【星幽塔】第一階層　お花見しよう♪｜リアクション

【星幽塔】第一階層　お花見しよう♪

「えへへー、マスターがお昼休み長くとっていいっていってくれましたし花まつり楽しんじゃいましょう♪」
　Ｂａｒアストラルで調理の手伝いをしているリリエル・エーテライトは、休憩時間に花まつりを見に行くことにしました。
　花の期間は長くはなくうっかりしているとあっという間に過ぎてしまうので、お祭りは花を楽しむいい機会でもあります。

「リリエルちゃん、出店で欲しいものでもあるのかい？」
　店を出るお客さんに声をかけられました。
「出店もちょっと気になりますけど、それより今日の花祭りにはサジタリオ楽団が演奏にきてるんですよ！」
「ああ、星の楽団ってやつかい？」　
「一度演奏を聞いてみたいと思ってたんですよねー、いい席で聞けるかな？」
　そう言ったそばから、風に乗って楽団の奏でるメロディーが聞こえてきました。
「あ、もう演奏始まってるみたいですね、急がないと！」
　リリエルはそう言うと、春風のように軽やかに駆けだしたのでした。

「んー、心が落ち着くいい曲ですね、ずっと聞いていたいくらいです」
　楽団の場所はすぐにわかりました。
　奏でられた音符がふわふわ幻像になって浮かび上がり、踊りだしているのです。
　曲が終わり拍手が鳴りやんだところで、髭の楽団長が言いました。
「どなたさまも、ステージでの余興歓迎です。ご希望があればバックミュージックを演奏させていただきます」
「え？　飛び込み参加で歌の伴奏もしてくれるんですか！」
　背伸びして演奏を眺めていたリリエルは、踊りたい気持ちが湧いてくるのを感じました。
「ちょっと緊張しますけど、飛び込み参加しちゃいましょうか」
　みんな迷っているようで、なかなか手が上がりません。
　どうしようかとリリエルが周囲を眺めていると、同じように目を輝かせている少女を見つけました。
（もしかして、あなたも？）
　不思議と二人の目が合い。以心伝心で一緒に手を挙げていました。
「あの、一緒に踊ってもいいですか？」　
　観衆から拍手が起き、リリエルは少女と共にステージに上がったのでした。
　並んで立つと少女の髪から、ブランの花の香りが漂ってきました。
　楽団長が指揮棒を振るい。
　さっきとは違う軽快なメロディーが流れだし、リリエルの身体は自然と曲に合わせて動き出したのでした。

　曲が終わり、リリエルは礼をしてステージを降りました。
（あ、そろそろ休憩時間も終わりですね、それじゃあ戻ってマスターの手伝いをがんばリリエルです！）
　歌って踊って楽しいひと時を過ごし、リリエルは帰っていったのでした。

　
　リリエルが去った後、賑やかな音楽に吸い寄せられたティオレがステージにやってきました。
　４枚の花弁を持つブランに元気をもらったティオレは、ひらりと舞台に飛び乗り。
　ポニーテールを揺らし腰をしなやかにくねらせながら、妖艶な大人の舞を舞い始めました。
　男たちの目が釘付けになる様子を見た楽団長はすかさず腕を振って。
　さきほどの元気な曲とは一転、とびきり妖艶な曲が流れ、ピンクの音符がティオレの舞を彩ったのでした。
　それはさながら舞台に咲いた花の嵐のごとく。
　ステージはいやが上にも盛り上がり、観客たちはやんやの喝采を送ったのでした。
　
　完全燃焼したティオレがステージを降りても、男たちの興奮は冷めやらず。
「今日はお客さんがいっぱいですね♪」
　新たな酔いを求めて、夕暮れのＢａｒアストラルへ繰り出していったのでした。

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