寝子島旧市街。
参道商店街の片隅に、小さな店ができていた。
看板には『我楽多堂』とある。
ショーケースには古びたシガレットケースや
見たこともない文字の並ぶ書物。
どうやら、骨董品を扱う店らしいことはわかる。
しかし記憶が確かならほんの数日前まで、
この場所は何もない空き地だったはずだ。
新しくできたことは間違いない。
だが、古めかしい構えのその店は、
まるで何十年も前からそこにあったかのように
商店街の街並みに馴染んでいた。
不思議に思ったあなたは、詳細の調査と危険度の確認、
そして、ちょっとの好奇心を満たすために
店内に足を踏み入れたのだった。
店の中は、骨董品店特有の古い埃の匂いに満ちていた。
両側の壁に沿って置かれた棚には、
所狭しと数々の骨董品が並べられている。
店の最奥にはこれまた古びたレジカウンター。
『四季彩インク入荷しました』と書かれた立札と
店主らしき老人がひとり、客を待つように座っていた。
老人のほうに近づくと、老人は待ってましたとばかりに
あなたに一本の真っ白な羽ペンと二枚の紙を差し出した。
錬金術師を名乗る老人のいうことには、
羽ペンと紙は、どちらも四季彩インクを操るのに必要なのだという。
肝心の四季彩インクはと言えば、自分の目で見て確かめろとのこと。
何とも無責任なと半ば憤りながら店を出て、
ふと、初夏の風に揺れる青葉が目に入った。
そういえば、インクの名前は"四季"彩インクだったはず。
もしやと思い羽ペンを目の前で揺れる葉に浸すと、
真っ白だった羽は見る見るうちに緑色に変わっていった。
ペン先を同じく我楽多堂で買った紙に走らせれば、
たちまち萌える青葉と同じ色の線が引かれる。
どうやら四季彩インクとは、
四季の彩りをそのまま紙に写し取ってインクにするらしい。
ペンはもちろん紙も特殊なものなのか、
手持ちのメモ帳に線を引いても、何の反応も見られなかった。
これは面白いと、店に引き返して紙をもっと購入しようと振り返ると、
そこにあったのはただの空き地。
我楽多堂のあの古めかしい佇まいは、影も形もなく消え失せていた。
手元に残ったのは、羽ペン一本とハガキサイズの専用用紙二枚。
何に使うか、悩みどころだ。
快晴の青空の下、自由にお絵かきしてみませんか!!
季節の色で自由にお絵かきできます。
ご参加の際は必ず、色の元になる自然素材(花とか虫とか石とか)もご記入ください。
基本的にはペン先で触れていただくのが前提となりますが、
空は触れないので、ペンを空気に翳すと空の色を映すとします。
また、羽ペンがえり好みするのか、人工素材(服とか靴とかコンクリートとか)には反応しないようです。
専用用紙は二枚。有効期限は本日中のようです。
イラストを描いて誰かに贈るもよし、自分で部屋に飾るもよし、
お好きに二枚使い切ってしまってください。
ペンを持って我楽多堂を出たところからスタートです。再入店はできません。