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夜の旧市街にタコ怪人現る!
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その時、何者かが屋根の上から飛び降りるようにその場に現れた。
「こういう時こそ、我々研究者の出番だとは思わないかね! 美野梨くん!」
その男は白衣をたなびかせ、タコ怪人の前でビデオカメラを回していた。どうにも敵対するようには見えない。
拍子抜けしたタコ怪人は頭にハテナを浮かべている。
「はぁ? なんだ、てめぇは……?」
「おっと私のことは【先輩】とでも呼んでくれたまえ! はっはっは、それ以上でもそれ以下でもないのさ! では美野梨くん、出番だ!」
そう言われて物陰から現れたのは【
神野 美野梨
】である。
ちくわをモチーフにした薄着かつ、露出の高い服装で彼女はタコ怪人の前に躍り出た。
「うう、これ、恥ずかしいんだけど……」
彼女は研究の為に協力してくれと言われ、先輩のビデオカメラにタコ怪人の生態を写そうと囮役を引き受けたのだ。
(先輩も、ちゃんと危なくなったら助けてくれるっていうし、大丈夫……よね?)
急な薄着で、据え膳のような状況にタコ怪人は真っ赤に興奮し、触手をわらわらと跳び出させた。それは路地を覆う程に多い。
「ひゃははは! 獲物が自分から来るとはよ、最高かよ! いいぜ、ちゃんと味わい尽くしてやるよ、隅から隅までナァ!」
触手にあっという間に絡め取られた美野梨の衣服の下へ、触手がするるっと侵入する。腹、へそ、下腹部、脇、背中、内ももなどなど。あらゆる所にタコ怪人の触手に備えられた吸盤が吸いつき、潤滑液として粘液を分泌している。数秒も経たずに彼女の身体は粘液でぐちゃどろになった。
割とキモチワルイ感覚に耐えながら先輩の方を見ると、彼は夢中でビデオカメラを回しているようだ。少々鼻息荒いのは研究が出来て嬉しいのだろう、多分。
「お前も、いいエキスを出しやがるぜ、ああ……こいつは、まったりとして、コクがあるというか、うめぇぇ……っ!」
まるで酒が染み渡るかのように、美野梨から採取したエキスを堪能しているタコ怪人は恍惚とした笑みを浮かべていた。陶酔しているようにも見える。
「うあぁ、くぅう……意外と、はぁ、はぁ、妙な気分に……んっ、せ、せん、ぱぁい……もう、そろそろ、限界で……」
当然、彼女の訴えなど聞いていない彼は記録することに忙しいらしい。助ける様子は一切ない。
その時、美野梨の体勢が“誰にも見せられないようなアブナイ姿勢”へと変えられた。衣服さえ剥ぎ取られた彼女に砦は守る術は、もう残っていない。
「いいぜ、震えてやがる。待ってろ、今、たっぷりと……ヘブンにしてやるからよォ!」
「待って!? それはダメ!? 絶対に! こうなったら……ふにゃぁぁあああああーーーんッッ!」
彼女はあらかじめ用意しておいた“奥の手”の合図を行う。そう、猫の鳴き声だ。だがこの策の完遂にはある程度の時間を要する。それと“彼ら”の気分も。
なんとか時間を稼ごうと彼女は必死にタコ怪人の興味を引こうとしている。その間にもタコ怪人の触手は、彼女の最後の砦へと迫っていた。
「あなたのそれ、誰かに改造されたの? 組織とか、科学者の名前を教えて」
「普段は人間の姿でいられるの? 夏とか薄着になると不便でしょう?」
「人間の時よりたくさん食べるようになった? エネルギーが必要なんじゃない?」
あらゆる言葉を投げるが、タコ怪人は目の前の砦に夢中のようだった。
(だ、め、もうこれ以上、近づかれたら……ッ!)
