Shall We Ohanami｜リアクション

Shall We Ohanami

桜降る日に宴席を！
　寝子島神社の境内の桜の下……。
　立て看板に「休憩中」と書いたそばに広がるビニールシートの上では、数人の人物が座って、ちょっとした家族同士の交流の場のような雰囲気ができあがっていた。
「あらためて、ご挨拶！　寝子高３年　芸術科の響タルトだよ。で、こっちは実は知り合いのシオさん」
「はい、シオ・レイゼルオークですよー」
　似顔絵を描かれているときは物静かな美人のような雰囲気を帯びていたシオは意外にも愛嬌のある砕けた喋り方を梓に向けてきた。
「では、私の方からも自己紹介を寝子高の1年の梓智依子です。こちらは娘の楓です。あと、この島での私の保護者の祖父母です」
「あずさ　かえでです！」
　梓に促されて子供らしい可愛い服装をした楓が名前を名乗りお辞儀をすると、続けて梓の祖父母が名乗り一礼をする。
　どちらも優しそうな雰囲気で、とてもいい家族のようだ。
「楓ちゃんはやっぱり可愛いねー。似顔絵も喜んでくれたかな？」
「うん！」
　タルトに描いてもらった似顔を楓は大事そうに抱えて満面の笑みを浮かべた。
　気になることはあるが、あえて触れるのは野暮だろうとタルトは思い、自分たちが持ち寄ってきたお弁当をビニールシートに並べていく。
　タルトはイチゴ、シオは多めのから揚げ、梓が持ってきたのはお赤飯・錦糸卵のツナマヨおかか・じゃこ山椒おにぎりを一口サイズでつくってきていた。
　話を合わせたわけではないのだが、主食おかず、デザートと一通りのものがそろっている。
「なかなか壮観だね～♪　僕が料理下手なのがばれちゃうのがアレだけど……」
　にゃははと苦笑いを浮かべるタルトは他の料理、特に梓がもってきたこにぎりに髪の毛が乗っている手の凝りようを見て、肩身が狭い気持ちで胸がいっぱいだった。
「ま、まぁ、気を取り直して食べていこう！」
　不思議な縁で集まったメンバーで花見がはじまる。
　どうしてこうなったのかというのは少し前まで遡る……。

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