「ぐっほぐっほ! 匂う、匂うぅうううううっ!」
それは十一月の月のない夜の事。
人知れず闇の中で蠢き叫ぶ妙な生物がいた。
球形の毛むくじゃらに妙に細い手足が付いた生物。毛の奥から爛々と輝く目はどうにも濁っているように感じるのは気のせいだろうか。
「あの忌むべきクリスマスとかいう日が近づくにつれ、恋だの愛だのに浮かれる連中の匂いが濃くなるのを感じるぅうう」
日本の十二月では恋人にとって最大のイベントと言うべきクリスマスがある。
特に若人にとってはその日を恋人と過ごす事はやはり重要であるようで、その前に恋人を作ってその日までに関係を深めると言う計画を立てる人もいるらしい。
もしかしたら、寒い日々が多い冬というのもそれに拍車をかけているのかもしれない。寒い風が吹けばとなりに暖かさを求める事も不思議ではないというものだ。
しかし、それをこの妙な生物はどうやら快く思っていないようでずっとブツブツと何事か呟いている。
「毎年毎年、イチャイチャイチャイチャしやがってぇ! 今年こそは! その匂いの全てを根絶してやるぅうううううう」
それは正しく怨嗟の声。例え、凄い逆恨みのようなものだとしても怨嗟の声だった。
「……ん」
「どうかしたかい? スピカ君」
「何か、今、いたような……」
日が暮れて、
スピカ・フォーツと
鷹司 凜太郎が手を繋いで歩いているとスピカが何かに気付いて立ち止まる。
凜太郎が辺りを見渡してみるが、何か変わった様子はない。スピカの気のせいだろうかと思った瞬間、異変は現れた。
「カップルうらめしぃやぁ」
街灯で照らされている先からそんな言葉を言いながら何者かが歩いて来る。ヒタ、ヒタと足音を響かせて。
街灯の下に来たところでその正体ははっきりとする。全身を包帯でぐるぐる巻きにした人型の何か。ミイラ、という事だろうか。
「……ミイラ?」
「ふむ。そのようだが……」
スピカと凜太郎が互いに確認するように話す。
二人の視線に油断はない。身構え、凜太郎はスピカを庇うように前に出る。
だが、肝心のミイラの方はどうにもおかしい。何だかフラフラと歩いているのだ。その内転んでしまいそうな程に頼りない歩みだ。
「……何、あれ?」
「さて、ね。もしかしたら、油断させる為のフリかもしれないが」
二人は知らなかったが、最近寝子島では夜に悪戯のような何かをする者がいると一部で噂になっているのだ。
そして、それの悪戯のような何かが起る時、必ずカップルうらめしぃやぁと言う言葉を耳にするのだとか。
但し、カップルうらめしぃやぁと言う割りに一人でも被害にあったりするらしく、どうにも要領が得なかったりする。
今、この二人が直面しているのもその悪戯のような何かである事は間違いない。
一体、この事件の首謀者の目的とは? カップルうらめしぃやぁに全て籠められている気がするのは内緒だ!
こんにちは、昂祈です。
まずは、スピカ・フォーツさん、鷹司 凜太郎さん、ガイドに登場して頂きありがとうございました!
もし、参加して頂けるようでしたら、アクションについてはご自由に考えて頂いて大丈夫です!
