ひらひらと桜の花びらが舞う。
風は香りを伴い、寝子島を包めば、それは春の足音。
折角の春なのだからと、誰かが言った。
自分の春を探そうよと、誰かが重ねた。
親睦を深めるのに決まりはない、と企画されたのが今回の『自由遠足』だ。
先日のオリエンテーションで親睦を深めた新入生も、既に馴染みある上級生も、問わず参加することが出来る試み。
誰かと同じ時間を、その機会は多いに越したことはないのだと。
「わぁ、楽しそう……!」
この試みにいち早く目を輝かせたのは
野々 ののこだった。
貼られたお知らせの紙。それをじっと眺めている。
でかでかと添えられたキャッチコピーはこうだ。
『あなたの「春」を誰かと共有しませんか。』
既に春を堪能した人ももう一度再発見を。
乗り遅れた人は、今からでも。
お弁当やおやつを持参して楽しくお花見をしたっていい、花や虫を探して歩くのも自由。
近くには、春の味覚を使って料理を提供する地元の人たちがいるらしく、希望があればその手伝いをしながら交流も出来るようだ。
春の美味を求めるのも、協力して作るのも楽しい時間になるだろう。
自然の中で一体になりたいのなら、お昼寝だって悪くない。
つまり、何をするのも自由で。
何をするのも――楽しいに違いないのだ。
決まりごとはとっても簡単。
人に迷惑をかけない!自然は大事に!ゴミはお持ち帰り!の三点。
「お、野々も参加するのかい?」
夢中で貼り紙を眺めているののこの耳元に、聞き覚えのある声が響く。
くるりと振り返れば、そこに居たのは1年9組の担任・
高野 有紀先生。
最初に見た時と変わらず動きやすそうな服装、それはいつだって活発な印象を与える。
「なんかすっごく楽しそうだなぁって!」
「あぁ、そこまで厳しい決まりごともないしな」
――私が引率するから任せなよ、と添えて高野先生は笑った。
「ねぇ、先生。参加したい時はどうすればいいのかなぁ?」
書いてないよー、とののこが貼り紙を指させば、ホントだと高野先生が一つ苦笑を零す。
キャッチコピーに、日時、その他はしっかりと明記されているのに、集合場所と参加方法が抜けていたのだ。
「書いてある日時に校庭に集まればいいのさ。簡単だろう?」
「すっごく簡単! 誰でも楽しく参加できるね♪……あ、先生おやつにバナナは入る?」
「自由だよ」
二人揃ってくすりと笑って――そんなところまで自由。
「誰かに迷惑さえかけなきゃいい」
「その方が楽しいもんね……!」
うんうんと頷いたののこは考えていた。
せっかくの楽しそうな企画、誰かを誘おうと。
ののこの背を見送り、情報の足りてない貼り紙に少しだけペンで書き足して。
高野先生がやりきった顔で一息つけば、
「みんなで「春」を探しに行こうよ!」
そんなフレーズが遠くのほうで、声高らかに響いたのだった。
――さぁ、あなたの「春」を、探しに。
初めまして、新人MSの癒雨といいます。
各々感じる春は違うのではないでしょうか。
キャラクターの何気ない日常や仕草を楽しみたい方や、
プレシナリオに参加しそこねた方など、ご気軽に参加頂ければ嬉しいです。
思うままにキャラクターの魅力をアクションに詰め込んで頂ければと思います。
あれこれ何でも手を出すよりは、一つに絞ると描写も濃くなるかもしれません。
★行動例
・お花見で皆と騒ぐ
・花や虫を探しに行く
・春の味覚を味わう、作る
・ゆったりとうたた寝、お昼寝
他にも他者に迷惑をかけない、余りにも常識から飛び出してない範囲でしたら挑戦も歓迎します。
思うままにを可能な限り採用したいと思っています。
★お願い
台詞は「」で括ってくださると地の文と区別がつきやすいです。
★NPCについて
野々ののこ と 高野有紀先生がいます。
アクション次第で登場させることが可能になっております。
参加したいけど一人だし……など、お悩みの方は気軽に話しかけてみると良いかもしれません。
ののこは主にゆったりお昼寝をしながら春を感じるつもりのようです。
気が向けば花を探したりしているかもしれません。
高野先生はお花見している皆の側にいます。
虫の話題だけは少し気をつけてあげて下さい。