さんもそれなりに居る感じかな？
　レオちゃんは凄く楽しそうに歌うから、こっちも楽しくなっちゃうよね！」

　友人の飛び入り応援に麗音も気分が上がり、次の歌を歌う力も上がる。

「どうして、私の気持ちは届かないの……　こんなにも貴方の事を想ってるのに
貴方の心は、私じゃない人を想っているなんて知りたく無かった……
なんで知っちゃったんだろう……」

今度の歌はバラードで心に響く悲恋系の曲だ。歌は２つ共作詞作曲は麗音の作品である。
友人であるゆとの応援もあって、麗音の歌声はいつも以上に人々の御心に沁み渡った。

「ねぇ心が痛いよ、恋ってこんなにも辛い物だったなんて知らなかったなぁ……
　例え、違う人が好きでも、貴方の事をずっと想ってても良い、かな？
　貴方への恋心を忘れる迄良いですか…？」

　麗音の歌声は会場内に大きく響き渡り、観客は大いに盛り上がった。
　２曲を歌い終えた麗音は、ゆとだけでなく集まって聞いてくれた聴衆にいつまでもお礼を言い続けていた。

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