「おいっ、そんなにくっつくなよ……!」
「なんだよー、照れてんのか?」
鷹虎 龍獅と
七峯 凜乃が腕を組み、旧市街を歩いている時のことだ。
「……ん? なんだありゃ」
凜乃が指差したほうへ目をやると、古くて味のある街並みの中に見覚えのない店を見つけた。
「『
ふくびきや』……?」
「おう、そこのおふたりさん! ちょいと寄っていかんかね」
どじょう髭を生やした怪しい風体の中年男が、目の合った龍獅を手招きする。
古めかしい木造りの店構え。開け放たれた扉の向こうに見える机には、商店街の福引きでお馴染みの、あの手回しでぐるぐる回す抽選器……いわゆるガラガラがいくつか並んでいた。
「ちょうど今しがた店を開けたところでね、お前さんたちは実に運がいい!」
二人の返事も待たずに、軽薄そうな男はここがいかなる店かを一方的にしゃべり始めた。
「ここぁ、『ふくびきや』だ。それも、そんじょそこらのふくびきじゃあないぜ? 『
夢体験』を売るふくびきだ」
「ゆめたいけん? なんじゃそら」
「ゲームかなんかじゃねえのか」
「おう、いいセンいってるぜ。近頃あれだ、流行っとるだろ? VRとかなんとか、あんなよーなモンだ。あのガラガラを回して、出てくる玉っころには数字が書かれてる。出た数字に応じて、お前さんたちは様々な、夢のような素晴らしい体験をする。そういう店よ。楽しそうだろ?」
龍獅と凜乃は顔を見合わせた。いかにも怪しい男だし、店の中にはそれらしい機材など見当たらない。あるのはガラガラだけだ。
「おおっと、怪しんでるな? なあに、悪いことにゃしねえよ。百聞は一見に如かずってな、まずはやってみろって。な? な!」
龍獅などはもちろん、普段であれば、こんな得体の知れないものをわざわざ体験してみようとは思わなかっただろう……だが。
「へー、面白そうじゃん。やってみようぜ、龍獅!」
「ええ? マジかよ、凜乃……」
「あたしらのデートにはピッタリだろ? な♪」
いつもノリのいい凜乃に、ぐいぐいと腕を引かれたからだろうか? それとも、
「おお、いいねえお嬢ちゃん! ほらほら兄ちゃんよ、彼女がやるって言ってんだぜ? ここで退いちゃあ男がすたるってもんだ。飛び込んでみなきゃあ! な? 一回だけでもいいから、ほれ、やってみろって。絶対損はさせねえって。な!」
「あ、ああ……うん。そうだな。一回だけ、やってみっか?」
男のいかにもな営業トークに掴まってしまったからだろうか。不思議といつの間にか、やってみても良いような気分になっていた。
「そいじゃあ、二名様ごあんなーい! 楽しい夢をな……くっくっく」
大仰に掲げた腕が勧めるまま、二人は店の中へと入ると、ガラガラに手をかけた。
高城ヒトです。よろしくお願いいたします!
七峯さんに鷹虎さん、ガイド登場ありがとうございました!
概要
今回は、『夢体験』を売るという、不思議な『ふくびきや』のお話です。
皆さんは、街のどこかで『ふくびきや』というお店を見つけます。
ガイドでは旧市街でしたが、シーサイドタウンや星ヶ丘、どこにでも現れるようです。
『ふくびきや』では、ガラガラを回して出た数字によって、様々な『夢体験』をすることができます。
夢体験とは、例えば最近流行りのVRゲームのように、現実ではない空間や別世界に飛び込んで、
ありえない体験をすることができる……というものだそうです。
店主らしい男に声をかけられると、男の話術のためか、それとも神魂が何らかの影響を与えているのか、
なんだか「やってみようかな?」という気分になってしまいます。つまり、断ることはできません!
せっかくなので、思い切ってガラガラを回してみてください。
きっと素晴らしい体験が待っていますから。
※『夢体験』をしている間、現実の時間はほとんど進まないようです。
現実のことは気にせず、思い切り楽しんでください。
アクションでできること
参加が確定したら、まずはコメントページで何か発言して、サイコロを振ってください。
サイコロの左の目によって、どんな夢体験をするかが決まります。
夢体験の世界観や時代、詳しい設定などは、自由に決めていただいて構いません。
いつもの自分と違う人物になり切ってもOKです。
※GAを組んで、複数人で同じ夢体験をすることもできます。
GAを組む場合、サイコロは、
1.代表者一人が振る
2.全員で振る(出た目が別の場合、夢が適当に混ざる)
お好きなほうをお選びください。
○サイコロの目が1:アドベンチャー
海賊になって七つの海を探検し、隠された財宝を見つけたり。
迷宮を踏破して、とらわれのヒロインを救い出したり。
○サイコロの目が2:恋愛
あなたが主人公やヒロインの恋愛ドラマ。
ハッピーエンド、切ない悲恋ものも思いのまま。
○サイコロの目が3:バトルアクション
ヒーローになってヴィランと激しいバトルを繰り広げたり。
巨大化して怪獣をスカッとやっつけたり。
○サイコロの目が4:クライムアクション
スタイリッシュに銀行強盗したり。華麗に宝石を頂戴したり。
犯罪者を追いつめる熱血警察官として、派手なカーチェイスを演じたり。
○サイコロの目が5:ホラー
恐ろしい怪物に追いかけ回されるサスペンス体験。
廃墟に閉じ込められ、亡霊に追い詰められる心霊ホラー体験。
○サイコロの目が6:お色気コメディ
絶え間なく起こるきわどいエッチなハプニング。
とにかくモテまくるハーレム体験。
備考
・『ふくびきや』の店主は、アクションに特に指定がなければ、リアクションには登場しません。
それでは、ご参加をお待ちしています!