ピピーッ!
「はい、そこまで! 今年の生徒は全体的に運動不足気味だな? しっかりやれよ!」
グラウンドで体育の授業を行いながら、
浅井 幸太先生は残念そうにつぶやく。
浅井先生は、だるそうにしている生徒たちに休憩の指示を送ると、悩むように頭を掻いた。
生徒と一体になったテレビのドラマにあるような熱血的指導こそ、自分の目指すところなのだが、なかなかうまくいかない。
そうやって、自分自身の思考の渦にはまっていく浅井先生。
故に、浅井先生は気付かなかった。
高校の外からその授業風景を眺めている4人分の視線があることに……。
学校から離れたある森林地帯に4人の男女がいた。その4人のうちの二人の男が日本人である。あとの二人はロシア人の女と、スペイン人の男だ。
双眼鏡で、その浅井先生の体育風景を凝視しているが、皆それぞれがどこか不満そうな顔をしている。
そのうち、何やら我慢できぬといった風に一人の日本人が叫び始める。
「ぐにゃぁぁぁぁんッ! 温い、温いぞッ! 木場ぁ!」
「落ち着いてください、猫田さん」
「これが落ち着いていられるかッ! 木場ぁ!」
その四人組の二人の日本人の男が楽しげに何やらもみ合っている。
ぐにゃぁぁぁぁんッ! と叫んだのは、猫田と言われたガッチリとした体格の男で、もう一方は、木場と呼ばれたメガネの男である。
猫田の盛り上がった健康的な筋肉と、マッスルパワーの溢れる巨体は、いかにも鍛えた男という感じである。覆面の跡がついた髪に、怒りを漲らせて、手にもった双眼鏡を地面に叩きつけた。バリンッと双眼鏡は音を立てひしゃげた。
木場はそんな猫田に屈服したかのように、びくりとその体を離してへたり込んだ。
猫田は、どこか厳しい顔つきで木場に言う。
「こんなソウルの無い体育なんぞ無用無用! 体育とはもっと、もっとソウルフルでなければならんッ! 指導員もなんだあれはッ!」
まぁ、つまり、猫田は現状の体育の様子にご不満のようである。
「オチツケ、セニョール・ネコダ」
そんな猫田を、スペイン人らしき男が近づいてまぁまぁとなだめる。
なんとか日本語をしゃべっているその様子は、日本語にはまだ慣れてないという風を演出しているのだろう。
「けどよぅ……ロロ」
「ソノタメニ、コレカラ行クノダロウ?」
猫田のションボリとした声に、ロロと呼ばれたスペイン人はやれやれと首をふって、ぐっと双眼鏡を握りつぶした。グリャリ、と双眼鏡がその大きな手の中で歪むのが分かる。
ロロのその体には古傷が多く刻まれており、まさに歴戦の戦士の風体を思わせる体つきをしている。
そのやり取りを見ていたロシア風の女が、へたり込んだ木場を上からぎゅっと抱きしめた。その女の双眼鏡はもはや手になく、女の魅力的なプロポーションを持つ体をぎゅっと余すことなく木場に注ぎ込む。
「うふふ、言いたいことは、あつぅ~い、ソウルでぶつければいいのよ。ね? キバ?」
「わぁっとっと、急に抱きつかないでくださいよ。エカーテ。というか決まっていますから、肩……肩!」
そのエカーテと呼ばれたロシア人の女性は、そのまま木場に無理やり抱きつく。ミシリ、と木場の体はその抱擁により鳴っているが木場は抗議の声は上げつつも照れている以上に気にしている様子は無い。
むしろどうにでもしろと言わんばかりに、双眼鏡を下に落として表情は諦めてされるがままにされている。顔は真っ赤だが。
その光景をいつものこととスルーしつつ、猫田は気合を入れるように言う。
「ぐにゃう。この状況、卒業生として、看過することはできんッ! 行くぞ!」
そうして、猫田たちは、頷いた他の3人を引き連れて、何やら準備をしつつ校庭の方に歩いていった。
さて、視点はグラウンドに戻る。
「夕日の中でランニングとか、憧れだったよな~」
浅井先生が、運動場でぼやく。
「ぐにゃぁぁぁぁんッ! ならばその望み、俺様たちがぁ叶えてしんぜようッ!」
「何者だッ!」
バァーンッ! と効果音付きで現れてた4人組の男女がいた。
浅井先生の目の前に現れたのは……マスク……レスラー……マスク……レスラー!
猫田を中心に、エカーテ、木場、ロロとそれぞれが各々のマスクをかぶって登場し、おもむろに彼らの真ん中にずいっと進み出た猫田が声を張り上げた。
「俺様たち四人は、寝子高出身の覆面レスラー集団のヤマネコ軍団であるッ! そして、俺様がこの軍団のリーダー、ニャット・ザ・グレートマスクであるッ!」
「う、うわぁぁぁぁぁ! なんなんだこいつら」
訳が分からずとりあえず逃げたり、おっかなびっくりしている生徒たち。
「ぐにゃっはっは! これより、体育の授業を乗っ取り、熱血・情熱・厳罰のレスラー養成指導を敢行する! 異論のあるやつは運動場(リング)で勝負だッ! 無論、場外乱闘も受けてたってやろう!」
たちまち、キャット・ザ・グレートマスク塾のジャケットを羽織った男たちによって簡単な特設リングが設置され、木場やロロ、エカーテたちも、それぞれのリングで臨戦体制に入る。
「リングなら武道場に……」
「うるさいプロレスは特設リングと決まっている! ぐにゃあああん!」
生徒の誰かが冷静にツッコミを入れるが、そのツッコミは猫田の咆哮によって遮られた。
「お、俺はレスラー養成指導を生徒にするのは望んじゃいない!」
「異論かッ! よし来た……ふんっ!」
立ち上がって、異論を上げた浅井先生を、ゆっくりと猫田、いやキャット・ザ・グレートマスクがギリギリと首を絞め上げた。
「う……ぉ……柔らかくて……、筋肉の繊維が迸る……それでいて……硬い」
ドサリと落ちる浅井先生。一応ながら、息はしている。
いや、むしろ若干安らかに眠っているような気もしなくもない。
そして、ジャッケットを羽織った連中に、運動場の隅っこに丁寧に寝かされた。
「ぐにゃぁぁぁぁんッ! さぁ、次はどいつだッ!?」
「あんなにあっさり浅井先生が負けちまうなんて、寝子高の……寝子高の体育はもう終わりだ……!」
気力を失ったように退場していく生徒たち。
しかし、この光景を燃えるような瞳で見つめる戦士達がいた……!
