寝子島高校教員、
久保田 美和。28歳。
教え子たちのおかげで女子力を取り戻しつつある独身女性だ。恋愛しては失敗を繰り返す人生を歩んできた。
カチャカチャカチャカチャ……。
『髪形 モテ』『アラサー 男子受け』『同窓会 コーデ』
どことなく淀んだ空気の自室で久保田先生がパソコンのキーを叩いている。モニターの光が久保田先生のメガネのレンズを白く輝かせていた。
「ダメ、全然わかんない。同窓会に着ていく服って何が正解なの~っ。髪もいつものまんまじゃ恥ずかしいよーっ」
頭を背中にくっつきそうなほどのけぞらせながら久保田先生が吠える。5月に予定されている同窓会にどんな格好で行くかまったく決まらないようだ。
「みんなにアドバイス貰って髪形気をつかうようにしたり、週に1度はスカートの日を作ったりしてるんだけど、『勝負服』みたいなのがさっぱりわからないのよねぇ……あー、美容室の予約もしなきゃ。髪ずっと切ってないし」
同窓会は1か月後だ。
久保田先生はノープランながらとりあえず美容室の予約だけしておいた。
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そして日曜日。
方向性が決まらないまま久保田先生は遅めの昼食をとり寝子島ティアラに向かった。
(ヤバい。何がいいかさっぱりわからず試着をする気も起きない。
ていうか今着ている服も考えるのが面倒くさくて仕事用の服をそのまま着てきちゃったし、店員さんがすすめてくれた服も似合ってるのか営業トークなのか全然わからない!!)
服屋の中央で両手いっぱいの服を抱えてうちひしがれている久保田先生。
女子力を上げて同級生の前で見栄を張ろうとしたのに、上げ方がわからないのでお手上げ状態。なんか悲しくなってきちゃったし帰ろうかと思ったその時――。
「あれっ。久保田先生……?」
天使の声が久保田先生の闇を照らした――。
振り向けばやわらかい微笑みを浮かべた教え子・
丹羽 紅葉がたたずんでいた。
「こんにちは、久保田先生。お仕事帰りですか?」
「やっほー紅葉ちゃん! ううん、今日はオフの日だよー。学校と同じ格好してるけど気にしないでねっ。そんなことより!!」
久保田先生が紅葉の手をガッとつかむ。
「女子力の高い紅葉ちゃんにお願い! 私をプロデュースしてほしいの!!」
「先生をプロデュース、ですか……?」
おっとりと驚く紅葉に、久保田先生は自身の窮状を切々と訴え始めた。
ボンソワール、相馬です。
丹羽 紅葉さんにご登場いただきました!
今回は寝子島ティアラで久保田先生のおしゃれをプロデュースする、という内容です。人懐っこい久保田先生はその辺にいた教え子、きれいなお姉さん、同世代の男性などいろんな人の意見が欲しいようです。
(私のシナリオで登場した店を使う必要はありません)
【寝子島ティアラについて】
寝子島シーサイドタウン駅の北側にある人気の商業施設。
女性向けのファッションブランドがたくさん入っている。
『久保田先生は取り込んだ洗濯物の山の上から適当にその日に着る服を選んでいる気がする』
そんな気持ちから生まれたシナリオです。
よろしくお願いします。