概要
今回のシナリオはカップルを狙う不思議生物のシナリオとなっています。
シナリオの内容としては偶然この生物に狙われて撃退する事になるか、もしくはこの生物の事をどこかで聞いて探して退治しようとするという事になります。
この生物の事は一部で噂になっており、ネットを調べれば情報を目にする事も出来ます。
その為、事前に生物の事について調べる事でガイドにある事を知識として持っておく事は可能です。
不思議生物について
この不思議生物は球形の毛むくじゃらに妙に細い手足が付いているという見た目をしています。
カップルが憎いとかリア充爆発しろとかそういう思念が神魂の影響で集合し、具現化した生物になります。
元が思念である為、撃退されても再び現れたり、また同時に複数体存在する事もあるようです。
また撃退されなくても、その内に勝手にいなくなります。
この生物は夜である事と他人の目がないところであればどこでも現れます。
例えば、夜道で現れる事もあれば一人暮らしであれば家やマンションで寛いでるところに現れる事もありますし、
貸切状態の温泉に現れる事もあるようです。
この生物の目的は、カップルやそれに準じた関係のある二人組の仲を邪魔して別れさせる事にあります。
(重要なのは関係性の方なので、同性カップルでも対象になります)
但し、かなり自分勝手な性格をしている為、理由によっては一人の時に現れることもあります。
一人っきりの女の子でもあられもない姿を見てみたいとかその女の子が好みだったとか、「もしかしたらこの男子もその内カップルになるかもしれない」とか難癖のような理由で狙う事がありますし、異性や同性の友達同士(恋愛関係ない関係)でも何かリア充だからムカつくと狙ったりもします。
この生物の身体能力等はけして強くなく、直接対決となると素手でも勝つ事は出来るでしょう。
その為、基本的に直接危害を加えるというような手段に出る事はないものの、
大変すばしっこく、もし見つかったり正体がばれたりした時は即影の中に隠れようとします。
追いかけるなどしてスタミナが尽きれば、素早く影の中に隠れる事は出来なくなります。
頑張れば捕まえてお仕置きをする事もできるかもしれません。
不思議生物による邪魔について
邪魔をする手段については幾つかあります。
これらについてはどれか一つを行うというわけではなく、この生物が満足するまでやり続ける事もあります。
・変化の術でホラー感を出して邪魔をする
ホラーに出てくるようなモンスターや妖怪に化けて驚かそうとしてきます。
但し、その足取りはどれでも不安定で赤ちゃんのようにフラフラしており、
時折頭をぶつけたり転んだりする事もあります。
またあくまでもそう言う見た目をしているだけであり、本物というわけではないので、
ゾンビでも腐った匂いがする事はありません。
・手を使って邪魔をする
地面や壁、木などから手が沢山出て来て掴んだりしてきます。
足首を掴んで転ばそうとしてきたり、肩や腕を掴んで動きを阻害し驚かせようとします。
場合によってはスカートを掴んでスカートめくりしようとしたり、
男子のズボンを脱がそうとしたりというアホな事もするかも?
力はそれほど強くなく、簡単に振り解いたり抵抗する事は出来るでしょう。
この手は本体と繋がっており、殴ったりして痛みを与えれば簡単に本体が出てきてしまいます。
・服を変えて邪魔をする
吸い込むと服が何故か変わる甘い香りのする煙を死角から吹きかける事で服を強制的に変える。
変わる服はランダムであり、メイド服、ナース服、チャイナ服、着物、大胆な水着等なんにでも変わる。
どういう服になるかはユーザー様からご指定頂く事ができます。
(方向性さえご指定頂けばこちらで決める事も出来ます)
例えば、胸元が大胆に開いたメイド服とか、寝子高の制服だけどやばい程短いミニスカとか何でもありです。
またこの煙は男性相手にも使われる事がありますので、男性でも同じようにご指定頂けます。
この邪魔を実行した際には、様子を伺う為に物陰から覗いています。
頭が良くない為、その隠れ方はとても雑なので注意して探せば見つける事は簡単でしょう。
変化した服は一定時間が経てば元に戻ります。
・当たると酔ってしまう水で邪魔をする
ピンク色の当たると酔う水を水鉄砲のように撃って当てて来ます。
これに当たればどんなに酒に強い人でも酔ってしまいます。
また水を放つ関係上、当たった箇所によっては服が大変な事になる事も?
この水による酔いはお酒の酔いと同じものなので、醒める時間も準拠します。
この邪魔を実行した際には、様子を伺う為に物陰から覗いています。
頭が良くない為、その隠れ方はとても雑なので注意して探せば見つける事は簡単でしょう。
NPCについて
遠藤 健。
高校二年生。
同行のご希望があれば、一緒に参加します。
基本的に皆様のアクションに沿った行動をとります。
また遠藤以外のNPCの方でも、特定のマスターさんのキャラでなければ誰でもご指定して頂く事ができます。
気になるNPCさんがおられればどうぞご一緒にご参加ください。