「い、言っとくけど、これ、デートなんかじゃ全然ないんだからねっ!」
待ち合わせていたシーサイドタウン駅の駅前広場で、到着早々唐突にそんなことを宣言されて。
「……あ、うん」
ほかに何とも返しようがないので、長田 孝明はそう返しました。
「あと! 顔が赤いのも、今が冬で寒いからで! 息がきれてるのも走ってきたばかりだからなんだから! 誤解しないでよね!」
「うん。分かった。誤解しない。
じゃあ行こうか」
両手をぎゅっと握って力説する河本 菜摘の前、孝明は立ち上がって歩き出します。
10分遅刻したのに文句も言われず、昨夜から何度も繰り返し練習してきた言葉もあっさり肯定されたことに菜摘は腹を立て、その背中をにらみつけたものの、そうしている間もどんどん前へ進む孝明に、黙って後ろについて歩き出しました。
ふたりが向かっているのはマリンパラダイス。
ふたりは同じ6年2組のクラスメイトです。
なぜこういうことになっているかというと、2日前、孝明がやはりクラスメイトの男子とマリンパラダイスで週末に開かれているイベントについて話していたことがきっかけでした。
その会話のなかで孝明がマリンパラダイスにはまだ行ったことがないと言ったのを聞きつけた菜摘がそのことを茶化し、「一緒に行ってあげてもいいわよ」という流れになったのです。
ほかの男子たちは何かと勝気で口の悪い菜摘を恐れて敬遠し、女子たちはなぜかちらちら視線を合わせたあと口を揃えて都合があると言いだして、行くのはふたりだけになりました。
「いい? 長田くんなんか、全然好みじゃないし! あたし、本命は別にいるんだから!
ほら、もうじきバレンタインでしょ! あたし、そのときその人に告白するつもりなの!
そうよ! だからこれは練習デートなんだからねっ!」
マリンパラダイスに着くまでの間じゅう、菜摘は何度となくそういうことを口にしてきます。
孝明は、なんでそんなにしつこく言うんだろう? と内心不思議でしたが、すぐに、あまり深く考えないでおこうと思い直しました。
マリンパラダイスはもうすぐそこです。
イベントの看板が大きく飾られ、水族館の生き物たちのイラスト付きののぼりが道沿いに並び、来客を歓迎するにぎやかなアナウンスの声が響いていました。
「マリンパラダイス 海の生き物とのふれあい体験イベントへようこそ!」
こんにちは。またははじめまして。寺岡志乃といいます。
今回のシナリオのテーマは「デート」。
恋人同士のデートに限らず、友達以上恋人未満デート、仲良くなるための友達デート(友D)、そして練習デート等、何でもOKです。
また、本文ではマリンパラダイスでのイベントを書いてありますが、ここにこだわることなく、場所はどこでも構いません。
マリンパラダイスでは以下のようなイベントを行っています。
【海の生き物とのふれあい体験イベント】
・カワウソに魚をあげて握手しよう
・アザラシの寝顔ウオッチング
・ペンギンのお散歩タイム
・イルカとキャッチボール、輪くぐり
※これはあくまで一例で、水族館のイベントとしてありそうなものでしたらこれ以外のものでもOKです。
夕方以降で、照明を落として夜の魚たちの様子を見て回るナイトアクアリウムというのもあります。
もちろんマリンパラダイスにいる孝明や菜摘に声をかけて案内するなど一緒に回ることもできますし、過去のシナリオで出た中山 喬や密架を連れ出すこともできます。
ふたりの思い出の場所へ出かけたり、あるいはこれを機に冬の思い出をつくったりしてください。
それでは、皆さんの個性あふれるアクションをお待ちしております。