仲良くなりたい、その７｜リアクション

仲良くなりたい、その７

☆犬杜一閃

　御巫時子は、何でも屋『いぬもり』を訪れました。
「今日は、何か依頼か？」
　現れたのは店主の犬杜一閃です。
「はい。海岸に難破船の幽霊が現れると聞いたので、同行の依頼です」
「……同行？　夜遅い時間だぞ？」
　夜の仕事に女の子を同行することにためらいを見せる一閃に、時子は微笑んで言います。
「コーヒーを飲んで待っていれば眠くなりませんよ」
「いや、そういうことでは……まあ、行ってみるか」

　満月の海岸。
　温かなコーヒーを飲みながら時子と一閃は幽霊を待っていました。
「あら？」
　変化がなかった海に、霧のように白くうっすら浮かび上がる船の形。
　その中に光る目のようなものが見えます。
「一閃さん、あれ……！」
「御巫、気をつけろ！」
　船はこちらに向かって来て。
（どうしましょう？）　
　ドキドキしていると、スッと月の光に吸い込まれるように消えてしまいました。
「あれが噂の難破船の幽霊でしょうか？」
「……たぶんそうなんだろうな」
　しばらく待ってみましたが、その後は何も現れませんでした。

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