寝子島駅前に鎮座している、でぶっとした恵比寿猫像。
参道商店街の一角、白木造りの小ぶりな社におわしますは、手のひらサイズの弁天猫像。
アウトレットの片隅に建てられた簡素なお社には、布袋猫像。
寝子島漁港の近くのお社には、恵比寿猫とお揃いの烏帽子をかぶった大黒猫像が。
この、七福神ならぬ『七福猫』達、実は、この4体以外は所在不明になっていて……。
◇
星ヶ丘の街を、
環 的子はてくてくと行く。と、その時だ。
「うわっ!?」
前方から立派な鹿がしなやかに駆けてきて、びゅん! と的子の横を通り過ぎていった。
「い、今のは……鹿、だよね? 星ヶ丘の街中に、鹿?」
振り返ってみるも、そこにはもう、鹿のしの字も見当たらない。
何だったんだろう……と首を傾げようとして、的子は気付いた。
自身の手に、淡く光を纏った、艶やかな桃が握られているのに。
「……今度は、桃?」
的子が首を傾げたその瞬間、寝子島駅前で、恵比寿猫像の目がぴかっと光った。
的子の頭に、直接流れ込むようにしてお爺さんの声が響いてくる。
――鹿に桃……これは、寿老猫の仕業じゃな。
――最近、寝子島では季節外れの風邪が流行っておる。
――寿老猫は健康も司っておるからのう。この事態を、放っておけなかったんじゃろう。
そういえば、と的子は考える。
「最近、学校を休む子が少し多かったかも。……もしかして、何かよくないことが?」
――いや、力の弱い病の神が、少しの間、寝子島に滞在しているだけじゃ。
――格別、悪い事態じゃあない。福と災いは、表裏一体じゃからのう。
――病の神が仕事を終えて去れば、寝子島には新しい、爽やかで清々しい風が吹き込むじゃろう。
――寿老猫の奴は、ちょいと、心配性すぎるんじゃろうなあ。
「それじゃあ、ええっと……どうしたらいいのかな?」
――その桃を齧れば、病の気を見、倒すことができるようになるはずじゃ。
――病の神を追い出す必要はないが、病の気が減れば、寿老猫の心も落ち着くじゃろう。
――そのついでに、寿老猫のことも見つけ出してもらえると有り難いのう。
「寿老猫様は、どこにいるの?」
――星ヶ丘の辺りに、気配を濃く感じるのう。
――七福猫は大きさも形もまちまちじゃが、石の像であることは共通しておる。
――巻き物を括り付けた杖を持っているのが、寿老猫の特徴じゃ。
「わかったよ。無事、見つけられたらいいなぁ」
光る桃を手に、的子はきゅっと口元を引き締めた。
お世話になっております、巴めろと申します。
このページを開いてくださってありがとうございます!
こちらは寝子島ミーティング第5弾、寝子島セカンドマップをつくろう!との連動シナリオ、
七福猫シリーズ第4弾、寿老猫を探せ編です。
環 的子さん、ガイドへの登場誠にありがとうございました!
なお、もしこのシナリオにご参加いただける場合ですが、
ガイドは一例ですのでご自由にアクションをかけてくださいませ。
以下、シナリオの詳細でございます。
<状況>
星ヶ丘で、鹿が駆けていったと思ったら手の中に光る桃が!? という不思議な出来事が起こっています。
桃を食べると、病の気(もやもやとした黒い霧のようなもの。詳細後述)が見えるようになり、
病の気を倒せるバディ(後述)を召喚できるようになります。
PC様自身は病の気と戦う力を持ちませんが、バディと協力して、病の気を倒しその数が減れば、
心が落ち着いた寿老猫に、皆様の声が届きやすくなります。
鹿やら桃が~! な異変は、七福猫のうちの一匹、寿老猫の像を見つければ収まります。
<寿老猫>
石像です。
どのくらいの大きさなのか、どんな形をしているのかはわかりません。
星ヶ丘周辺のどこかにあるようです。
恵比寿猫、弁天猫、布袋猫、大黒猫は、寿老猫の気配をなんとなく感じているようですが、
それ以上のことは分からないようです。
<バディ>
光る桃を食べると召喚できる、PC様自身と縁のある品が擬人化された存在です。
バディの名前、性別、声、見た目、性格、口調等々、
外せないポイントは、アクションにてご指定くださいませ。
指定がない部分は、アドリブで補完させていただくことになってしまいます。
なお、バディはキックやパンチなどの物理攻撃の他、
1体につき1つだけ、必殺技を使うことも可能です。
光の泡が相手を包んで浄化、バディ自身の能力を底上げする咆哮……等々、
自由な発想で設定をどうぞ!(あまりにも強力すぎるものなどには調整が入ることがあります)
<病の神>
さして力の強くない病の神が寝子島に逗留中です。
死病を運ぶような神ではなく、一時的に風邪等を流行らせる代わりに、
去っていったあとには、新鮮な、清々しい風が寝子島に吹き込む流れを作ってくれる、という性質です。
寝子島のどこにいるかは、七福猫達なら、なんとなーく察知できるかもしれません。
<病の気>
光る桃を食べると見えるようになる、病の神が運んできた病の素のようなもの。
不定形で大きさもまちまち、星ヶ丘中にうようよと存在しています。
PC様の攻撃は効きません(擦り抜けます)が、
バディの攻撃なら、パンチやキックなどの物理攻撃から前述の必殺技まで通ります。
基本的に攻撃はしてこないので、数を減らすのはさほど難しくはありませんが、
稀に、不定形な身体の一部を伸ばして反撃してくる攻撃的な個体も存在しますので、
ご希望があればバトル要素多めの描写も可能です。
万が一退治に失敗すると、PC様は風邪を引いてしまいます。
<アクションでは……>
・まじめに寿老猫を探す!
・不思議な桃パワーで、バディと一緒に病の気を倒す!
・病の神を放っておけない! 探してやっつける!
・病の神と話をしてみよう!
・星ヶ丘の、知っている場所の近くに寿老猫があるんじゃないかな?
等、自由にアクションをおかけください。
このシナリオで寿老猫が見つかれば、セカンドマップに情報が掲載される予定です!
それでは、ご縁がありましたらよろしくお願いいたします!