きゅっと目を閉じて覚悟したその瞬間――――どこからか現れた猫たちがタコ怪人に襲い掛かった。彼ら触手を引き裂き、タコの触手に美味しそうに噛みついたのだ。
「いだだだだだ!? なんだァ、こいつらぁ!? くそ、離れろ、このクソ猫がぁぁあ!?」
触手から助け出された美野梨はゆらりと立ち上がる。その手には回収した触手が握り締められていた。
「せんぱぁぁい? どういうことか、わかってますぅー?」
笑顔だがゴゴゴゴと効果音の付くような背景を背負うかの如く、美野梨はカメラ片手に撮影していた先輩に近づいた。先輩も流石に冷や汗を垂らし、明後日の方向を向いている。
脱がされた服を回収し着ると、落ちていたハンドガンAPを拾って美野梨はタコ怪人へ向き直る。
「まあ、先輩には後で目に物見せるとして……まずはあれよね」
タコ怪人はもがいていたが、なんとか猫を引き剥がし、ぜぇはぁと肩で息をしているようだった。
「ちくしょう、猫共め! 邪魔しやがって……! だが、お前らだけで俺に対抗できるなんざ――――」
「――彼女たちだけじゃないわ! 後は任せなさいッ!」
颯爽と現れた女性の飛び蹴りがタコ怪人を打つ。彼は吹っ飛んで近くにあった電柱に激突する。
「あーあ、せっかくの非番が台無し。あんなヌメヌメしたのとやり合うなんて、どんな悪い冗談よ!」
彼女は【
水槻 清恋
】だ。同僚の啓馬から応援要請を受け、駆け付けた所であった。
ぬらぬらと蠢き暗闇で光るタコの目を見た時、ぞくりと身体が一瞬震えた。それはあの日の記憶。あの猫の目にタコの瞳が重なって見える。
だが彼女は強い意志でそれを振り払った。彼女は自分に言い聞かせる、もう今の自分は“無力な小娘”ではないのだと。
「ああぁ、次から次へとよぉ! エキスはたっぷりなんだ、お前ぐらい屠ってやるよォ!」
「そう簡単に、いくとは思わないことね!」
彼女の脚は素早く動き、放たれる触手を巧みに回避する。インターハイ出場の経験は伊達ではない。
姿勢低く懐に飛び込み、清恋は【電磁スタンロッド】を素早く伸ばすと、一回、二回と打った。
薙ぐような触手の一撃をしゃがんでかわし、立ち上がり際にロッドの三撃目を放つ。硬いロッドがタコ怪人の顎を打ち砕く。タコ怪人は一瞬意識が飛んで、仰向けにぐらついた。
その瞬間、ばちぃっとチャージ完了の合図が鳴る。決めようと、清恋はタコ怪人を掴むとねめりを物ともせず、タコ怪人を投げ飛ばした。ふっとんだタコ怪人は強く地面へ打ち付けられる。
「ぐわぁあ!? くそ、何だお前ぇえ!? 何か、がふ、習って……やがるなァ!?」
「ああ、私は……神奈川県寝子島警察署、刑事課所属、階級は巡査部長。
水槻 清恋
よ」
「くっそ、オマワリかよぉおお! ついてねぇ。本当についてねぇぜ!」
触手をロープのようにして、タコ怪人は素早く起き上がると闘争を企てた。手の届かない上空へ逃げると彼はほくそ笑む。
「じゃあな! オマワリ! そのナリじゃ非番だろ! 拳銃はねえよなぁ! はっはっは! 届かねえってのはいいねぇ!」
「あら、誰が届く装備がないって言ったの……よッ!」
思いっきり振り被って、清恋はロッドを投げる。まっすぐに飛んだロッドはタコ怪人の背に命中、激しく電流を放った。暗闇にタコ怪人が輝く。
「ぎいぃいやぁああーーー!?」
黒く焦げ、ぷすぷすと煙を上げながらタコ怪人は地面に落下する。
即座に近づいた清恋は手錠を取り出して、タコ怪人を後ろ手に拘束、手錠をかけた。
「現行犯で犯人を確保。ふう……しばらくの間、タコ焼きもタコ刺も食べたくないわ」
こうして夜闇に現れたタコ怪人は制圧され、島に平和が戻ったのである。
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あとがき
担当マスター:
ウケッキ
ファンレターはマスターページから!
お久しぶりです、ウケッキです。
今回はタコ怪人の猛威がやばい展開となっておりました。
ご参加、ありがとうございます!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
ウケッキ
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
ホラー
SF・ファンタジー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
3人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年01月08日
参加申し込みの期限
2026年01月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年01月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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