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【水泳大会】レースとシャチと、あとサメ(黒猫組サイド)
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●平泳ぎゲーマー
学校行事で何かの間違いでエントリー、っておかしくない?
飛び込み台へと向かいながら、
水守 流
はそんなことを思った。
その足取りは軽快とは言えず、一歩ごとに胃がきゅっと締まるような気がした。
(まさか俺が競技にエントリーされるとは……)
スポーツはあんまり得意じゃない、というかはっきり言えば運動音痴だ。
趣味からしてインドア派、休日に行くのはゲーセン。
そんな自分が水泳大会の選手にエントリーされるなんて、何かの間違い以外ありえない。
しかし幸いだったのは、エントリー先の種目が「平泳ぎ」だったこと。
(俺だって、平泳ぎくらいはできるんだ!)
幸い、平泳ぎの参加者はダントツで少ないし。
傷めない程度にぐるんぐるん肩を回しながら、鼻から深く吸い込んだ息を、口からゆっくりと吐き出す。
カッと見開いた瞳で見据えるのは、黒猫組に向けられた応援の横断幕。
誰が作ったのかはわからないが、流を奮い立たせるには充分だ。
(見せらせ黒猫魂! やってやる! やってやるぞ!)
――そして、レースが始まって。
「……ぶはぁ! ぶはぁ!」
流は、さっそく息切れしそうになっていた。
しかも残念なことに、ぶっちぎりに最下位である。
他の選手との差は広がっていく一方で、疲労感も募っていく。
(お、おいぃ、周りのやつらガチすぎねぇか?)
考えるまでもなく、当たり前だった。
水泳大会に好き好んで参加するような連中なんて、だいたい水泳なり運動なりが好きな面々だ。程度の違いはあれ、そりゃガチにもなるだろう。
なかば公開処刑じみた様相を呈してきたレースに、それでも流は必死に食らいつこうとする。
けれどやっぱり追いつける気配はなさすぎて、なんかゴーグルにしょっぱい水が溜まってきた気がする。
(お、追いつける気がしねぇ……)
リタイアした方がいいんじゃないかとすら思えてきたその時、流の脳裏をどっかの監督の言葉がよぎる。
あきらめたら、そこで試合は終わってしまう。
だが勝負は最後まで、最後の最後の瞬間まで決しないのだ。
「俺は……げぼぉ、あきらめねぇ! 最後まで……ぶはッ! あきらめねぇぞぉ!」
みっともなくても、遅くても、せめてリタイアせずに泳ぎきる。
そう決めた途端、少しだけ身体が軽くなったような気がした。
勝利の女神は、そんな彼の姿に心打たれたのかもしれない。
ペース配分をミスったのか、バテバテになる選手。
キックの加減を誤ったのか、足をやらかしてリタイアする選手。
周りがそんな風にして遅れていくなか、流はゆっくり、けれど確実に進んでいく。
「いいぞー、あと少しやー! ほれその調子や!」
誰かの応援を背に受けながら、一人抜き、二人抜き……そして、気がついた時には。
「っしゃおらぁーーーーーーーーッ!」
大番狂わせも大番狂わせ、トップでのゴールを勝ち取っていた。
しかしその代償というべきか、流れは体力をすっかり使い果たしていた。
おぼつかない足取りで観戦スペースに戻っていく途中、
「よーやった、ええ泳ぎやったでー」
桃色 足子八
に軽く背中を叩かれた拍子に、つんのめって転びかけるくらいには。
「だいじょうかー?」
肩をつかんで支えてもらったその時、流は気が付いた。
さっき聞こえてた応援と、同じ声だ。
今のと、さっきの応援と。二つぶんのお礼を口にすると、足子八はからから笑ってみせた。
「お礼なんてええわ、黒猫組で勝ちいただきにいくための応援やでな」
「……なるほど」
勝負はまだ終わっていないのだ。
戻ったら、自分も気力を振り絞って応援するしかねぇと決意する流れだった。
ほなな、と足子八がその場をあとにすると、入れ替わりにルームメイトの
優木 遥斗
に声をかけられた。
トラブった他の選手の救護を、済ませてきたところらしい。
「大丈夫か、水守」
「大丈夫だ……けど……平泳ぎで、ここまで疲れるとは……思わなかったぜ……っと」
言ってるそばからふらついた流を、遥斗が肩を掴んで支える。
「……勝ったら、打ち上げで美味い物をたくさん食おう」
「へへっ……今日はいつもより食えそうだぜ」
少し笑ったように見えるルームメイトに、流はニヤリと笑みを返した。
【現在の点数】
黒猫組:2点
白猫組:2点
●恋人たちの時間
平泳ぎを終えて戻った
佐和崎 紗月
を、
初瀬川 理緒
はスポーツタオル片手に迎えた。
「お疲れ、紗月。頑張ってたね」
肩にそっとタオルをかけると、理緒はもう一枚のタオルで、まだすこし水の滴る紗月の髪を優しく拭いた。
その感触が心地よくて、紗月は喉を撫でられた猫のように目を細めた。
「ん……理緒ちゃんは次、何に出るんだっけ」
「バタフライは終わったから、次はぬるぬるレースだね。まだ時間あるし、ゆっくりできるかな」
まだ一般種目も残っているし、その様子を眺めながらのんびりと過ごすことにした。
並んで座って、紗月はプールを眺める理緒の横顔をちらりと見た。
大学受験に、グラドルの活動に。高校生としては相当に忙しく、理緒は結構アップアップな日々を送っている。
水泳大会が、そんな彼女の気晴らしになっているといいなあ、なんてことを紗月は思う。
すると不意に、理緒が膝をぎゅーっと抱えて、こてんと顔を紗月のほうへ向けた。
「期末テストさ、点数悪かったらどうしよう」
気持ち、髪までへにゃっとなっているように見える恋人の肩に、紗月はそっと手をのせる。
そういえば、先の期末テストはまだ返ってきていない。受験まで見据えると、三年夏の期末テストは色んな意味でバカにできないものだ。
「大丈夫だよ、理緒ちゃんなら。ちゃんと勉強もしてるんだし」
中間テストのときだって、勉強している時は手応えがさっぱりなさそうだった割に、いざテストを受けたら結構いい線いってたのだし。
そうやって慰めていると、あることに気付いて紗月はちょっと赤面しそうになった。
スク水に包まれたことでより強調された理緒の豊満な胸が、抱えた膝に潰されて柔らかく形を変えていた。
ただでさえ同性の紗月から見ても、赤面してしまうようなナイスバディ。こうなると健康的な妖艶さがよりいっそう増して、ドギマギしてしまう。
一度ソレを意識すると、彼女が自然と集めてしまう視線にも気付いてしまうわけで。
紗月の胸の奥に、焦げ付くような感覚がぶすぶすと募りだした。
(見ていいのは私だけなのに)
なんてことをつい考えてしまったところに、
「紗月、どうしたの?」
と理緒が顔を近づけてきた。
からかうようなその視線に、
「し、嫉妬なんかしてないよ!」
うっかり自爆してしまう紗月だった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
風雅宿
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
スポーツ
定員
15人
参加キャラクター数
13人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年12月19日
参加申し込みの期限
2018年12月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年12月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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