九夜山頂上展望台から三夜湖方面まで下っていくと、廃墟となった遊園地が見える。
寝子島イリュージョンランドは、今はもう運営も手入れもされていない、ただの廃墟だ。
偶に迷い人か、自発的にかはわからない人たちが足を運ぶ程度で、変な噂を立てられて物見にやってくる人もなく、ただ静かにそこにあった。
そこには、いつ書かれたかもわからない物から最近と思われる物までの来場者アンケートがあり、遊園地の思い出がたくさん綴られている。
それを偶然見つけた、とあるゲーム会社のスタッフによって、イリュージョンランドは復活することになったのだ。
寝子島シーサイドタウン駅から少し離れた路地裏にあるゲームカフェ『Hideout』。
その常連ともなりつつあるゲーム会社のスタッフが、一枚のチラシを
風見鶏 スグリへ手渡した。
「今度、うちの企画でこういうのやるんだけど……どうだい、友達と一緒に遊びにこないかい?」
「へ~、どんなイベントなんデス?」
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期間限定★VR遊園地オープン!!
場所:九夜山頂上展望台から徒歩10分
(旧寝子島イリュージョンランド)
あの廃墟だと思っていた遊園地が、VRで蘇ります!
<アトラクション>
絶叫系:ジェットコースター&ウォーターライド
ハムスターボールのような物に、ゴーグルをかけたら、レッツ・ゴー!
縦横無尽の回転に、襲い来る水しぶき。君は耐えられるか!?
ホラー系:ミラーメイズ&ゾンビ
広大なフィールドを、ゴーグルつけて動き回りまわろう。
武器を切り替え、ゾンビや殺人鬼に立ち向かいながら安全区域まで脱出できるのか。
なごみ系:回転木馬
ゆったりくつろげるソファータイプの乗り物とゴーグルで、穏やかでファンシーな世界を楽しめます。
ゆらゆら優しく揺られながら、童話の世界を旅しませんか?
参加型パレード:春夏秋冬を一緒にバトル&ダンス!
世界中のお祭りが集合! 春夏秋冬を一度に、めいいっぱい楽しもう!!
フィールドの中で、ゴーグルをつけて動き回るアトラクションです。
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「VR! へぇ~凄いデスね。ウチでも導入できないか、参考にさせてもらっちゃおうかな」
「家庭用ハードより凄い体験ができるから、楽しみにしててよ!」
その盛り上がる様子をたまたま聞いていた
旅鴉 月詠は、どんなゲームがある場所なのかと気になって、席を立った。
「その話、私にも少し聞かせてくれないか?」
「ああ、もちろん。この店に来ているんだ、ゲームは好きなんだろう?」
「趣味にはしている、が……」
(VRでゾンビと戦うのか。武器の切り替えができるようだし、仮想世界なら絵筆で戦うことも……?)
「……こういうゲームも悪く無さそうだな。知人にも声をかけておこう」
「いいジャン! やっぱ懐ゲーと新作はどっちもやってこそデショ。ボクも楽しみだし、宣伝手伝っちゃうよ~」
そうして、このチラシはHideoutを手始めに、街中のゲームセンターに掲載され、ゲーム好きだけでなく遊園地に興味を持つ層にまで話が広がった。
廃墟だとばかり言われていた寝子島イリュージョンランド。
皆様のご来園、お待ちしております。
今回の舞台はVR遊園地です、全てのアトラクションは室内のホールで行われています。
■会場
イリュージョンランドの敷地の空きスペースに、新たにイベントホールが建設されました。
外観はシンプルな建物ですが、入園するとリアルな書き割りとプロジェクトマッピングで360度リアルな遊園地です。
ゴーグルの映像酔いが心配な方は、園内の散策だけでも楽しめる作りとなっています。
(フォトスポット、飲食物の販売、ゲームコーナーなど大きな遊園地と同等にあります)
旧イリュージョンランドは、道など簡単な改修が入っていますが、基本的に廃墟のままです。
しかし、ゴーグルをかけたまま外を見ると、旧イリュージョンランドが過去の姿のまま再建されている様子も見ることが出来ます。
ゴーグルをかけたまま、改修の進んでいない所まで歩いてしまうと、大変な目に遭うかもしれません。
外での仮想空間を楽しむのは程々にして、イベントホール内で遊ぶことをオススメします。
■アトラクション
大きく分けて、4つのアトラクションが楽しめます。
①絶叫系:ジェットコースター&ウォーターライド
ハムスターボールのような物に、ゴーグルをかけて乗り込みます。前後2人ずつの、4人乗りです。
イリュージョンランドのジェットコースターに乗り込むと、森を走り抜けることになったり、渓流に投げ出されたりしながら止まるまで走り続けることになる絶叫コースターとなります。
縦横無尽の回転、水しぶきや風に匂いなど体感することができます。
※途中、ご気分が優れなくなった場合には、緊急ボタンがありますのでご利用ください。
②ホラー系:ミラーメイズ&ゾンビ
こちらは、体育館くらいのフィールドを、ゴーグルつけて動き回るアトラクションです。
配線に絡む心配はありませんが、2Kg程の重さのリュックを背負って行動します。
ミニラップ芯くらいの大きさの棒状コントローラーを片手に持ち、ゾンビや殺人鬼に立ち向かいながら脱出を試みましょう。
武器はナイフと銃など、近接と遠距離の二種類を自由に設定できます。サイドスイッチで切り替えて進むことが出来、弾切れはありません。
(例/近接が大きな絵筆、遠距離がインクミサイル、など)
他のプレイヤーさんの動きも、ゴーグルに映し出されています。近接アクションの時は、周囲に気をつけながら格好良くキメましょう!
前半ステージが研究所、後半ステージがミラーメイズです。
一部演出で、水しぶきや風、匂いなどが発生します。
※これ以上の自力歩行が困難と思った方は、立ち止まって両手を上げましょう。スタッフが救援に向かいます。
③なごみ系:回転木馬
ゆったりくつろげるソファータイプの乗り物とゴーグルで、穏やかでファンシーな世界を楽しめます。
2階建てになっており、1階のライドは甘口のヘンゼルとグレーテルのストーリーを。2階のライドはおやゆび姫(空中散歩あり)を楽しめます。
ゆらゆらとした動きと、匂いと風を体感することが出来ます。
③参加型パレード:春夏秋冬を一緒にバトル&ダンス!
こちらは、教室くらいのフィールドで、ゴーグルをつけて動き回るアトラクションです。
ミニラップ芯くらいの大きさの棒状コントローラーを片手に持ち、春にはシャボン玉のステッキ、夏
にはウオーターガン、秋にはジャック・オ・ランタン、冬にはハンドベルを持ってパレードを盛り上げましょう。
世界中のお祭りからピックアップされますが、春はイースター、夏は水掛け祭り、秋はハロウィン、冬はクリスマスがメインとなります。
フロートやダンサーを追いかけることは出来ず、その場で一緒に盛り上がることになります。
フィールドの範囲内で移動は可能で、映像では腰ほどの柵で楽しむエリアが区切られている表現になっています。
一部演出で、水しぶきや風、匂いなどが発生します。
■アトラクション共通ルール
VR世界でのアバターは、基本的に身体特徴は変わらず、そのまま現実世界の姿を映します。
※NPCは「一緒にアトラクション体験」といった明確な目的のあるデートにはお誘いできません。
が、どこかですれ違うと一緒に遊ぶことが可能かもしれません。
※カップルでのご参加で、とくに何も記載されてない場合、
半歩~1歩進ませる描写をとることがあります。
鈍感ロールや関係を進展させたくない場合は、その旨をお書き下さい。