this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
その胸のあまりに痛きこと
<< もどる
1
…
5
6
7
8
9
…
10
つぎへ >>
【それは、深く深く慈悲深く】
会衆席に横になってステンドグラスを見つめていた。それに深い意味は無く、強いて言うならステンドグラスが夕暮れの光を浴びて、日常と夜には無い、独特の色合いを映していた位。
うつらうつらと、眠気で閉じていく瞳を名残惜しいと思いつつ、
日暮 ねむる
は眠りについた──
それは、夜更けの静寂の中。
花風 冴来
は、静かに聖堂への扉を開けた。
安全面の考慮で、炎を模した電気式のランプが、広々とした聖堂を薄暗く照らしている。
冴来はゆっくりと身廊に足を踏み出し、区切られた祭壇の少し手前で、ふわりとした長いスカートを整えて、ゆっくりとカーペットが敷かれた床に両膝をついて、手を組んだ。
埃や汚れなどは気にしない。そう──ただ、一心に祈りたかったから。
今、神がいないのは知っている。それでも、何かに祈りたかった。
今、この瞬間を生きているという感謝を。
自分にとって大切な、愛しい全ての人への幸福を。
しかし、今の冴来の心には、その純然たる願いに、深く暗い闇を落としていた。
それはあまりに重たくて。日々を過ごす都度に、澱みの如く積み重なっていくのに堪えかねた結果──開いた唇からは、感謝とは程遠い言葉が紡ぎ出された。
「大切な人達を守る為には今よりも強くならなくてはいけない。
弱い人間でいる訳にはいかない。
強く。強く。もっと強くと願っているのに、私は一向に成長出来ずにいる。
このままでは誰も、自分自身すら守れない。救えない。
それを痛いほど理解しているのに。
私の大切な人達が傷付く姿を、ただ見ているだけで何も出来ない自分が。
周囲の優しさに甘えるばかりの自分の弱さが、
ひたすらに憎らしくて許せない」
それは最早、呪詛にも近かった。
届かない理想、瞳と脳裏に浮んだ、己を弱者だと認識する重み。
このままでは、自分はもちろん、大切と思う大事な何か一つすらをも守れない、と──切に浮かんだ心の嘆き。
思いはそのまま、行動に現れた。
冴来は、両手を組み解く。
そして強く片手で握り替えた拳を、耐え切れない思いの全てを乗せて、苛立ちに任せその拳を床に叩きつけようとして──背後から、その華奢な拳を手に取られる形で止められた。
「ふぅ、なんとか間に合った」
「──!? ……ねむる?」
肩越しに振り返りながら、相手の姿を目にして、それが心を許す友人である事に気付いて安堵する。
しかし、同時に。幾度目かも分からぬ、嘆きを告げる自分の姿を見られてしまい、相手への気まずさと申し訳なさで、情けなさも含めて切なく胸が痛んだ。
「盗み聞きしちゃってごめんよ」
ねむるは途中から目を覚まし、冴来の告白を全て聞いていた。
姿を見せる自然なタイミングこそ失ってしまっていたが、身体が勝手に飛び出したとはいえ、それでもこうして彼女の細い拳を止められるだけ良かったと思えた。
「でも、冴来さんが強くなりたいって気持ち、凄い分かるな」
少し落ち着いた様子の冴来から、ねむるは手を放す。
──どうすれば、自分の浮かんだ思いは、彼女の心に届くのか。ねむるは言葉を纏めるのに思考を少し逡巡して。
結果、浮かんだ言葉をそのまま告げる事にした。
恥ずかしい言葉だと心の端が訴えたが、それは、ねむるにとって絶対的に違いの無い事実であったから。
「だからこそ、そんな君に僕は伝えなきゃいけない。
──冴来さんは充分強い子だよ、君自身が思っているよりもずっとね。
僕が沈んだり悩んだりした時、冴来さんの飾らない真っ直ぐな言葉に僕はいつも助けられていたんだよ?
それこそが僕には無い、冴来さんにしかない強さなんじゃないかな?」
冴来はその言葉に驚いた様子で、ねむるを見た。
ねむるが口にした言葉に、返す言葉をなくす、僅かな沈黙。
しかし、思いつめた様子で俯けば、冴来の金色の髪が、その表情全てをねむるから隠した。
「言葉は私が持っている、唯一の武器だから。
貴方は優しいから私を許してくれるけど……私は自分を甘やかしたくはないの。
私はもっと強くなりたい。
──私を守ってくれる、貴方の事を守る為にも」
最後に、冴来は凛として上げた顔に、青い瞳に強い決意を染めてねむるに告白した。
その、思いの強さ。意志の強さに、ねむるが瞬きをして冴来を見る。
冴来の表情は、まるで聖人を見るかのように、気高さすら感じる強固なものだった。
感じる覚悟と高潔さに、ねむるは緊張の糸が切れたかのように、ぽつりと水滴が少しずつ落ちる速度で、言葉を落とし始めた。
まるで、目の前の聖女を前に懺悔するように。
「……体を鍛え強くなっていくと、同時に『その力を実戦で試したい。この力を用いて相手を屈服させたい』そんな衝動が心の奥底から沸々と湧き上がってくるんだよ……
ホントは誰かを守るために強くなったはずなのにね──結局の所、僕はその力を自分の為に使いたがっているのさ。
全く笑えない冗談みたいな話だけどさ。
これじゃまるで、僕こそが悪人だよねぇ」
冴来のすぐ傍らで、言葉の調子とは裏腹に、ねむるは俯いて表情に陰を落とすように暗くさせる。
「僕は──本当に、冴来さんや皆を守れているんだろうか。
怖いんだ、僕の力が皆を傷つけてしまうのが」
本音を告げた、ねむるの固く握り締めた手の甲に、水滴が落ちた。
それを、涙ごと受け入れるかのように。冴来は静かに言葉を伝え返した。
「貴方は悪人じゃないわ。
貴方をそんな風には誰にも、神様にだって言わせない。
貴方は優しい子だということを私は良く知っているわ」
冴来がそっと、ねむるの手を取り、手の甲に落ちた涙を優しく、力強くその掌で拭き撫でる。
「大丈夫──貴方がもし道を誤った時は私が必ず止めてみせる。
だから安心していてね」
「あぁ、頼むよ。僕がもしまた道を間違えたら……
冴来さんにこそ止めて貰いたい」
ねむるは、その時、今までに見ないような、冴来の穏やかで柔和な笑顔を見た。
そして、何もかもを受け入れるように広げられた両手が、とても大切なものを抱き締めるように、ねむるを抱き締めてそっと頭を撫でた。
「私、貴方の事が大好きよ。
だからどうか、笑っていて。
いつもありがとう。
傷付けてばかりで、ごめんなさい」
柔らかい微笑みを見えなくても感じる。ねむるは抱き締められた腕の中で、零れる涙を隠すのが精一杯の中で応えた。
「僕の方こそごめん、そして……いつもありがとう」
静かな広い聖堂に、互いの思いだけが響き合う。
例え、神が不在の世界でも、この告白と思いだけは確実に叶うと思えるほどに。
<< もどる
1
…
5
6
7
8
9
…
10
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
その胸のあまりに痛きこと
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年08月28日
参加申し込みの期限
2015年09月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年09月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!