ふわり。
甘く、切なく、そしてどこか懐かしい香りが、
丹羽 紅葉の鼻腔を擽った。
――この香りは……?
どこかで嗅いだことのある香りのような気がする。けれど、一体それはどこだっただろうか。そう思いながら、紅葉は答えを求めるかのようにその香りを追いかけた。普段は通らないスターチスの花が咲いた小路を抜けた先にあったのは、小さな香水の店だった。
――こんなところにお店があるなんて、知らなかったわ。
香りに誘われるがままに、紅葉は『Linoniumu』と書かれた看板のかかる、重たい木の扉を両手で押した。すると、店内に立ち込めていた花の、木々の、果実の香りが紅葉を包む。
木で出来た棚の中には、数々の香水瓶がライトの放つ光を受けて宝石のように煌めいていた。その中で、ある香水瓶が紅葉の目を奪う。先程嗅いだ香りの元はこの香水に違いない、と確信めいたものを感じて、彼女はその香水瓶を手に取った。
花弁を模ったテイスターに香水をひと吹きすると、期待通りの香りが紅葉の周囲を満たした。それと同時に、その香りが鍵となったかのように紅葉の奥で眠っていたとある記憶が蘇る。
――そうだわ、この香りはあの時、あの場所で……。
お世話になっております。六原です。
ガイドに登場してくださった丹羽 紅葉様、ありがとうございました。
もし参加されるようでしたら、自由にアクションを書いていただければと思います。
◆概要
星ヶ丘にある香水店『Linoniumu』に売っている香水には不思議な力があるそうです。
なんでも、訪れた人の思い出に関わる香りが籠っていてそれを嗅ぐとその記憶が蘇るのだとか。
気に入った商品は買うことが出来ます。
思い出せる記憶に制限はありませんが、NPCに関するものは思い出すことが出来ません。
(思い出した記憶を誰に話すかは自由です)
◆香水店『Linoniumu』とは
星ヶ丘の裏路地にある、アンティークな外観のお店です。
店員は男性と女性が二人ずつ。呼ぶとすぐ対応してくれます。
品揃えは非常に豊富で、どんな種類の香水も取り扱っています。
一部の人の間では有名なお店だそうですが、知らなくても香りに誘われて迷い込む場合があるそうです。
それでは、ご参加お待ちしております。