寝子高生の
串田 美弥子は、外で昼食をすませて午後の授業に臨むべく学校に帰ってきた。
と、そこで木の上であくびしている、よく見かけるあの猫を発見!
「テオー!」
テオは面倒臭そうに一瞥すると、そのまま体をまるめて寝る態勢に入った。
しかし、美弥子は意に介さず話しかける。
「ねえねえ。前から気になってたんだけど、テオって好きな猫とかいるのー?」
「ああ?」
「だからー、好きな人っていうか、好きな猫?」
テオはしっぽを少しだけ振ると、無視してそのまま寝始める。
「ねえねえってばー」
「(しっぽふり)」
「ねえねえ、好きな人とかいるのー?」
「(しっぽふり)」
「つまんないなー」
あきらめて校舎に戻ろうとした美弥子は、やっぱりこんな機会は滅多にない! と、もうひとつ質問を投げかけた。
「ねえねえ、なんでののこちゃん守ってんのー?」
「(しっぽふり)」
「ああー!!! もしかして! ねえねえ、ののこちゃん好きなのー???」
テオは呆れてゆっくりと目をひらいた。
「んなわけねーだろ。つーか、うるせーんだよ。昼寝くらいゆっくりさせてくれ。しばらく黙ってな!」
テオが世界に猫パンチ!
するとどうしたことか、美弥子は声を出さずに、ただ口をパクパクしている。
何が起きているのか、美弥子はしばらく理解できなかった。
(あ、あれ? 声が出てない……?)
パニックに陥る美弥子の肩にやさしく手を置いたのは、
小山内 海だった。
スケッチブックにさらさらさら~と書いて、美弥子に見せる。
『おちついて』
振り向けば、
浅山 小淋もいた。
静かに微笑むと、自分のスケッチブックを見せてくれた。
『きっと、すぐもどると思いますよ』
御影 シオンは、メモ帳にササッとメッセージを書く。
声の出ない猫の鳴き声を「にゃ」と書いて恥ずかしそうに見せると、やさしく笑いかけた。
秋映・オルガ・アヴァロンは、無愛想に突っ立っていた。
みんなに目で促されると、仕方ないなという態度でタブレットにトトトンと書いてみせる。
『安心しな、君だけじゃない』
ここはテオがつくった、声の出ない寝子島。
だけどきっと、あたたかい島。
年度も代わりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
お久しぶりです、風雅宿です。
復帰一本目は一部だけサイレントなシナリオです。
◆島と人の状況
参加PC(とペット)だけが声が出ない世界です。
それ以外はフツウです。
元から病気などで声の出ない方は、やはりここでも声が出ません。
1人でいると変化に気づかないかもしれません……。
世間の人や動物たちは、フツウに声が出ます。
◇
テオはどこかで昼寝してます。
起こすとその拍子に世界が戻りそうです。
なかなか見つからないと思うので、無理に探さなくて大丈夫です。
ガイドに登場いただいた方たちは、別の場所からのスタートも可能です。
ガイドのシーンは、テオが無意識に時空を混ぜてしまっただけかもしれません。
もちろん、このまま美弥子と一緒にいるところからでも構いません。お好みとご都合にあわせてどうぞ。
◆舞台と時間帯
寝子島のどこで何をしても自由です。
なるべく1~2つの行動や場所に絞ってアクションを書いてください。
平日の午後です。
学校では授業があったりなかったりです。
同じ学校であれば、友だちと同じ授業を受けることもできます。
(学年やクラスを取っ払った特別授業となります)
それでは皆さん、声のない世界で、お待ちしています!