「うはー、かわええなあ♪」
「うむうむ、かわいいのう♪」
ともにその場面へ居合わせた
鹿園 斐美と
片夏 阿呂江は、思わずふにゃりと頬を緩ませた。
目の前をよちよちよちよち。連なって歩いているのは、
『寝子カルガモ』の親子だ。母鳥の後ろを、ちっちゃな雛たちがよろけたり、転んだり羽をぱたぱたしながら、一生懸命についていく。
世のカルガモと同じくして、ここ寝子島に生息する寝子カルガモたちも、お引越しをする。
カルガモは産卵と育児それぞれに適した場所が異なるため、しばしば大移動を行うのだ。引っ越した先に餌がなかったり、天敵に見つかったりすれば、二度、三度と引っ越すこともある。
近年、寝子カルガモの多くは、穏やかな寝子ヶ浜海浜公園の池の周辺に巣を作り、産卵する。
そして卵がかえると、餌が豊富で天敵の少ない、星ヶ丘地区の天宵川へ移動する。
行程は実に数キロにも及び、本土の一般的なカルガモの引っ越しに比べても、その移動距離はかなり長い。
寝子島生まれのタフなカルガモならではだが、当然、道中に危険は少なくない。昔は脱落してしまう雛も多かったそうだ。
「そこで、ウチらの出番っちゅーわけやな!」
「カルガモには触れず、進路上の危険を排除せよ。ということじゃな」
「はいっ。ご協力よろしくお願いします!」
寝子島町役場職員のお姉さんがカルガモの進路を確保しつつ、にっこり笑って言った。
毎年この時期になると、役場の主導もあり、寝子島住人が一丸となって引っ越しを見守り、時にアシストするのが通例となっているのだ。
一時的に車の通行を止めたり、カルガモが登れない段差にはちょうどいい足場を置いてやったり。はぐれた雛をそれとなく母鳥のもとへ誘導したり。天敵のカラスを追い払ったり……などなど、カルガモたちのためにできることはたくさんある。
もちろん、カルガモには一切手を触れてはいけない。
「カモちゃんたちのために、いっしょにがんばろな♪」
「うむ、無事にお引越しを完了させるのじゃ!」
すっかりやる気の斐美や阿呂江だけではない。カルガモたちの行く先には数多の危険と、それを跳ねのけるべく待ち構える寝子島の住人たちがいた。
さて、このたびのお引越し。うまくいくだろうか?
こんにちは、沢樹一海です。
鹿園 斐美さん、片夏 阿呂江さん、ガイドにご登場いただきありがとうございます!
ご参加いただける場合、ガイドのイメージにかかわらず、自由なアクションをどうぞ。
概要
寝子島に暮らす『寝子カルガモ』のお引越しを成功させるため、
ちょっとしたお手伝いをするお話です。
カルガモたちは寝子ヶ浜海浜公園の池を出発し、
寝子島街道を渡り、寝子高の敷地内を横切り、路地を進み、
星ヶ丘教会の裏手から天宵川へ下ります。
(大まかなルートはこちらをご確認ください)
その行く手には、車の往来激しい道路、険しい道のり、
カモたちを狙うカラスの影、空腹や水分不足などなど、
様々な危険が満ちています。
皆さんはその危険を、カルガモたちに直接触れることなく排除し、
お引越しを成功に導いてください。
何か必要なものがあるなら、そのへんにいる寝子島町役場の職員にお願いすれば、
用意してくれるかもしれません。
もちろん自前で用意するのもいいでしょう。
<考えられる危険>
・寝子島街道を決死の横断
・進路上に置かれた荷物満載ダンボールの山
・空腹、暑さでふらふら
・次々に迷子になる雛
・カラスの群れによる襲撃
・突然の風雨
他にも、未知の危険に見舞われる可能性があります。
寝子カルガモは、普通のカルガモと比べても特に長距離を移動するので、
特殊な対応として、途中でさりげなく餌を与えることも必要になりそうです。
その際は餌付けではなく、自然のものと思わせるのが大事。
餌をあげることではぐれたりしないように注意!
寝子カルガモは一般的なカルガモよりちょっと丈夫ですが、
それでもお引越しは、たびたび困難に見舞われることでしょう。
皆さんの知恵と優しさで、彼らをゴールまで導いてあげてください!
※なおこのシナリオでは、登録済みNPCやXキャラクターと交流することはできません。
あらかじめご了承ください。
以上になります。
どなたでも、お気軽にご参加ください!