寝子高の美術室、そこには一枚の絵が飾られていた。
その絵には森の中で楽しそうに遊んでいる黒と白の可愛い少女姿の妖精が描かれていた。
その絵が美術室に飾られていたのはバレンタインも迫る2月のある日、けれども誰が描いたのかは芸術科の生徒ですら知らなかった。
それから間もなく寝子高内である噂が流れた。
それは絵が飾られている教室から誰も居ないのに楽しそうに笑う声が聞こえたとか、放課後の暗い教室で2つの光が揺らめいているだとかそんな他愛もないものだった。
美術の課題の締め切り日、提出のついでに立ち寄った生徒の一人が噂の絵を見ようと美術室に立ち寄っていた。
「これが噂の絵か……」
上手な絵ではあるが特に変わった様子はないように見えた。
その日の夜、ベッドに横になり目を閉じる……。
しばらくして、耳元で小鳥の囀る音が聞こえた気がして目を開けるとそこは見たことのない森の中だった。
「ここはどこなんだ……」
しばらく森の中を歩くと、噴水のようにチョコレートが湧き出す泉を見つけた。
「この匂い……チョコレートか!」
その泉から漂う甘い香りは近づく者全てを惹きつける。
無意識のうちに口の中で涎が出てくるのが分かる。
ごくりと喉を鳴らし、泉に近づこうとしたその時。
「その泉に近づくな―!」
振り向くとそこには手のひらサイズの小さな白と黒の妖精がいた。
「泉に沸く聖なるチョコを狙う不届き者め!」
「その泉に許可なく近づいてはダメ、なのです……」
「君達はなんなんだ……」
「アタシはクロ!」
「私はシロ……」
「アタシ達はこの泉の守護者!」
「た、頼む。その泉のチョコを一口でいいから分けてくれないか」
クロとシロと名乗る妖精達は後ろを向いて何やら相談をした後振り返るとこう言った。
「泉のチョコが欲しければアタシ達と勝負しなさい!」
「私達に勝ったら、チョコを口にする権利をあげます……」
現実ではありえないことが起こる不思議な世界、これはそんな夢世界の物語。
今回は夢の世界を舞台にチョコの妖精と遊びましょう。
参加PCはその日のうちに妖精の絵を見ています。
この絵を描いた人物はもれいびでそのろっこんの能力は「絵を見た人が寝ている間に夢の世界へと導く」というものです。
また今回は絵を描いた人物は登場しません。
勝負の内容は鬼ごっこ。
森の中を飛び回る二人の妖精を参加者全員で捕まえて下さい。
見事勝利するとチョコを口にすることが出来ます。
そのまま飲んでもいいですが妖精達は魔法でチョコを使ったお菓子も作ってくれますのでチョコを使ったお菓子ならリクエストも可能です。
●クロ
黒い妖精。
勝ち気な性格、すばしっこく逃げまわる。
森に生っている木の実が好き。
●シロ
白い妖精。
臆病な性格、クロと違い隠れていることが多い。
動物が好きで逃げる時も仲の良い動物に乗って逃げたりする。
●夢世界
大部分は森、中央には木のない開けた場所がありそこにチョコの沸く泉もある。
妖精以外にもリスや鳥等の小動物もいる。
森には様々な木の実が生っている。