皆様、ゲンキデスカーッ!?
不良ものに引き続き、バトル&コメディやります!
今回はこの覆面レスラー軍団と
みなさんに面白おかしく戦っていただきます。
あ、基本的には相手を呼ぶときは「リングネーム」でお願いします。
※リングネームは下記の〇の後に記載しておきます。
字数が多いようでしたら、【】内の略称をコピペするなどして
必ずアクションに書いてください。
※あと、キャラクターの使うオリジナル必殺技は大歓迎です。
必殺技は説明があると描写しやすいです。
必殺技の内容については自由に書いてください。
ネットなどで得られた人物情報
彼らは通称「ヤマネコ軍団」と呼ばれております。
〇ニャット・ザ・グレートマスク
略称【ニャットマスク】
「ぐにゃぁぁぁぁんッ!」という咆哮が特徴的である。
本名は猫田という三十歳の男性で、軍団の兄貴でおある。
190センチの身長と、がっちりとした肉体を持つレスラーで
投げ・締めといった技を多用する。
実はパワーもスピードもあり、それ以外の技も使える模様
有名な必殺技は「モニャット・ホールド」
先ほど、浅井先生に使用された技である。
あふれんばかりのカリスマファイトと軽快なモーションで人気を誇る。
〇ネズミ捕りの木場
略称【木場】
本名は木場という、26歳の男性。猫田の弟のような存在。
身長は175センチとレスラーでは低い。肉体は必要な筋肉のみで
速さと手数で相手を追い込む、テクニカルファイター。
有名な必殺技は「空中乱舞キック」
自身を空中に投げ出し、くるくるとコマのように回転しながら蹴りを放つ
しかし、彼の真骨頂はセコンドについた時と言われている。
ネズミ捕りはセコンド時の通称。
軍団で唯一空中に飛べる男。
〇ダブルフェイス・ネコスキー
略称【ネコスキー】
本名はエカテリーナ・アレンスキー、25歳の女性。
身長180センチのキャットファイター、魅惑のプロポーション。
しかし侮るなかれ、軍団一の速さと、闇器使いである。
驚異的なのが大小問わず全てを器用に使いこなすこと。
有名な必殺技は無いが、手口の残忍さから一部には人気がある。
元々は、普通のファイターだったが、木場の知恵とセコンド能力によって
一気に悪役レスラーの華となった。以来、色々あって木場ラブに。
〇ロロ・魁(ろろ・さきがけ)
略称【ロロ】
本名は不明。通称「ロロ」と呼ばれている20代後半のスペイン人
焦げ茶色の盛り上がるような胸毛が特徴的で、
むしられたとき用に保険をかけているとも
210センチを超える身長と、軍団一のパワーを利用した技を使う。
有名な必殺技名は「72センチ砲」といい
彼の靴のサイズの合計が36+36=72ということから由来
高校時代、暴れ牛と決闘していたところを猫田にスカウトされ
そのまま寝子高に編入したという伝説つき。
ここまで、全員が寝子高の卒業生である。
●キャット・ザ・グレートマスク塾生(モブ)
たくさんいる有象無象のレスラーの卵。
所謂、準備をしたり、盛り上げたりの黒子的な役割だったりします。
基本的に手は出してきません。
赤い肉球マークの上にキャット・ザ・グレートマスク塾生の刺繍入りのジャケットを羽織っています。
以上、この塾生以外の4人を戦闘不能に、
あるいは「参った」と言われれば勝ちです。
●特設ステージについて
グラウンドの中央部分に、マットと簡易ロープを敷いた
四方6メートルほどの簡易リングが1つセットされています。
リングがありますが、どこで戦うかは自由です。
(グラウンドで戦うのも良し、遠距離攻撃もよし、一騎打ちするもよし)
ロロと猫田がリングの上で待ち構えており、木場とエカテリーナらはリングの外で待機しています。
彼らは状況によって彼らなりに思考し、場所を動きます。
●浅井先生について
グラウンドの隅っこの方で気持ちよさそうに転がっています。
●彼らの目的
寝子高の体育を通じて最強のレスラーを養成し、世界を制覇する。
その第一歩として、レスラー魂の入った教育を寝子高で実行するのが目的である。
※あと、キャラクターの使うオリジナル必殺技は大歓迎です。
必殺技の説明があると描写しやすいです。
必殺技の内容は好きに書いてください。
大事だから二回書きました。
●レスラーの種族とろっこんの使用について
彼ら卒業生は全員「ひと」です。
その代わり、かなり「ひと」として鍛えてあります。
また、レスラーたちはろっこんで派手な動きをしたとしても
リング上の必殺技だと思うので、自由に使ってもらって構いません。