10歳ぐらいだろうか。
旧市街を袋に詰まった猫の餌を抱きしめて、少女が泣きながら歩いていた。
寝子島ではあまり見かけない少女だ。
本島から遊びに来たのか、越してきたのかもしれない。
「たまー、みけー、しろー、くろー、とらーーーー!」
少女が叫ぶ。
まるで呪文のようだ。
「何処にいったのーーーーー!」
泣きながら、もう一度叫ぶ。
タマ、ミケ、シロ、クロ、トラ。
猫の名前だろうか。
少女に気づいた人が声をかける。
「うぅ……聞いてくれる? お爺様のお猫様が、いなくなってしまったの……! お爺様は、お猫様が大好きなの……今日退院するのに、お猫様がいなくなってたら、また病気になってしまうわ……」
ブランド物のイニシャルが入ったハンカチをポケットから取り出して、少女は涙を拭う。
着ている服も高そう。
どうやら相当なお金持ちの子のようだ。
「メイドたちも……ずっと探してくれてるんだけど……見つからなくて……私がお外に連れだしたりしたから……っ」
わぁっと、より一層強く泣き出す少女。
寝子島にはそれはそれは沢山の猫がいる。
この中から目的の猫を探し出すには、根気が要りそうだ。
「お爺様は……今日の夕方には退院なさるのよ……。大好きなお猫様を見せれば、きっと喜ぶと思ったの……。だから……、メイドたちにお願いして、一緒に病院へ連れて行ってもらったの。それなのに……私がびっくりしてケージを落としてしまったの! 鍵が開いて、驚いたお猫様たちがみんな、お外に飛び出してしまって。メイドたちもそれに驚いて落としてしまって……」
少女とメイドで、病院の周辺の地図で言えばK-7周辺は探しつくし、大半は見つけることが出来たようだ。
どうしても見つからないのが、最初に名前を呼んでいた五匹。
行方不明になったのは今日の午前中。
いまは13時。
お爺さんが退院する時間は17時頃らしい。
残り時間は4時間程度。
見つかるかどうかわからないが、とりあえず、少女から聞いた猫達の特徴は、いろいろあった。
5匹とも写真もあるから、少女から画像を携帯に転送してもらえば、直ぐに探せるだろう。
さて、どうしたものか……。
初めまして。
初シナリオとなります。
基本、ほのぼの~まったりかなと思います。
お猫様と戯れたい方、どうぞよろしくお願いします。
◆お猫様たちの特徴◆
『たま』
白と黒のぶち猫。
とてもころころと太っていて、なんと20kgもあるとの事。
抱っこするのが一苦労。
とっても食いしん坊で、魚に目がない。
『みけ』
三毛猫。
尻尾が少し変わっていて、付け根は黒、途中から茶色、そして先っぽは白。
おなかの辺りにハート型の黒い模様があり、高いところが大好き。
『しろ』
真っ白な猫。
凄まじく人見知りで臆病。
よく狭い隙間に隠れている。
そのせいか、白い体が埃まみれになっていることもしばしば。
名前を呼ぶと、『なぁ~ん』と返事をする。
『くろ』
黒い子猫。
足の先っぽだけ、靴下を履いているかのように白くなっている。
マイペースで、おっとりとしている。
日向ぼっこが大好きで、陽だまりの中で良くお昼寝をしているとか。
『とら』
茶色と白のしましま猫。
やんちゃで怖いもの知らず。
ころころと動くものが大好き。
道路でもなんでも飛び出してくるので、とっても危険。
すばしっこい。
◆探す地域の目安◆
病院周辺は少女とメイドさんが探しつくしたようです。
まだ逃げてから数時間の為、それ程遠くへはいっていないでしょう。
地図K-7寝子島病院周辺は除外して頂き、その他の地域を探してあげてください。
◆期間◆
少女のお爺様は、本日17時に退院となっています。
それまでに探し出してあげてください。
◆少女とメイドたち◆
少女の名前は『要院 音子(かなめいん ねこ)』
一緒に探してくれているメイド達は5人です。