……あなたの手元に、
闇の組織からの招待状が届いた。
唐突な話だが本当だ。送り主の名はなく、封筒の裏にはただ
【R】とだけ署名されている。
分厚い封蝋を剥がして中を見れば、意外なほど丁寧な文面でこうあった。
「お世話になっております。闇の組織です。」
お世話した覚えはないのだが、まあ、社交辞令だからいいとしよう。そもそも闇の組織がみずからそう名乗るのか、というツッコミを入れたい気持ちもあるものの、とりあえずここは我慢するものとする。
聞き捨て、いや、読み捨てならんのはつぎの一行だ。
「陰鬱な季節がまたやって来ましたね。恋愛資本主義という毒がひろがり、恋人がいなければあたかも社会不適合者であるかのような扱いを受ける悲劇の一日……クリスマスが!」
さらに、もっと無視できないのが続く一行である。
「残念ながらあなたが、この悪魔的な二分法に従えば不適合者(ルーザー)の側であるという情報を我々はキャッチしています。」
なんでそれを! っていうか、なんであんたらにそんなこと言われにゃならんのか!
血のしたたるような赤文字で『ルーザー』と書かれているあたりも無性に腹立たしい。
噴飯やるかたない気持ちながら読み進める。
「しかし我々は知っています。あなたが、真のルーザーではないということを。いやむしろ、孤独な魂に怒りを隠し、ひそかに戦いの牙を研ぐ狼……格闘者であると!」
なんだか妙な展開になってきたぞ。
「聖夜の近い今、我々はここに、第一回 寝子島狼杯★闇格闘大会の実施を宣言します。孤独な狼よ、集いましょう。真の強者をここに決めましょう。恋愛ができるとかどうとかで人間の価値を決められてたまるか、そんな気概を持つあなたを我々は歓迎します。そう、人の価値とは、戦闘者としての能力にこそあるのです!
詳細は参加後にお伝えしますが、この格闘大会でものを言うのは単なる腕っぷしの強さではありません。孤独であればあるほど強くなる、という特別なバトルステージがあなたをお待ちしております。
参加は無料。なお、最も孤独さの際立っていた闘士(ロンリネスト・ウルフ)には副賞として、『願いが地味に叶う』という特典が与えられます。
くれぐれもこの機会をお見逃しなく!
――【R】」
七枷 陣はこの文面を、二度、三度読み直したのちおもむろに言ったのである。
「ていうか、
あんたらこそ思いっきり恋愛資本主義とやらの価値観に乗っかっとるやないかっ!」
誰が行くかこんな怪しい大会――と、郵送されてきた封筒ごと招待状をクシャクシャに丸めてゴミ箱に投げ込んだはずの彼であったが、なぜか数日後、闇の組織が手配したモーターボートに乗って会場である絶海の孤島を目指していたという……。
クリスマス前にやってくるのはせっかちなサンタクロースだけではない!
クリスマス前に、フェイタルなバトルがやってきた!
集まれ! ロンリー・ウルフたち! 戦え! 理由はよくわからんが!
この戦いに性別年齢は関係ない!
寂しいやつが、強者だ!
マスターの桂木京介です。よろしくお願い申し上げます。
七枷 陣様はシナリオガイドへのご登場、ありがとうございました。(「ぼっち予備軍?」という称号に惹かれてご登場願っただけですので悪気はないですー)
さて本作は、叶エイジャマスターのシナリオ『ねこじまファイターズ!』というタイトルに大いに刺激を受けまして、「『ファイター』とくれば『狼』もですよね?」などと勝手に呼応する気持ちで立ち上げたお話です。
いわば一方的なオマージュですね。叶エイジャ様、すみません。
なお『ねこじまファイターズ!』のリアクションが公開される前に書き始めたので、あんまり内容は似ていない気がします。叶様、返す返すすみません……。
●概要
寝子島からボートで数十分いったところにある謎の孤島に用意された特設リングにて、ランダムに選ばれた相手と一対一で一本勝負を行います。トーナメントや総当たり戦ではありませんので全力を尽くしましょう。
勝敗に関係なく謎の審査委員長によって、最も孤独さの際立っていた出場者が選出され、表彰されることになります。
表彰されると願いが地味に叶う、という特典がありますので、希望があればアクションに記載願います。先に言っておきますが「地味に」なので、あんまり期待しないほうがよさそうです……。
こういう話なので、全体的にコメディ要素が強くなると思われます。
※もちろん、リア充なキャラクターの参加も大歓迎です。
●ルール
闘技場は屋外、円形のリングです。当然海風にさらされまくるので大変に寒いといっていいでしょう。当日は基本曇りで、粉雪も予想されているようです。
リングの直径は10メートル程度、コーナーやロープ、フェンス等はなく、そのすべてが冬の海に囲まれています。
海に落ちればリングアウトとなり即敗北です。また、「参った」と宣言した場合、テンカウントの間立ち上がれなかった場合も敗北となります。
刃物でなければ武器の使用も可能、もちろん、気功弾、目から怪光線、サイキック……ようするに『ろっこん』のすべてが使用可能です。
●孤独の力(LP)
このバトルステージには謎の力が働いており、自らの孤独っぷりを切に訴えるほど謎のエネルギー(LPと呼ばれています。何の略かは判りません)が集まり、攻撃は派手なビジュアルエフェクトを放ちます。これは『ろっこん』の有無に関係しませんので、「ひと」であっても『パンチが巨大化する』『飛翔と同時に全身が炎に包まれる』などと言った格闘ゲームのような演出がもたらされます。
「夏の恋は秋に終わり、そして独りの冬が来たァァ!」とか、「年末に帰省して両親に『いい人いないの?』と聞かれるのが恐いぃ!」といった発言を繰り出して戦うと有利です。嫌なバトルだな!
●対戦相手について
指定しなければランダムで設定させていただきます。
互いに相手として指定した場合、グループアクションの扱いでお願いします。(コメントページで対戦相手を募るのも面白いかもしれませんね)
勝敗はアクションをよく読んで決定しますが、勝って驕らず負けて腐らず……の精神でいて下さると幸いです。
●NPCについて
相手にはNPCを指定することもできますが、いわゆるリア充の人は来ないでしょう。
とはいえ、「どうしてもこのNPCと戦いたい!」という相手がいてその人がリア充っぽい場合も、アクションで理由を考えて下されば出てくるかもしれません。(必ずご希望に添えるとは限りませんのでご了承下さい)
NPCと絡ませたい場合は、そのキャラとどういう関係なのか(友達なのか仇敵なのか、初対面なのか、等)を書いて下さい。お願いします。
展開上、自動的にNPCが対戦相手になる場合もあります。
それでは次はリアクションでお目にかかりましょう。
桂木京介でした!