Shall We Ohanami｜リアクション

Shall We Ohanami

新しい出会いに祝福を！
　―小一時間前―
「いやぁ～、シオさん来てくれてありがとう～♪」
　ひとりきりだったらどうしようかと不安であったので、友人が来てくれたことが大変うれしいのかタルトはシオに抱き着き、ごろにゃんと猫のようにすり寄っていく。
「せっかくの花見ですからね、今日は楽しんでいきますよー」
　友人ということで他の人には見せない砕けた雰囲気のシアが微笑みかえすと、桜の木が風にあおられてユラユラと揺れた。
　濃いピンクや淡いピンクなど寝子神社の桜が綺麗に咲きほこっていて、とてもきれいである。
　鼻孔をくすぐる鼻の香りが心地よかった。
「じゃあ、早速人集めのために似顔絵の練習台になってもらおっかな♪」
　スケッチブックとイスを２つ用意してタルトはシオにサクラになってもらおうとイスに座らせると似顔絵を書き始める。
　人通りの多い境内の石畳側に『似顔絵書きます』の看板を立てているため、参拝客の一部が足を止めてタルトの様子を眺めてきていた。
　タルトが色鉛筆をスケッチブック上に走らせれば、40歳を越えているとは思えない若々しいシオの姿が描かれていく。
「すごく上手ですね。あとで私たちもいいかしら？」
　タルトが手を止めて振り返ると、そこには小さな子供と手を繋ぐ梓の姿があった。
（年の離れた姉妹かな？）
　口に出していいものかと思いながら、梓を見ていると女の子の方がタルトが描いている姿を興味深そうに覗いている。
「可愛いね～。今の方が終わったら大丈夫だよ～♪」
　興味深そうに眺めてくる子供の頭を優しくなでると、再びスケッチブックに戻って描きこんでいった。
「私は楓とここで待っていますから、おじいさま達は先に参拝とか済ませてきてください」
　梓の祖父母はにっこり笑ってから、桜の花びらでところどころ彩られている石畳を進み神社へと向かっていく。
「楓、桜が本当に綺麗よ」
　ぶわぁっと風が吹き、花びらと共に梓のショートヘアが揺れる。
　綺麗な桜の花びらの帯がとてもきれいだった。

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