空が青い。
心地良い日差しと澄んだ空気を、体全体で受け止める。
「気持ちいいね」
淡い茶色の髪を揺らし、小柄な少女、
夢宮 瑠奈はいつもの道を歩き出す。
寝子島の海沿いを遠く、観覧車まで続く、歩き慣れた道。
見慣れた景色は今日、一変していた。
どこまでも続く水面。
映し出された空の青。
不自然に突き出た標識や街灯が、かろうじてソコが道である事を示している。
足元を小魚の群れが泳ぎ、ベンチ上へ避難した猫がそれを狙う。
アクア・アルタ。
遠く水の都で起こると言われる異常潮位。
普通では起こり得ぬ現象が、今日、寝子島で起きていた。
潮位は現在の、くるぶし辺りまで上がったのが最大で、しばらくすれば引くらしい。
寝子島の住人達は戸惑いながらも受け入れて、それぞれ楽しむ事に決めたようだ。
瑠奈はいつも憂鬱な表情で取り出すレインブーツを、今日は笑顔で用意した。
軽い水音を立てて歩き、水面に映った空を揺らす。
飛べぬ幅に困る子猫を、向こう岸の母猫に届ける。
馴染みのカフェはテーブルを運び出し、水上カフェと洒落込むようだ。
自転車の小学生たちは、飛沫をあげて競走中。
誰が飛ばしたのか、空には七色の風船が浮かんでいた。
いつもの道、いつもの人達が、フツウのくれた非日常を、笑顔で過ごしている。
沢山の元気を貰った瑠奈も、笑顔でアナタに振り返った。
「ねえ、どこに行こっか?」
こんにちは、KANです!
シナリオガイドには、夢宮 瑠奈さんに登場していただきました。
素敵なイラストですね。ありがとうございます!
そして、イラストコメントをそのままシナリオにする試みでもあります。(マスターの手抜きではありません!)
素晴らしいイラストコメントを書かれた握 利平さん、ありがとうございます!
▼状況
寝子島の海沿いでアクア・アルタの現象が発生しています。
水がきてるのは、寝子島街道の周辺までです。
駅や駅周辺の飲食店などは、工夫しながら営業していることが多いようです。
なお、寝子高は坂を登ったところにあるので影響を受けていません。
高台から見下ろして変わり果てた景色を楽しむのも乙だと思いますが。
今日は休日で、晴れです。
1月にしては暖かく、春のようなぽかぽか陽気です。
水は冷たいですが、寒さで苦しむような感覚ではないので、のんびり過ごせそうです。
水は不思議なことに(神魂の影響でしょうか)割と澄んでいて、きれいです。
水の流れはなく穏やかですが、場所によっては波や川のような流れがあることもあります。
この状況を楽しんだり、困ってる人を助けたり、自分が困ったり、いろいろなことができそうですね♪
【追記】
この現象は、このシナリオ内ではおさまりません。
また、このシナリオは日中(夕方くらいまで)の様子が描かれます。
▼出来事やNPC
やることが思いつかないな~という方は、よかったら以下の出来事やNPCとのからみで遊んでみてください。
◇お散歩じゃばじゃば
野々ののこ、串田美弥子が、シーサイドタウンで長靴をはいて浮かれています。
知り合いを見つけたら声をかけています。鷹取洋二も声をかけられ、満更でもない様子。
◇メガネゆらゆら
桐島義弘先生、海原茂、鷲尾礼美先生がそれぞれ星ヶ丘のどこかでメガネを水に落としました。
見つけたと思うと、足を取られて転んだり、ゆらゆら揺られて遠ざかったり……。
◇猫にゃんにゃん
旧市街では、野良猫たちが困っています。猫は水が苦手です。
ポストの上、塀の上、バイクの上、ちょっとしたところで寝ているうちに周囲が水だらけ……。
ではでは、ご参加を楽しみにお待ちしております。