もう昼が近い。
「あー……だるー……」
バイトがない日は何もする気も起きない。着替えるのもだるい。布団からでるのも億劫だ。
ちゃぶ台の上には出前の丼が割り箸を放り込んだまま乱雑に積み上げられ、床には缶ビールが足の踏み場もなく散乱し、枕元には充電中の携帯が放置されている。
混沌係数の高い腐海で目を覚ましたものの、眠り姫の適齢期はとっくに過ぎている。もうすぐ賞味期限切れになりそうだ。
「うるせえよ」
畳を這いずって雑誌を漁る。
「昼飯は……コンビニに買い出しいくのめんどーだしこれでいっか」
雑誌の下から発掘したのは昨夜の酒の肴のスルメ。
こんなものでもないよりマシだろうとくっちゃくっちゃスルメを噛みつつテレビの電源をオン、リモコンで忙しくチャンネルを変える。
「ろくなのやってねーなー。ぐっちゃんぐっちゃんのどろっどろな昼ドラとかちょー見たい気分なんだけど」
魚の死んだような目でテレビを眺めつつチャンネルを切り替えていたが、ついにリモコンを放り捨て、万年床のせんべい布団に大の字に寝転がる。
「あー……美少年と結婚したーい……この際カッコカリでもいい。空から美少年おちてこないかなー」
その時、視界の端を何かが過った。
こうして改めて見るとさー、あたしさー、別にそんなにブスってわけでもないのにさー。
なんで彼氏の一人もいないんだろうねー……(後ろに放置してあるゴミからは目逸らし)