黒き背表紙の本。何処からともなく現れて、人々に一つだけ頼みごとをするのだという。
一際目を引く金の細工を施した装丁に、タイトルの表記もない本は南京錠がかけられている。
女の声音で本は云う。
――頁を、探して………?
***
一体、何が起こったのか。
フル回転した脳は現状の把握を上手く出来ない。只、両の足に力を込めて走らねばならないことを
卯木 衛は理解していた。
(なんなんだよ……!?)
季節外れに額を濡らした汗を拭い、奇妙な生温さを感じさせた廃校を彼は駆ける。
運動靴の爪先が軋む木を不安がる様に僅かに滑った。明るいピンクゴールドの髪は彼の動作と共に揺れ、捲くったブレザーの袖は泥に汚れている。
毒吐くにも相手はいない。何処から『敵』が来るか分からないのだ――気配に過敏になった衛は毛を逆立てる猫の様に警戒心を露わにし、周囲を見回した。
「あの、さ……」
こそりと柱から掛けられた声に衛は慌て、振り仰ぐ。
黒いマスクにチャックの細工を施した奇妙な様相の少年は赤い焔の様な瞳をうろうろと揺れ動かせ、怯えた様な瞳を衛へと向けている。
「だ、誰……」
「あ、おれ、
朝長・夜空(ともなが・よぞら)だよ。……この世界、なんだか可笑しい、よ」
震える声音で問うた衛へと夜空と名乗った少年はたどたどしく語る。
どろりと血に濡れた白シャツは最早使い物にならないだろう。手にした鉈が妙に生々しい。
「黒い背表紙の本が――……本が、あって、拾ったら、こ、
こんな場所に……」
古臭い木の香りが煤けて鼻につく。時代錯誤な雰囲気のその場所は『何処かの学校』だということは分かった。月明かりが差し込む以上、明かりがなくとも目視することはできる。だが、恐怖感が拭えぬのはこの暗さと奇妙な雰囲気からくるのだろう。
夜空の言葉に衛は小さく頷く。
彼も道端で拾った『奇妙な黒い背表紙の本』を手にした途端、この廃校に訪れていたのだ。
窓も、扉も開かない。
外が存在している筈なのに出る事の出来ない学校には奇妙なチャイムが鳴り響く。
校長室のソファに腰掛けて、息を潜めながら二人の話を聞いていた
花風 冴来はチャイムの音色から耳を塞ぎ、小さく息を吐いた。
彼女が知ったのはこれが『奇妙な黒い背表紙の本』の一頁なのだということ。
この校舎の何処かに存在している『一頁』を探さねば帰れないということ。
そして――
アッハハハハハハ―――――――!!!!
武器を手にした無貌の女がこの校舎を歩き回り、獲物を探しているという事実。
「は、はやく……早く探しましょう!」
震える声で絞り出した夜空の声に背を押されて衛は走り出す。
無貌の女は獲物を探し、直ぐ、直ぐ――そこまで……。
――頁を、探して………?
日下部あやめと申します。
卯木 衛さん、花風 冴来さんはガイドへの御出演有難うございます。
『奇妙な黒い背表紙の本』を拾ったアナタは妙な廃校へと誘われます。
チェーンソーを手に殺人鬼たる無貌の女が練り歩く校内から『黒い背表紙の本の一頁』を探して下さい。
ホラーテイストに、戦闘や鬼ごっこを。探索は「どんな場所を探すよ!」というのを指定してください。
例:怯えて隠れる
例:女に立ち向かっていくぜ
上記のようなものでもOKです。
●廃校
三階建て。木造建築です。
窓や扉は存在していますが、外に出る事はできません。屋上などから外へ出るのも奇妙な力が働き出来なくなっています。
校内には様々な部屋が存在しています(普通の学校となんら変哲はありません)
校舎内の何処かにある『黒い背表紙の本の一頁』を探して下さい。
「ここにあるかも」「夜空君を利用してみる」というのもいいかもしれません。
ろっこんの使用は可能です。様々な武器は『校舎内』に落ちています。
武器を持って戦うも、何らかの能力を駆使するも可能。
※死にません! 死んだ痛みなどは感じます。でも、死ねません。
●無貌の女
殺人鬼。どこまでも追いかけてきます。物語開始直後はチェーンソーを所有。
武器を発見した場合は持ち替える事があります。
基本は女と鬼ごっこ状態です。足は速く、体力もバカにならない位にあるようです。
大声で嗤いながら走りまわっています。なお、何処に頁があるのかを女は知っているようです。
意志疎通は基本できませんが、動作から判別できる可能性も……?
●NPC
朝長・夜空(ともなが・よぞら)
中学生くらいに見える外見の背が低めの少年です。鉈所有。
黒いマスクにチャックの細工を施した奇妙なアクセサリーを付けています。
「この世界は、黒い本の一頁の世界なんだ。はやく見つけなきゃ……見つけなきゃ……」
それでは、暗澹の頁を探して。
どうぞ、ご武運を……。