眠っていた貴方がゆっくりと目を覚ますと、そこは霧の中でした。
なんだ、まだ夢かと思って、彼……田中 新太郎が再び眠りに落ちようとした時、
霧の向こうから、服を来た一匹の兎が現れました。
耳先を含めて膝上くらいの大きさ。
燕尾服を着て、小さい二本足で跳ねながら。
大きく縦にぴんと立てた耳をちょこちょこと動かしながら、両手には1本のにんじんを手にして。
「ねぇねぇ、大好きな人の声が聞きたいと思わないかい?」
幼児の男の子のような声で、兎はそう聞いてきました。
「動物さんが普段から思っている事、片思いの大切な人、もういない人……大事なひとやものの、貴方への声。言葉。……聞きたいと思わない?」
小首を傾げながら、無邪気な瞳をした兎がこちらの眼を見て問い掛ける。
新太郎は、病気で父親をなくしたばかりだった。
明るくて、楽しくて、大好きだった父親。最後には医療機器に繋がれ会話をすることすらままならなかったけれども。
「……それ、本当なのか?」
「本当だよ。その人が貴方に宛てた『声』だよ。『言葉』はホントかウソか分からないけど」
新太郎は、しばらく考えて、小さく頷きました。
兎はにんじんを一かじりして、それを飲み込み言いました。
『それでは、お代に貴方の声を頂きます』
こんにちは、この度MSを勤めさせて頂きます冬眠と申します。
まずは、今置かれている、状況の説明から行わせて頂きます。
【状況】
夢の中です。
霧で見通しが悪く、1~2m離れたら姿も見えない濃霧となっています。
寝ている間に、波長のあった人を、兎が夢に引き込んだようです。
兎は、霧の中から「聞きたい貴方への言葉」を提供する代わりに、契約として夢の中限定で、参加PC様の「声」を奪っていきます。
【兎の正体】
兎の正体は不明です。
参加者様への言葉の内容も、現実では相手の言葉は真偽不明です。
夢の中の出来事なので、NPCが登場しても、現実のNPC等には反映されません。
兎は、今は「当人の声を奪い」、「その人物への言葉を提供する」のをただ見ています。
現状、それ以外の一切の手出しはしてきません。
乱暴ではありますが、兎を締め上げれば夢から出て、途中で強制的に目を覚ますことも可能です。
【アクションに頂けたらと思うこと】
参加者の方は忘れずに相手の声を必ず「」表記で明記をお願い致します。
台詞は一つのみの必要は御座いません。(2つ、3つの台詞描写も任意となります)
こちらが無い場合、ご期待に添えない台詞が出る可能性がありますのでご注意ください。
(もちろんPC様の心情による台詞も歓迎しております)
声のみのお届けであることから、どの様な声で、喜怒哀楽どの感情が含まれているのか等も書いて頂けると非常に有り難く思います。
【注意事項】
兎が、『それでは、お代に貴方の声を頂きます』と宣言したところから開始します。
心理描写が主になるかと思われますが、特定のPCのお名前を出したり、連想させたりする描写はできません(GAをのぞく)どうかご注意ください。
(NPCは可能です)
今回は、筆記具などを含めまして、日常持ち歩いている道具なども持ち込めません。
声が出ない方からは、兎はお代を頂きません。
通常の夢と同じですので、眠って起きたら現実に戻されます。
【その他情報】
参加者様お一人、もしくはお1組(GAなど)につき1ページ形式でまいります。
他の参加者様と絡む事はありません。
【登場NPC】
田中 新太郎
ふつうのひと。
夢に巻き込まれたどこにでもいるオカルトオタクですが、今回は聞けなかった父親の言葉を聞きたくて、兎に声を取られました。
こちらも、リアクションには登場予定はありません。
サンプルアクションなども参照にして頂きながら、是非皆様のご参加をお待ちしております。