我ら寝子島四天王！！！！｜リアクション

我ら寝子島四天王！！！！

　寝子島アニメーション学院卒業を間近に控えたある日。
　卒業公演を前に忙しくしていた落合まゆらは、突然「アイドル声優四天王」に指名されてしまったのでした。

「って、所属事務所が決まっただけでまだ本格的にデビューしてないのになぜ？　まだモブしかやったことないのに？」
　驚き、疑問に思うまゆら。
　でもそんな疑問など知ったことじゃないとばかりに、寝子高前で出会った後輩女子はまゆらを四天王扱いしたのでした。
「まあ、将来そういう存在になれたらいいなあ、とは思うけれど……四天王という割にはあたし一人なのは妙な話よね」

　首を傾げたまゆらでしたが、そこへ、ニャインの通知音が響きました。
「学校から？　……『アイドル声優四天王コンテスト』に出演してください……ってどういうこと？」
　今日寝子島アニメーション学院でそんなコンテストが開かれるという、寝耳に水の話でした。

　慌てて学校へ向かうと三人の同級生が待っていました。
「まゆら、アイドル声優四天王として負けないわよ！」
　最初に声をかけてきたのは、いつも残って一緒に自主練をしている友達でした。
「あかり……」
「ボクだってアイドル声優四天王だもんね♪」
「私もよくわからないけど、頑張る」
「まことに、心も出場するの？」
　心の中に、闘志が湧いてくるのを感じました。
「負けられない……お互い頑張ろう！」
　
　コンテストは、アピールで二組が点数を競う勝ち抜き戦のルールです。
「アピール方法は自由なのね」
　これから新しいレッスンをする暇はありません。
　声優らしくアピールするなら何で勝負すべきか、まゆらは考えます。
「やっぱり、アニソンで勝負したい」
　他の四天王たちが朗読や一人芝居などを披露する中、まゆらは各種アニソンを歌いまくることにしました。
「落合まゆら、歌います！」
　まゆらの熱唱は審査員たちの票を集め、順当に勝ち抜いていき。
　決勝は友人であるあかりとの決戦となりました。
　勝負曲はもちろん『魔法少女ミスティックアリア』の主題歌。
「ミスティック・スプラァァァッシュ！」
　曲の合間に必殺技のポーズを決めつつ、思いっきり歌いまくるまゆら。

　いよいよ最終審査の結果発表となりました。
「優勝は……落合まゆらさんです！」　
「……やったー！　夢みたい！」
「おめでとうまゆら、やっぱりあなたは強かったわ」
「あかり……ありがとう！」　
　四天王の頂点に君臨したまゆらは喜びに震えるのでした。

　しかし、翌日には四天王エアーの影響はきれいさっぱり消えていました。
　三日天下ならぬ一日天下でした。

「まあ、そうだよね。まだ駆け出し未満なんだもの」
（実力の伴わない名声なんて空しいよね）
　そう自分に言い聞かせて。
「でもいつか、四天王とか言われるようになりたいな」
　そんな夢がまゆらの中に生まれていたのでした。

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